スポーツカーの新たな未来を切り拓く 世界600台限定のリアルスポーツ

世界一のレーシングカーコンストラクターが満を持して世界に問うたリアルスポーツカー。それはジャンパオロ・ダラーラの夢の実現でもある。そんなダラーラ・ストラダーレがついに日本で正規販売されることとなった。



もうミウラのようなスーパーカーを規模の小さなメーカーが造ることは難しい時代になりつつあるんだ。けれども私のような老人でも扱いきれるような少量生産のリアルスポーツカーならまだチャンスがある。今、そのプロジェクトがひそかに進行中だよ」 そうジャンパオロ・ダラーラが京都で語ってくれたのは2014年のことだった。
 
その一年前、ダラーラ社のアンドレア・ポントレモリCEOはジャンパオロからこう言われていたらしい。「私には叶えられなかった夢がある。もう一度、ダラーラの名前を冠した新しい市販スポーツカーを造ることだ」アンドレアはそのときこう答えた。「80歳の誕生日にその夢を叶えましょう」


 
こうして2016年11月16日、ジャンパオロの正に80歳の誕生日当日にダラーラのロードカープランが正式に発表された。その名はシンプルに「ダラーラ・ストラダーレ」 向こう5年間で600台のみを生産するという。そしてちょうど一年後の再び同じ誕生日に、晴れて1号車が81歳になったジャンパオロのドライブでラインオフしたのだった。
 
それからおよそ一年半が経過した。生産クオリティのレベルも順調に上がり、これまでは週に1台ペースだった生産も、2台に引き上げられた。このたびの日本市場への正規導入は、正に満を持してのタイミングだと言えそうだ。

日本の正規インポーターとして名乗りをあげたのは、かのアトランティックカーズだ。完全受注生産で、価格は最もシンプルはバルケッタスタイルで2256万5000円(6MT)から。これに既納客の8割が装備するというキャノピーなど豊富なオプションを組み合わせる。すでに日本からのオーダーは6、7台入っているという。

「野澤隆之氏率いるアトランティックカーズと出会えたことをまずは感謝したい。野澤さんは、車への情熱もあってイタリアの文化にも精通していらっしゃる。私たちは単なる車の代理店ではなく、ダラーラというブランドのアンバサダーを探していたんです。ダラーラ・ストラダーレはジャンパオロ(・ダラーラ)の夢の実現でした。600台という少量生産ですし、お金儲けのためのビジネスではありません。ジャンパオロの車に対する情熱と、ダラーラ社の考え方を世界に広めるための取組みなのです」


 
5年間でわずかに600 台。生産台数は厳密に守られるという。すでに60 台あまりをデリバリー。生産ペースも段々と上がってきた。エンジンはフォード製の4 気筒がベース。その他はオールイタリアン。どうせならエンジンもイタリア製(アルファロメオとか? )にすれば良かったのにと車好きなら当然思う。

「何よりも重視したのがロードカーとしての信頼性の高さを確保することでした。フォードのエンジンは何百万機の実績があってベースとしては最適です。ダラーラで独自の改良も沢山加えてありますしね。スポーツカーというと必ずエンジンのことが話題になりますが、ダラーラ・ストラダーレのユニークな点は、馬力(エンジン)ではなく、軽量・空力・横方向の加速度、です。他のロードカーに比べて傑出しているこの三点を気兼ねなく楽しんでいただくために、信頼性のあるエンジンをあえて選んでいます。エンジンは重要ですが、必要十分なパワーとフラットトルクがあればそれで十分です」
 


エンジンではない他のポイントを強調する。これが新時代のスポーツカーとして認められれば、この先新たな展開も期待できそう。ダラーラ・エレクトロニックもありえるか。顧客サービスにも期待したい。

「未来のことは誰にも分かりません。ただ、ダウンフォースを積極的に使うというこれまでとは全く異なるドライビング方法を学ぶためのプログラムを実施します。弊社のドライビングシミュレーターや開発ドライバーによるレッスンなどを盛り込んだ企画で、帰納客に案内したところ一瞬にして予約枠が埋まりました。二回目以降も企画していますよ。またワンメイクレースの計画もアイディアにあがっています」
 
馬力競争に明け暮れるスーパーカーブランドを尻目に、世界一のレーシングカーコンストラクターが満を持して世界に問うたリアルスポーツカー。スポーツカーの新たな未来を切り拓くことになるかもしれない。

文:西川 淳 写真:アトランティックカーズ、浦野大輔 Words: Jun NISHIKAWA Photography: Atlantic Cars , Daisuke URANO

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