2017年3月のジュネーヴ・ショーで発表されたフロントエンジン・V12フェラーリの最新モデル「フェラーリ812 Superfast」が、5月23日、ついに日本でもお披露目された。
フロント・ミッドシップに「プロダクション車輌の歴史上最強」を謳う、最高出力800cv(799.5ps)/ 8,500rpm、最大トルク718Nm/7,000rpmの6.5リッター自然吸気V12を搭載。最大トルクの80以上を3,500rpmから発生させるエンジン特性を持ち、最高速度340 km/h、0-100 km/h 加速2.9秒というパフォーマンスを誇る。
モデル名に冠される数字「812」は最高出力と気筒数の組み合わせ、つまり800cvの12気筒であることに由来している。
エアロダイナミクスも更に磨きが加えられている。アンダーボディ前部にはアクティブフラップを含むエアロ・デバイス・クラスターを装備。
ボディ後方側面に設けられたバイパスや、リアフェンダーに設けられたダクトもエアロダイナミクス向上に大きく貢献し、ダウンフォースはF12と比較して10も向上しているという。
快適性も十分に兼ね備えている。インテリアはより先進的かつユーザーインターフェースの優れたデザインに再設計され、より高級感のある、洗練された空間に仕上げられている。フェラーリとしては初めて電動パワー・ステアリングが採用されたことにも注目したい。
このような、上質かつ高性能なグランツーリスモとして華々しくデビューした「フェラーリ812 Superfast」。しかし、「スーパーファスト」という名前の響きに関しては、面白味に欠けると感じる方もいるかもしれない。日本語訳すると「超速い」。先代が「マラネロ」や「スカリエッティ」、「フィオラノ」といったフェラーリゆかりのアイコンを冠した名前だったことを思えば、「えっ、そんな名前でいいの?」と言いたくなってしまうのは筆者だけではないだろう。
しかし、この名前にはきちんとした意味がある。「スーパーファスト」という名前の由来となったモデルが、過去に存在するのだ。
©RM Sotheby’s
それが、1964年のジュネーヴで発表された、フェラーリ500スーパーファストである。
よりラグジュアリーで、より高性能なスポーツカーを求める北米マーケットの需要に応えるために生まれた、究極のグランツーリスモ。フロントに4963ccの大排気量V12エンジンを搭載し、ピニンファリーナによる流麗なスタイルが与えられていた。
©RM Sotheby’s
全部で36台が作られ、オランダ女王の夫君やイランの国王、イギリスの俳優、ピーター・セラーズといった、特別な顧客のもとにデリバリーされた。
©RM Sotheby’s
しかしながら、シリーズ生産されるモデルが続々と増え始めていた当時のフェラーリにとって、専用の生産機械を必要とする少量生産車を市場に送り出すことは困難になっていた。フェラーリ500スーパーファストは、1950年代から60年代序盤にかけて"アメリカ"および"スーパーアメリカ"の名前で作られた一連の少量生産クーペとしては最後のモデルとなった。「スーパーファスト」はそういった意味でも、フェラーリの歴史上極めて重要な意味をもつといえる。
ところで、自然吸気12気筒エンジンといえば、フェラーリが1947年の創業から現在に至るまで70年間にわたって作り続けてきた伝統だが、それが採用されるのはフェラーリ812 Superfastで最後になるかもしれない。後継モデルにはハイブリッドが採用されるという噂もあるのだ。
「スーパーファスト」のアイコンを冠したこのモデルもまた、フェラーリにとってはターニングポイントとなるかもしれない。
Ferrari 812 Superfast
ボディサイズ:4657×1971×1276mm
ホイールベース:2720mm
車重:1630kg 駆動方式:FR
エンジン形式:V型12気筒 排気量:6496cc
最高出力:800cv/8500rpm
最大トルク:718nm/7000rpm
車両本体価格: 3910万円(税込)
2024.04.07
フランス・ミュールーズにある世界最大規模の自動車博物館を探訪|560台 ...
紡績王シュルンプ兄弟によるコレクションが展示される国立自動車博物館。その後半は弟フリッツの車、特にレースへの情熱で集められたレーシングカーのコレクションを中心に紹介していく。自らブガッティType35 ...
2024.04.12
イタリアを代表する御曹司が特注した、ミリタリー仕様のフェラーリ458イ ...
イタリアを代表する華麗なる一族といえば、フィアットを創業したアニェッリ家であろう。フィアット社を通じて1969年にはフェラーリとランチアを、1986年にはアルファロメオを、そして2009年にはクライス ...
2024.04.16
モーニングクルーズ ロータスエリートミーティング&オールドロータス|新 ...
代官山 蔦屋書店で毎月第2日曜日に開催しているモーニングクルーズ。4月14日はロータスエリートミーティングとジョインし、オールドロータスをテーマに開催された。(ここで指す「エリート」は「初代エリート」 ...
2024.04.11
モデナで作られるマセラティ純血エンジンを搭載した名車たち
初開催のフォーミュラE東京大会で衝撃的な優勝を遂げてからまだ1週間と経っていないのに、今度は独自開発したV6エンジンに的を絞ったサーキット試乗会を行なうというのだから、最近のマセラティはなんともアグレ ...
2024.04.08
海外にも多くのファンを持つ「元祖・COOL JAPAN」|モデルファク ...
ポルシェやフェラーリの名前は知っていても、モーガンやパガーニの名前を知らない“クルマ好き”はいる。模型の世界でも、タミヤや京商の名前は知っていても「モデルファクトリーヒロ」の名 ...
2024.04.12
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol.24 ポルシェ356Aスピード ...
ポルシェの名が付くスポーツカーが誕生したのは第2次世界大戦後のことである。その基本構造が、同じポルシェ博士が開発をしたフォルクスワーゲン・ビートルと同じだったことから、“ビタミン剤を飲み過 ...
2024.03.29
ランボルギーニ、その60年はV12と共にあり|60 Years of ...
ランボルギーニの起源にまつわる物語はよく知られている。イタリアン・エキゾティックの世界で新参者のフェルッチョが注目を集めるためには、フェラーリに匹敵するエンジンを持たねばならなかった。そこで彼は世界最 ...