デ・トマゾ・ファクトリーの今
「古代美術の9割近くはイタリアにある」と言われている。こうした環境だから、イタリア人はちょっとやそっとのことでは驚かない。ほかの国なら文化財保存を管轄する省庁が大騒ぎするようなことさえ、見過ごすこともある。少し前まで、デ・トマゾ・アウトモビリの本社屋だった場所が、かつての栄光を感じさせない廃墟と化しているのが、その好例だろう。ここに掲載した写真が、1959年、アルゼンチン出身のレーシングドライバー、アレハンドロ・デ・トマゾによって創業されたデ・トマゾの現状である。
デ・トマゾはレーシングカーの少量生産で起業し、1970年代まで事業を続けていた。F1にも手を広げ、ウィリアムズ・チームが1970年に走らせたF1マシンもデ・トマゾの工房から生まれたものだった。1960年代初頭からスポーツモデルの量産を手掛けるようになり、1964年にはヴァレルンガ、1966年にはマングスタ、1970年にはパンテーラを発表した。パンテーラは1993年、アレハンドロ・デ・トマゾが脳卒中を患うまで細々と生産され続けた。パンテーラの生産が終了してからもデ・トマゾはなんとか存続したが、2003年、デ・トマゾの創業者、アレハンドロが他界し、会社に残ったものは売却された。
今、廃墟として残っている旧本社屋は、もともとのデ・トマゾ社の残党が所有している。我々は許可を得て、2名の元社員と穴の開いたフェンスから旧社屋へと足を踏み入れた。彼らはデ・トマゾの全盛期を知るばかりか、月末の給料支払さえままならなくなった頃でも、会社への忠誠心から残り続けたメンバーだった‥
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