戦前車メインのイベント「ヴィンテージ・リヴァイバル」レポート第3弾|お待ちかねの4輪車を紹介!

Tomonari SAKURAI

パリ近郊に位置する、今年で100周年を迎えるサーキット、Autodrome de Linas-Montlhéry(以下モンレリ・サーキット)で開催された、戦前の車両がメインのイベント「Vintage Revival 2024」。今回はお待ちかねの4輪車の紹介だ。まず最初に目に留まるのは、やはり多くのブガッティだ。最初は「お!やはりブガッティが来ている」と目を奪われるが、しばらくするとその数に驚かなくなるほど。

ブガッティ Type 13 ブレシア 1922年。

オーナーズクラブのブースでは、フランス車のAmilcar(アミルカー)が多く見られる。1921年に誕生し、軽量な小型スポーツカーを中心に製造され、当時のレースにも多数参戦していたブランドだ。しかし、世界恐慌の影響で斜陽となり、フィアットと提携するも再起を果たせず、1939年に幕を閉じた。それでもシンプルな構造で整備性が良いため、戦前の魅力的なスポーツカーとしてフランスを中心に人気が高い。

アミルカーは小型スポーツカー。パイロットが収まると余計にそのコンパクトさが分かる。モデルはC6グランプリ。

Amilcar CV Skiff 1923年。

コース上に目を移すと、やはり半数はブガッティだ。Type-35はもちろん、13、22、37などが走っている。英国車ではMGのType Cが複数混じって走行している。優美な曲線を描くプジョー402 DARL'MATやアウディから持ち込まれたWanderer(ワンダラー) W22が華を添えている。

当時アウトユニオングループのひとつであったワンダラー。アウディがドイツから持ち込んだワンダラーW22。

サーキット走行で最も熱いのはグランプリカーの走行。同日に行われていたモナコ・ヒストリック・グランプリにも匹敵する顔ぶれだ。ブガッティT59-50S GPやマセラティ6CM、8CM、アルファロメオ1750 GSスポーツ、そしてアウディからのワンダラーストリームラインが疾走する。

強く軽量なフレーム構造を持ち、前輪は独立懸架式でハンドリングが素晴らしく当時のグランプリレースで活躍したマセラティ 6CM。

2.992リッターの直列8気筒スーパーチャージャー付きで240馬力を発揮する。750kgという車重でモナコグランプリを始め数々の勝利を収めたマセラティ 8CM Monopost。

アウトユニオンのひとつワンダラーが空気抵抗を意識してデザインしたストリームライン。ドイツからアウディが持ち込んだ1台だ。

会場を盛り上げたもうひとつのカテゴリーは、当時記録を打ち立てた、あるいは挑戦した車両たち。特に、排気量28.5リッターのモンスターフィアットS76の爆音は場内を沸かせた。ちなみに、このフィアットS76は、自走してフェリーに積まれイギリスに渡り帰って行った。

1911年にフィアットが最高速の記録を出すために作り出したモンスター。28,353 ccで4気筒から290馬力を発生する。最高速度は211km/hで当時の世界記録となった。航空機の技術で設計され2台のみ製造された貴重なマシンだ。

また、モンレリ・サーキットで記録を出したルノーのネルヴァスポール レコード、Renault 40CV レコードの2台、そしてシトロエンのプチ・ロザリーも混じってこのモンレリ・サーキットを走った。100年近く前の情景がそこに再現されたのは、車の歴史を作ってきたフランスならではの光景だろう。

航空機メーカーのコードロンの、マルセル リファードによってデザインされた記録に挑戦するためのモデル、ルノーネルヴァスポール。1934年に48時間3分14秒の走行で平均時速167.445km、48時間で8037kmなどの世界記録を樹立した。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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