「ヴィンテージ・リヴァイバル」レポート第2弾|個性的な戦前オートバイに注目!

Tomonari SAKURAI

昨年予定されていたモンレリ・サーキットでのカフェ・レーサー・フェスティバルは急遽中止となった。そして今年のカレンダーにはその名前もない。モンレリ・サーキットではオートバイの姿を見る機会が減ってしまったが、今回は違う!サーキット走行に70台のオートバイが登録され、その数倍のオートバイが会場に集まっていると感じるのだ。今回はVintage Revivalからの2輪参加車両を見ていこう。

サーキット走行は2つのカテゴリーに分かれており、1919年以前と以降だ。また、エンジンが付いていればオートバイでも車でも走ることができる走行枠もある。これは内側のすり鉢コーナーのみを走る完全なオーバルコースを使用する。これには1919年以前のmotocyclettes(自転車オートバイ)が参加した。小排気量の2輪がメインだが、派生した、3輪や4輪も参加した。

空冷のシングルやツインの歯切れの良いサウンドに紛れて、2ストロークのScottなども走っている。コーナーを如何に走り抜けるか、などと考慮されず設計されたオートバイは、コーナーでマフラーを擦り、火花を散らすなど、どのバイク(ライダー?)も活気に溢れていた。1919年以降のバイクの大半は30年代以降のもの。この時代になると、シングル・エンジンは完成に近づき、そのパワフルなオートバイの走りは本格的。

水冷2気筒2ストエンジンのScott。

中央を走るのはノートン Type30 Inter 490cc 1932年。

後ろを走るのはこちらもスイスのモトロシェC35。その前を走るのはフランスのグノーム エ ノームABC BARTHELEMY 1922年。

オートバイは車以上に乗り手が露出しているため、そのスタイルもよく見える。安全性が重視され、フルフェイスのヘルメットを着用しているため、乗っているオートバイとのバランスが取れないのが残念だ。これは4輪でも3輪でも同じだが、オートバイはより目立つため、寂しさが募る。それでも、久しぶりに観る戦前のオートバイの走行には興奮した。

パドックに戻り、オートバイ・エリアを散策。オランダやベルギーからの参加車が目立つ。特にオランダからの参加は素晴らしいと感じる。フランス国内からは、かつて存在したフランスのオートバイメーカーを保存するクラブなどが出展しており、興味深い。フランスも車同様に古くからオートバイ・メーカーが存在したが、現存するのはMIDUALくらい。パリにはかつてNew Motorcycleというブランドがあった。1925年から30年のわずか5年間だけ存在したが、2気筒のエンジンを覆うようなプレス加工のボディに覆われている。それをデザインしたのはジョージ・ロイ。その後も、プレス加工のシャーシにプレス加工のカウルというよりもボディを持つオートバイを製造し続けた。4気筒エンジンをそのボディで完全に覆う奇妙なスタイルのオートバイがマジェスティックだ。そのような個性的なVintage Revivalに参加した戦前のオートバイをじっくりと写真でご覧頂きたい。

ベルギーのFN M60スポーツ。FNと言えば現在では銃メーカー。我が自衛隊もMINIMIと言う機関銃をライセンス生産している。

走行を経て最後のクールダウン走行中のNew Motorcycle 350cc。フランスは現在でもすれ違うオートバイは片手をあげて挨拶する。ほぼ全員。結束が固いのだ。

Motocycretteクラスに参加のフランスMonet Goyon 175cc 1928年。

走行中は2輪となるモーガン モノトレース タンデム 550cc 1925年。

NSU 1-3-4 HP 1902年。これで211cc。ステップではなく自転車と同様のペダルが付く。

こちらはパドック内をテスト走行中。

パドックを移動中のZenith Gradua Single 500ccで1912年。

JAPのV8。4.4Lの航空機用エンジンを搭載したモンスターだ。

そのヘッド。剥き出しのコンロッドにバルブスプリンにカムシャフト。

パリ17区。現在なら高級な地区、そこにあったNew Motorcycle。

メーターはフレームにセットされていてエレガント。

その後マジェスティックで車のような構造を持つ4気筒エンジンを生み出した。

会場で販売中のオートバイたち。

エアロダイナミックな自転車。2022年のMoto Légend (https://octane.jp/articles/detail/9135)で紹介したボンネビルのスピード記録にチャレンジするLes Triplettes 2 bonnevilleが111年前に記録を打ち立てようと作られながらも、1914年に自転車での記録はカバー禁止になって仕舞ったそのモデルを復刻したのだ。111年の時を経て再現されているという。

ベルギーのフランドル地方のフランドリアのバイクで会場を巡るオランダからの参加車。

DKW UL 350 345cc 1939年。独特なタンクと2ストエンジンを持つ。

こちらもかつてパリにあったオートバイメーカーRené Gillet のタイプG。1922年のモデルで750ccだ。

スマホのGPSが無い時代の道案内。オートバイはベルギーのサロレア。サロレアと言えばそのブランド名で現在はエレクトリックバイクのブランドになっている。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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