一難去ってまた一難。タトラT87と付き合うということ|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1946年タトラT87に乗るデルウィン・マレットが、“クラシックカーあるある”ともいえる不調の連鎖についてのボヤキをお届けする。



何はともあれ、私がこれまで古い車と付き合ってきた経験から、ひとつ分かったことがある。それは、ある問題を解決すると、今までなかった別の問題が見つかる、というものだ。

私のタトラT87は電子点火装置に問題があって、ある日突然、運転中にエンジンが止まって動かなくってしまった。幸いなことに、その時私は側道に入ることができた。多くの古い車のオーナーと同様に、私はスマート・モーターウェイ(路肩を走行車線として活用するシステム)を恐れている。実際のところ、避けている。スマート・モーターウェイは、私たちが選出した政治家たちがこれまでに思いついた中で、最も愚かなアイデアのひとつだと思う。

約30年前にチェコ共和国でレストアされたとき、前のオーナーは電子点火にアップデートすることを希望していた。当然のように、レストアラーは当時現行だったT613に装備されていた点火システムを使った。不思議なことに、この車は12Vの電気系統で、イグニッションのブラックボックスの配線図にも12Vのコイルが記載されているのだが、私が購入した際には6Vのコイルが使われていた。誰もその理由を説明できなかったので、そのままにしておいた。



AAの担当者は、イグニッション・ボックスに電気は入ってはいるが、出てこないという問題だと診断した。家に戻り、スターターでエンジンをかけると始動はしたが、暖まるとミスファイアを起こすようになった。というわけで私の行動範囲は、近所のフォトジェニックな『ファーナム・ポッタリー』に行ってコーヒーブレイクをする程度に留まった。タトラ所有の仲間たちに聞いてみたところ、密閉式ユニットは修理できないことが分かった。しかしその後、チェコ在住の親切なT87オーナーの厚意により、伝統的なポイント式ディストリビューターに戻すことができた。



ちょっと不便なのは、新旧ディストリビューターのプラグリードがプッシュ式ではなく、ネジ式になっていることだ。かなりの量の絶縁体を剥がし、接点の下にワイヤーを挿せるようにしたところ、エンジンがかかった。(と言ってもこれは、もっと恒久的な対応ができるまでの一時的な修正なのだが)

ブロックの近辺を確かめてみると、次なる問題が見つかった。これまで聞いたことのない、断続的な回転のような「ガチャガチャ」という音がしていたのだ。その次には、フロントブレーキがきつく固着していた。なのでドラムを外すため、マイティ・ソーのハンマーの革ひものようなものと数時間も格闘する羽目になった。



ブレーキシリンダーを分解して清掃し、再度組み立てた後、ブロックをもう一度確認した。ブレーキは効くようになったが、ガクンという音は消えない。翌日は、友人にも手伝ってもらった。ドラムを何度も乗せたり降ろしたり、ドラムとバックプレートの間に隙間を作るために薄いくさびを作ってみても、その音の原因を突き止めることはできなかった。

これからさらなる探求が、そして間違いなく、さらなるフラストレーションもが、私を待ち受けている・・・


文:Delwyn Mallett

Delwyn Mallett

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