世界が注目する日本の観光資源を再発見|DEFENDER JOURNEY

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長年、オフロードに特化した実用車両として世界で愛され続けてきたDEFENDER。誕生から半世紀が経とうとしているなか、現行モデルで完全に生まれ変わった。
優れたオフロード性能はもちろんのこと、高級車並みのオンロード性能も手にしたDEFENDERの真価を体験し、いま注目の観光地を巡る2泊3日の舞台裏を探る。



軍用車のようなルックスだが農家向けの実用車として産声をあげた


初代ランドローバー・ディフェンダーは1990年に誕生した。ランドローバーDEFENDER、そのルーツは1948年に誕生したローバー・シリーズIにまで遡ることができる。軍用車として開発された雰囲気が漂う車だったが、元々は農家向けに開発された実用性に富んだ4輪駆動車で、ピックアップトラックもラインナップしていた。

シリーズIはやがてII、IIIと進化し、1983年にはランドローバー90/110/127(全長が異なる)で大幅にモダナイズされたエクステリアを手に入れた。サスペンションはリーフスプリング式から前後共にコイルダンパー式に進化を遂げた。1990年にはイメージチェンジを目論んだのか、名称に「ディフェンダー」と数字(90/110/130)が組み合わせられることになった。

近年、抜群のオフロード性能と高級感すら漂わせるオンロード性能を両立させているランドローバーのラインナップにおいて、オフロード性能に重きを置いたハードコアなモデルであったDEFENDERはどことなく唯我独尊な雰囲気すら漂っていた。2016 年のDEFENDER 生産終了時、“時代の流れには逆らえないのか”と思わせたものだった。しかし2019年9月のフランクフルトモーターショーで現行DEFENDERは完全に生まれ変わった。それまでの鉄製ラダーフレームには別れを告げ、堅牢なアルミモノコックボディを採用したことでボディの捻じれ剛性は実に3倍に高まった。



全グレードに電子制御式エアサスペンションを設定し、併せて装備されるのが長距離走行を快適にするアダプティブダイナミクス。車の動きを毎秒最大500回モニタリングし、ドライバーの操作や路面状況に瞬時に対応する。ボディロールを最小限に抑えて、快適でフラットな乗り心地をもたらす。最適なダンピングを得られるため、長距離ドライブでの疲労も軽減する。ランドローバーのアイデンティティである一流のオフロード性能を与えながら、従前のディフェンダーとは全く異なるオンロード性能も手に入れている。

エクステリア・デザインは、リアクオーター周りにかつてのDEFENDERを感じさせつつ、あえてネオクラシックに仕上げることなく精緻さと無骨を両立させている。近未来感すら漂わせるのは、デザインの冥利に尽きるだろう。インテリアに目を向けてみてもモダンで高級感を漂わせながらも、ディフェンダーならではの“道具感”が演出されている。ダッシュボードに備え付けられている一体構造のクロスカービームは、強靭なボディの象徴でDEFENDERならではの骨太感が見事にまで視覚に訴えかけてくる。

1日の最終目的地は決まっているが道中の観光は任意という自由行動


車をよく知るためには、車と時間を過ごすに尽きる。そこでDEFENDERをもっとよく知りたい、というオーナーと購入検討者向けに実施されたドライブ旅行が「DEFENDER JOURNEY」である。9月2日から4日にかけては、北海道を巡る2泊3日のプログラム(DEFENDER JOURNEY IN HOKKAIDO)が用意された。参加者は、道央エリアを中心に思い思いのコースを辿り、旅と共にドライビングの醍醐味を存分に味わう時間を満喫した。DEFENDER JOURNEYはガチガチに組まれたスケジュールのなか、観光スポットを巡る類のドライブではない。全員集合する場所や時間が決まっているメニューも用意されているが、それ以外は基本的には自由行動。もちろん、初日に配布されるドライブマップには推奨ルートや推奨観光スポットが記載されているので、不安になることはない。



DEFENDER JOURNEYは、現行DEFENDERの走行特性と快適性をオーナーや購入検討者に実感してもらうことを目的に実施している。ロングドライブは車とじっくり向き合える時間であり、訪れる場所において新しい発見や出会いがあるもの。また、DEFENDER JOURNEYでは上質なサービスの提供が受けられる宿泊施設が選定されている。そして、推奨立ち寄りスポットは、訪れる場所の文化や歴史に触れられることが考慮されている。つまりは、旅の醍醐味も十二分に含まれている、ということ。

9月の北海道はまだまだ深緑に溢れていて、DEFENDERがとてもよく似合う。路面が滑りやすいダートロードでも、フルタイム4WDのおかげでまったく不安感を感じることがない。DEFENDERのデザインの特長は、新旧の街並みはおろか、大都会だろうと大自然だろうと、どんなシュチュエーションにもすんなり溶け込むところだ。それでいて骨太感まで伝わってくる。

北海道での1日目は『しこつ湖 鶴雅別荘 碧の座』への宿泊以外、自由行動。推奨立ち寄りスポットには道の駅 あびら D51ステーション、北海道ボールパーク Fビレッジ、道の駅 サーモンパーク千歳、サケのふるさと千歳水族館などが設定されていた。2日目はHOKKAIDO POLO CLUBでのオフロード走行会の後、ノーザンホースパークでのランチや観光が設定されていた。昼食後は『パークハイアットニセコ HANAZONO』までの移動となったが、これまた自由行動。3日目は新千歳空港が最終目的地だったが、余市ワイナリー、ニッカウヰスキー余市蒸留所、青の洞窟、小樽運河、北一硝子などが推奨立ち寄りスポットとしてピックアップされていた。広大な北海道を舞台に、DEFENDERと共に冒険心を満たす特別な時間は、あっという間に過ぎた。


「パークハイアット ニセコ HANAZONO」は全室にゆったりとしたリビングとダイニングスペースが用意され、窓からは雄大な景色が一望できる。冬はパウダースノーを、夏はラフティングなどのウォーターアクティビティやジップラインが楽しめる。

TVドラマ「マッサン」で有名になった「ニッカウヰスキー」は昭和初期、竹鶴政孝氏が設立した工場。どんな風景にもDEFENDERは自然と溶け込む。

11月25日から27日にかけては「DEFENDER JOURNEY IN ONOMICHI」が開催された。広島県尾道および瀬戸田がJOURNEYの舞台となったわけだ。1泊目は『ベラビスタスパ&マリーナ尾道』に宿泊、2泊目は瀬戸田にある『Azumi Setoda』に宿泊した。なかでもAzumi Setodaは、世界的なリゾートで有名な「アマン(Aman)」の創業者として知られる、エイドリアン・ゼッカ(Adrian Zecha)氏が手掛けたもの。自然の営み、人の営みとその調和を探求することを目的に、その第1弾として日本に開業した宿泊施設とあって非常に注目度が高い。

DEFENDER JOURNEY IN ONOMICHIの1泊目は「ベラビスタスパ&マリーナ尾道」。全室、絶景のオーシャンビューで瀬戸内の光と風と波音を満喫できる。

2日目の宿泊施設はアマン(Aman)の創業者として知られるエイドリアン・ゼッカ(Adrian Zecha)氏が立ち上げたモダンかつ和風な「Azumi Setoda」。木の温もりはタイムレスである。

「瀬戸内キロメートル・ゼロ」と命名された“地産地消”がモットーで広島、瀬戸内海の海の幸・山の幸など地元の食材を楽しんだ。

DEFENDER JOURNEYではスケジュールが合えば「DEFENDER BREAKFAST」というDEFENDERオーナーが集うオーナーズミーティングが開かれることもある。

近隣在住のDEFENDER愛用者とのオーナーズミーティングも催された。同じ車を愛するオーナーと素敵な朝食を共にするのは貴重な体験であろう。

また、2日目のプログラムに設定されていたのは、沖合の生け簀まで船で出向き、神経締めの第一人者である漁師の藤本純一さん親子による神経締めを見学後、料理界で注目されている伯方島の鮨の名店「あか吉」の店主である赤瀬淳治氏の料理を楽しめる、という贅沢なコラボレーションだった。これはDEFENDER JOURNEY参加者のためだけにアレンジされた特別なプログラムの一例であり“こういった機会がなければ知ることができなかった”、“DEFENDERとの出会いがあってのこと”という参加者からの声を毎回、聞くことができる。

特別な体験としてDEFENDERJOURNEY IN ONOMICHIに用意されたのは、海上の生簀にて漁師による神経締めの見学だった。沖合までは小型の漁船に乗り込み、それだけでも参加者は楽しめた様子だった。

神経締めの第一人者として名高い、藤本親子による実演は素早く、プロの業を見せつけられた。

神経締めされた魚は、広島県尾道市から愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」沿いの伯方島にある鮨の名店「あか吉」店主、赤瀬氏が海鮮丼にしてくれた。

尾道市には旧市街の原風景がしっかり保全されており、まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥る。そんな風景にもすんなり溶け込むDEFENDERのデザインも、実にタイムレスである。

DEFENDER JOURNEYでは上質な宿泊施設が選ばれるだけでなく、夕食には地元の名産が振舞われる。最近、日本のグルメが世界的に注目されていることは言うまでもあるまい。

DEFENDER JOURNEYはDEFENDERの魅力を体験できるだけでなく、日本に点在する観光資源を再発見できる貴重な機会でもある。今後、どこを舞台に開催されるのか目が離せない。


DEFENDER 110 X
サイズ(全長×全幅×全高):4945(スペアホイール含まず)×1995×1970(ルーフアンテナ装着時)mm
排気量:2993cc エンジン:水冷直列6気筒DOHCターボ
最高出力:221(300ps)kW/4,000rpm 最大トルク:650Nm/1500-2500rpm
駆動方式:フルタイム4WD
メーカー希望小売価格:1265万円(オプション装着品を除く)(税込)

ディフェンダーコール (土・日・祝除く9:00-18:00)
TEL:0120-18-5568(フリーダイヤル)
www.landrover.co.jp


文:古賀貴司(自動車王国) 写真提供:Pen編集部
Words:Takashi KOGA (carkingdom) Photography:Pen

古賀貴司(自動車王国)

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