神奈川県の箱根にある「ポーラ美術館」は、2018年3月17日(土)から7月16日(月・祝)にかけて、開館以来初となるエミール・ガレの展覧会「エミール・ガレ 自然の蒐集」を開催する。
ガラスの中に閉じ込められた「神秘の森」と「驚異の海」
エミール・ガレ(1846-1904)は、ガラス工芸の分野におけるフランスのアール・ヌーヴォーの旗手である。植物学、生物学、そして鉱物学といった博物学的な知識を駆使して作品の製作に取り組んだことで知られており、彼の工房の扉には「わが根源は、森の奥にあり」という言葉が掲げられていたという。
ガレにとって植物の繁茂する「森」は、インスピレーションの源であり、生命の神秘を象徴する存在として欠かせないものだった。
また、ガレはもう1つの自然「海」にも関心を寄せ、クラゲやヒトデ、タツノオトシゴなど、美術ではあまりとりあげられてこなかったモティーフに着目し、時にはグロテスクにさえ見える海の生き物をデザインとして取り入れた。ガレの時代は『海底二万里』のベストセラーにみられるように、海底探索船やダーウィンの進化論によって海洋学が大きく進展し、海への関心が高まった時代でもあった。
本展では、ガレの芸術を初期から晩年まで辿りながら、「森」と「海」というふたつのキーワードを通して、ガレによる自然の蒐集行為を検証。全国の美術館から集められた約70点と、ポーラ美術館のコレクションから厳選された60点のガレ作品とあわせて、およそ130点が展示される。さらにモネ《睡蓮》などの絵画も併せて展示され、分野を超えて隆盛した芸術運動や時代背景も紹介。また、東京大学総合研究博物館所蔵の標本資料の展示や、さかなクン(東京海洋大学・名誉博士/客員准教授)や、植物の美しさを提案する植物屋「叢 - Qusamura(くさむら)」店主、小田康平氏のトークイベントなど、博物学の視点からガレの作品を楽しめる展示の趣向やイベントも用意される。
展覧会の詳しい情報は2月中旬に公開される予定。興味のある方はポーラ美術館の公式サイトをご確認いただきたい。
ポーラ美術館:http://www.polamuseum.or.jp/
■展覧会概要
会期:2018年3月17日(土)~7月16日(月・祝)(会期中無休)
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館
特別協力:東京大学総合研究博物館
所在地:〒250-0631神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
T E L:0460-84-2111
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