人とクマとの共存をめざす特定非営利活動法人「ピッキオ」は、2018年春、日本で初めて、クマ対策のために働く犬「ベアドッグ」繁殖への取り組みを行う予定だ。現在、クラウドファンディグ「Readyfor」において、この取り組みへの支援を募集している。
ピッキオは「人の安全を守ること」と「貴重な野生動物であるツキノワグマ(以下クマ)を絶滅させないこと」の両立をめざしている。野生のクマが将来にわたって生きていける環境を残し、彼らと共存することで、自然との付き合い方のモデルを発信していきたいという考えだ。
ピッキオは、1998年より計118頭(2017年10月12日現在)のクマに電波発信器を装着して行動を調査してきた。1頭1頭のクマの動きを把握し、人里近くにクマが接近している場合には追い払う等の処置を行っている。クマは学習能力が高いため、追い払いを繰り返すと「ここはいてはいけない場所だ」と理解するようになり、被害防除に役立つという。この追い払いにおいて重要な役割を担っているのが、クマ対策犬「ベアドッグ」だ。
ベアドッグは、クマの匂いを察知する特別な訓練を受けた犬。ハンドラー(飼育士兼訓練士)の指示に従って大きな声でクマに吠えたて、クマを傷つけることなく森の奥に追い払うことができるため、北米の国立公園等でも20頭程が活躍しているという。
ピッキオは2004年、アジア初のベアドッグをアメリカのベアドッグ育成機関Wind River Bear Institute(WRBI)より導入。現在は2頭のベアドッグが活躍しており、軽井沢の住宅地でのクマの目撃件数は、最多だった2006年の36件に対し、2016年は9件まで減少。ベアドッグが目撃件数減少の一翼を担っているのだ。
しかし、WRBIからベアドッグを譲り受けるシステムには問題もある。狂犬病発生国であるアメリカから日本に子犬を輸入するには、最短でも生後10カ月が必要なのだ。大切な幼犬期の訓練をピッキオのハンドラーの元で行えないことや、その間のWRBIへの飼育委託費がかさむことが課題となっていた。
そこでピッキオは、現在飼育している2頭のうち、メスの「タマ」の出産を試みることを発表。オス犬はWRBIから迎え、2018年4月の出産を計画しているという。これが成功すれば、日本で初めてのベアドッグ出産例となる。
本プロジェクトにかかる費用は、出産用の小屋や子犬のためのドッグランのほか、WRBIのスタッフとオス犬の来日渡航費や専門家報酬など320万円余りを想定。このうち100万円をクラウドファンディング「Readyfor」にて募集している。詳細は下記URLよりご確認いただきたい。
募集期間:2017年10月19日 10:00~12月18日 23:00
目標金額:100万円
URL:https://readyfor.jp/projects/picchio-beardog
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