V8フェラーリをメインに、ベストな整備プランを提案する

V8モデルをメインとしたフェラーリ専門店のプライズ。維持費を考慮した整備プランを提案できる、技術力も魅力だ。

千葉のフェラーリ専門店として有名な「プライズ」。工場を併設するきれいなヨーロッパ風の煉瓦造りで仕上げられた店舗には、1000万円前後のプライスタグが付けられたV8フェラーリと、ガヤルドが1台。そのならびに最新の488スパイダーも置かれている。「その488は私の自家用車です」社長の山下隆之さんが笑顔で答えてくれる。

「ウチはV8のフェラーリがよく売れます。ストックしているのもV8フェラーリがほとんどですね」
 
俗にいうスーパーカー世代だという山下さん。のちにフェラーリ専門店を始めるきっかけとなった自身最初のフェラーリも、V8 の328だった。「32 歳のとき最初に買ってから、328は5台乗り継ぎました。その後もずっとV8フェラーリですね」そして今は、この488 スパイダーともう1台328も乗っているそうだ。
 
そんなV8フェラーリ好きな山下さんの経営するプライズには、やはりフェラーリ好きが集まる。実際訪れる顧客層はどんな人なのかを聞いてみた。



「やはり、私と同じスーパーカー世代のお客さんが多いですよ。昔も今も。ただね、嬉しいことに最近若い世代のお客さんも増えてきているんです」
 
おもしろいことに、世代によって好みのモデルも変わってきているそう。その境目は大体40~50歳代だそうだ。

「50歳代以上は、355以前のV8を好みます。逆に40歳代以下は360以降のモデルが多いです。想像ですが、車を好きになった頃の憧れたモデルなのではないかなと。フェラーリはいつの時代も憧れですから」
 
さらに詳しく伺うと、いわゆる会社勤めの方も多く、約半数がそうだという。

「フェラーリを買う人って"スーパー金持ち"ばかりではないんですよ。一所懸命働いてお金を貯めて貯めて、買いに来てくれる方もいます。そんな方が、やっぱり維持できないと諦めて手放すことがなるべくないように、ウチは費用を抑える整備も勧めています」


 
その一例としては純正部品以外も使用するということ。例えば、該当車の純正部品リストでアッセンブリー供給だった場合、同じ部品を使っている他車種が単品で供給されていれば、そちらを使う。その際にはフェラーリ社の部品以外も使うことがあるという。

「純正以外の部品を初めて使うときは、まず自分の車に組み込んで試してからオススメします」なるほど、そうすれば顧客に負担を掛けることがなくなる。

「フェラーリはとにかくパーツ代が高いですから。純正品よりもある意味で品質の優れた社外品が見つかれば、そちらを勧めます。それと、自社工場で整備できる点も大きいですね。そういったことで維持費は安く抑えられるはずです」
 
その自社工場は店舗と同じ敷地内に隣接する。巨大な建屋のなかにはリフトが4基も備わり、メンテナンスや修理で入庫しているフェラーリでぎっしり。ここで行える整備は、通常の車検や定期点検のメンテナンスから、ECU のチューンやエンジンのOH など多岐にわたる。しかしこれだけの修理を預かるには、顧客の信頼なしではあり得ない。顧客が増えてきた原因を伺うと、「2007年に始めたインターネットのブログですね」と山下さんは即答した。
 
プライズのウェブサイトを見ると、まず最初に目に飛び込むブログの記事。預かっている車の整備進捗を知らせつつ、このような対策をしましたと具体的な作業内容まで載せている。そうすることによって、お店の確かな技術力を知らせると同時に、作業が順調に進んでいるという顧客の安心感が得られる。そこが信頼につながり、今では全国からブログを見たという多くの方が訪れるようになったという。工場が一杯になってしまうほど整備が殺到するのも納得だ。


 
確かな技術と、顧客に合わせた整備プラン、そして山下さんの優しい人柄。プライズのように安心して愛車を任せられるお店こそ、真の「専門店」なのだと感じた。

文:青山朋弘 写真:神村聖 Words:Tomohiro AOYAMA Photography:Satoshi KAMIMURA

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