フェラーリ・デイトナと生きた人々 第3弾│約半世紀ワンオーナーのデイトナ

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私のデイトナは、1972年6月2日にエガムにある、マラネロ・コンセッショナリーズから新車で購入しました。直近の車検は約4万5000kmで取得しました。塗装を含むすべてがフルオリジナルです。デイトナは、私が所有したことがあるクラシックカーで最高のものです。

納車されて1年間で、約1万4000km走りました。最も記憶に残っているドライブはイギリスからフランスのル・アーヴルに渡りルーアン、エクサンプロヴァンスを駆け抜け、モンテカルロに行ったことです。1175kmの道のりを10時間でこなしました。デイトナは大陸横断でこそ本領を発揮してくれます。たまにデイトナ批判で重いだとか、不格好だという指摘はまったくもってナンセンスです。現在、78歳ですが、今でもデイトナは運転していて楽しいものです。5マイルも出ていれば操作系は軽やかですし、空いた道では今でも心踊らせてくれます。

問題は、多くのデイトナが"上っ面"だけのレストアを受けていることです。もし完璧な状態のデイトナを見かけてボディ両側にピニンファリーナのエンブレムが装着されていれば、それは誤ったレストアです。デイトナに装着されたピニンファリーナエンブレムは、右側だけですから。

ハード面では例えばキャンバー角、キャスター角、キングピン角がぴったりでないとステアリング操作が重くなり、ステアリングレスポンスも悪くなります。クラッチケーブルにはカッパーグリスをふんだんに用いないと乾燥して抵抗が発生することで、クラッチの消耗を促します。私はトランクにスペアのクラッチケーブルを積んでいます。

フェラーリのトランスアクスルは当時としては進んだものでしたが、正しい操作方法を知っておくべきです。コールドスタート時、私は1速からシフトアップは4速にしています。3速にシフトするようにという助言もあるようですがギアの構造上、正しくは4速です。エンジンオイルはヒストリックカー用に開発されているシェル製ヘリックス・ウルト
ラ5W/40を定期的に交換しています。ブレーキオイルはDot4を使っており、3年毎に交換しています。ブレーキに不安を覚えたことはありません。

私のデイトナのアイドリングは不機嫌にバラつくことはなく、600rpmで安定しています。経過年数を鑑みラジエーターのコアは入れ替え、ホース類やクリップ類すべて交換していますクーラーは必要充分に機能してくれていますが、もう少し効きを良くするために見直そうと思っています。

当時のフェラーリは新車時から錆に弱いこと知っていたのでサイドシルプレート、ドアの内張りなどを取り外し、念のために防錆剤を塗布していました。今でも私のデイトナに錆とは無縁です。三角窓のキャッチ部分は破損しやすいので、私は開閉しません。

デイトナを所有してから47年が経過しようとしていますが、今でも一番のお気に入りです。この車は素直ですし、信頼性は高いですし、シンプルですし、バランスが良いですし、コントロールしやすく、速く、運転したらとにかく最高な車です。もっと言うと、所有しているだけでも幸せをもたらしてくれます。

そして、巷のデイトナに対する悪評は、正しく知識
を持ち合わせていない人たちのナンセンスに過ぎないです。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation: Takashi KOGA (carkingdom)

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