アルファロメオ・スパイダーのボディペイントは指揮者の如く|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。1974年アルファロメオ・スパイダーをボディショップに預けたものの、何カ月も音沙汰がなく、すっかり心配になったエヴァンがアポなしでショップを訪れた話。



あれから数カ月が経ってもまったく音沙汰がない。私はもはや希望を捨て始めていた。何かを諦めなければならないのか。何らかの形で決着をつける時期が到来したようだ。果たして私は、あの車を他のところへ預ける覚悟はできているのだろうか?「1カ月でやってくれ」とでも頼んでみようか?いや、もし急がせたら、ひどいことになるかもしれない。

仕方がない。私は勇気を振り絞り、アポなしであのボディショップと対峙することにした。ロサンゼルスの交通渋滞と戦いつつ、覚悟を決めて車を走らせた。駐車場に車を停め、中に入り、呼びかけた。

「グスタヴォ!」
「エヴァンさん!」
「いったいどこにいたんだい?」
「ここだよ、心配してたよ。あなたの電話番号を失くしてしまったんだ…」

そして彼は、車を指差した。エンジンルームはペイントされ、トランクもペイント済み、それにドアもトランクリッドも、どれもペイントされていた。ボンネットに目をやると…。落ち着け、私。…とても美しかった!

「そこはまだ磨いてないよ!」と彼は言った。そして彼は、いくつもの魔法の薬と、サンダーを手に取った。オレンジの皮のようなものが溶けていくのを見ていたら、彼が何かを吹きかけて、ピカピカになった。さらに別の液体を使うと、もっとピカピカになり、3つ目の液体では、濡れたガラスのようになった。その輝きたるや素晴らしいものだった。



彼が言うには、「土曜日に残りの部分をペイントするんだ。いつまでもここに置いておけないからね。朝6時に、店が静かなときにやるんだ。写真を撮りたいなら、その時に来てくれよ」とのことだった。

なので、金曜日に電話したのだが、…出ない。メッセージを送っても返事なし。その後また電話しても、出ない。私の気分は沈んでいく。必要なストロボはもうすべて車に積んであるし、目覚ましも朝5時にセットしてある。これは無駄なことなのだろうか?本当に近所なのに。午前5時、目覚ましで起きた私は、グスタヴォに「店にいるかい?」とメッセージした。やはり応答無し。

私は行くべきなのか?もちろんそうだよな。グスタヴォがいないとなると、車の様子も心配だし。

朝6時のロサンゼルスが最高なのは、渋滞がないことだ。15分で到着した。玄関のドアに近づくと、明かりが点いている。隙間から滑り込むと、そこには塗装を待つアルファが鎮座していた。グスタヴォは、スプレーガンに塗料を入れていた。

目が合った。「いたのかよ!」と声をかけると、「土曜に塗るって言ったよなぁ」だと。

私はストロボを持ってライトをセットし、何枚か撮影した。美しかった。そして、彼がスプレーを始めた。私は、空気中に霧状になったペイントの匂いが大好きだ。彼はバレリーナのように車の周りを踊り、指揮者のようにスプレーガンを振り回す。シンフォニーが終わると、車は緑色のペイントで覆われていた。



1週間後。積載車を借りてスパイダーをアルファのショップへと運んだ。そこには新しいエンジンが台の上に置かれていた。

さあ、次なるお楽しみの始まりだ。


文:Evan Klein

Evan Klein

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