スーパーカーなど80台、希少スニーカー100足 etc. ひとりのコレクションとしては最大出品数のオークションが開催!

Darin Schnabel ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

RMサザビーズがカナダ・オンタリオ州トロントにて、来る5月31日から6月1日にかけて「Dare to Dream(夢への挑戦)」と銘打たれた自動車とスニーカーのオークションを開催する。翌週にはモントリオールでF1カナダGPが開催されるスケジュールになっており、車とレースの愛好家にとって理想的な1週間の休暇を過ごす絶好の機会となる。

Dare to Dreamコレクションはカナダ出身のマイルズ・ナダル氏が長年、個人の趣味として築き上げたもの。そう、今回のオークションロットはすべて、ひとりのコレクターからの出品である。RMサザビーズのオークションにおいてはひとりのコレクションからは最大の出品数である、と言われている。出品リストに目を通してみると自動車関連グッズ(ポスターやメモラビリアの類、パーツ、自動車の本)、アマルガムのミニチュアモデル(超高級品)、希少性の高いスニーカー100足、新旧様々な自動車約80台が放出される。



ナダル氏は1980年にマルチ・ディシプリン・コミュニケーションズ社(後にMDCパートナーズに社名変更、現在はスタグウェルと合併)という広告代理店を創業。1987年には株式公開し、積極的な制作会社の買収を繰り広げ、現在では世界の広告代理店時価総額ランキングトップ20に入るほどにまで成長している。ただ、ナダル氏は2015年にSEC(アメリカ証券取引委員会)から不適切な会計処理を指摘され、責任を取って辞任。その後、ピアグループ・キャピタル・グループという投資コンサルティング会社を営んでいる。

そんなナダル氏が約20年かけて築き上げたコレクション。フェラーリならいわゆる“スペチアーレ”と呼ばれる288GTO、F40、F50、エンツォ、ラ フェラーリなどが揃っている。

フェラーリ288GTO

フェラーリF40

フェラーリF50

フェラーリ・エンツォ

フェラーリ・ラ フェラーリ

そのほかポルシェ959や918スパイダー、新旧の911スピードスター、メルセデス・ベンツ300SLガルウィングとロードスター、マセラティMC12、ガルフカラーが施されたマクラーレンP1、ランボルギーニ・ミウラ400P SV、ブガッティ・ヴェイロンなど、誰もが認める高額車両が勢ぞろい。

ポルシェ959

ポルシェ918スパイダー

ポルシェ911スピードスター

ポルシェ911スピードスター

メルセデス・ベンツ300SLガルウイング

メルセデス・ベンツSLロードスター

マセラティMC12

マクラーレンP1

ランボルギーニ・ミウラSV

ブガッティ・ヴェイロン

個人的にはRUF GTR IIIフラットノーズ・カブリオレ、日産フィガロに興味津々だ。特に後者はアメリカの有名コメディアン、ジェリー・サインフェルドの「Comedians In Cars Getting Coffee」という番組に登場した車両なのだが、走行距離が1万㎞未満と少ない事実を踏まえても… 落札予想価格が5万~6万ドルと見積もられていることにやや驚嘆している。

RUF GTR IIIフラットノーズ・カブリオレ

日産フィガロ

ナダル氏が現在所有している車両台数は175台で、そのうちの25台は売らずに所有し続けるという。コレクターのなかには自ら“クルマいじり”をする人もいるが、ナダル氏はメカニック6名を雇い175台を維持しているそうだ。66歳になったナダル氏は、今ではコレクターとしての情熱がやや薄れた、と自認している。ナダル氏の個人ホームページで今までのインタビューを拝見していると、常々「情熱に投資する」が仕事も遊びもモットーであるようだ。

面白いのはナダル氏がスニーカーのコレクションを始めたのは2019年、別荘に滞在中にネットサーフィンをしていてサザビーズが100足のスニーカーをプライベートセールとして出品しているなか99足を購入したことから始まった。なお、残った1足(ナイキ「ムーンシュー」はサザビーズが一般販売のためにキープする、と決めたからだったが、後のオークションにてナダル氏が手に入れることになった。

興味深いのは、スニーカーコレクションは「一般人でも始められるオルタナティブ投資の熱気を感じて始めたこと」と某経済ニュースのインタビューで答えていることだ。ナダル氏によると2019年当時、いわゆるコレクターズアイテムのスニーカー市場は10億ドル、現在の市場規模は40億ドル、そして2030年には300億ドルに達する見込だそうな。情熱に投資するというよりも、投資に情熱を燃やしているように感じるのは私だけだろうか?

そんな穿った見方をしつつも、ナダル氏は今回のオークションから得られた“収益”の一部はチャリティに寄付する意向だと発表している。カナダにおける寄付行為は節税うんぬんあろうが…、恵まれない方々が少しでも救われるのは素晴らしいことだ。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司

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