最高合計出力、なんと1850馬力!「Zenvoオーロラ」が日本凱旋!?

Zenvo

デンマークのハイパーカーメーカー、Zenvoオートモーティブ(以下、Zenvo)が、最新モデル「Zenvoオーロラ」を昨年8月モントレー・ウィークにて発表した。2007年に設立されたZenvoはST1/TSシリーズで昆明期を経て、ハイパーカーブランドとしての地位を確かなものにした。そして、Zenvoオーロラで新時代の幕開けを迎えることになる。世界におけるディーラー網の構築を図り、日本ではBingo Sportsが手掛けることが決まった。



現在、モックアップ2モデルを引き連れて、世界のZenvoディーラー網を“凱旋ツアー”している一環として取締役会会長兼CCO(Chief Commercial Officer)、ヤェンス・スヴェルドラップ氏とグローバル・ヘッド・オブ・セールスのプシュカー・ゴダンべ氏が来日した。

写真左側の車両がサーキット走行を重視したAgil(アジル)、右側が公道走行を重視したTur(トゥール)。写真左側が取締役会会長兼CCO(Chief Commercial Officer)、ヤェンス・スヴェルドラップ氏、写真右側がグローバル・ヘッド・オブ・セールスのプシュカー・ゴダンべ氏。

オーロラはサーキット走行重視の「Agil」(アジル:英語でいうところのアジャイル)と、公道走行重視の「Tur」(トゥール:英語でいうところのツーリング)の2つの“バリエーション”を用意し、両モデルともに驚くべきパフォーマンスを発揮する。オーロラが搭載するパワーユニットは、Zenvoがマーレ・パワートレイン社と共同開発した6.6リッター4ターボV12エンジンだ。このエンジンは単体で最大出力1,250馬力を発生し、さらに軽量の3つの電動モーターシステムが600馬力を追加することで合計出力は驚異の1,850馬力に達する(Tur)という。

Agil

Tur

エンジンはマーレ・パワートレインから納入されるのではなく、あくまでもZenvoが自社工場にて組み立てるそうだ。なお、エンジンは6.6リッター4ターボV12ベースにV6やV8の展開できる、という。AgilもTurもトランスミッション内部に最大出力200馬力の電動モーターを配することで、ターボチャージャーが十分に過給しない低回転域のトルクを補う。サーキット走行重視のAgilはハンドリング性能向上のための軽さとダウンフォースを重んじているので、あえてフロントアクスルに2つの電動モーターを搭載しない。0→100㎞/h加速は2.5秒、最高速度は227mphとなっている。ちなみにAgil、155mph走行時のダウンフォースは880㎏に達するという。一方、Turは左右のフロントアクスルの電動モーターを配したことで、0→100㎞/h加速は2.3秒、最高速度は280mphに達するそうだ。



Agilはハンドリング性能向上のための軽さとダウンフォースを重んじているので、あえてフロントアクスルに2つの電動モーターを搭載しない。0→100㎞/h加速は2.5秒、最高速度は227mph。

Agilの車両重量はわずか1300㎏、Turは1450㎏を見込んでいる。軽量化に欠かせないのがカーボンファイバーで、スペインのマネージング・コンポジット社と共同開発する。いわゆるフレームに相当するカーボンモノコックタブは自社生産するか、マネージング・コンポジット社から供給を受けるか、は今のところ未定だ。レーシングカーさながらのプッシュロッド式サスペンションのダンパーはオーリンズ製のものを採用することが決まっているが、まだブレーキの供給元は未定だという。

軽量化に欠かせないのがカーボンファイバーで、スペインのマネージング・コンポジット社と共同開発する。いわゆるフレームに相当するカーボンモノコックタブは自社生産するか、マネージング・コンポジット社から供給を受けるかは未定。

レーシングカーさながらのプッシュロッド式サスペンションのダンパーはオーリンズ製のものを採用することが決まっている。

「Agilは後輪駆動、Turは4輪駆動で同じ車でもキャラクターが全く異なるので、迷うことはないと思います。もっとも、“2台揃える”というのもひとつの選択肢ではありますけど」と笑っていたのは、スヴェルドラップ氏。AgilとTur、合計100台限定販売とあって発表と同時に予約が入っている状況だという。既に50台程の枠は埋まっている、とゴダンべ氏が教えてくれた。日本での販売価格は未定だが、250万ユーロから300万ユーロ弱であろうとのこと。

生産は2026年から開始する予定で、現在のプレストにある工場からコペンハーゲンにほど近い場所への移転も目論んでいる。
「生産能力の拡充を図るとともに優秀な人材を集めるには、コペンハーゲンから通える場所であるほうが理想的です」とスヴェルドラップ氏。

新興ハイパーカーメーカーは創業者の強烈なキャラクターを全面に打ち出すことが多い。しかし、Zenvoの創業者であったヤェスパー・ヤェンソンは2012年に、トロールズ・ヴォレルトセンは昨年秋に退社している。そういう意味では実質、スヴェルドラップ氏がZenvoの“顔”となっている。

「私の友人でもあるトロールズ・ヴォレルトセンは根っからの技術者で、あまり表に出ることを好む人物ではありませんでした。今は自身の技術コンサルティング会社を営んでいて、もしかしたら将来的には協力を仰ぐことがあるかもしれません。トロールズが大切にしてきたのは、ハンドリングマシンとしてのZenvo車でした。市場や顧客からの要望はハイパーカーとしてのZenvo車の声が強く、必ずしも彼が望む進化を遂げたわけではなかったかもしれません。私は両方を満たす“民主的”なアプローチで臨んでいくつもりです」。AgilとTurとキャラクターが全く異なるモデルが生まれた理由が垣間見られる話だ。

Zenvoオーロラの登場とともに迎えるZenvoにとっての新時代は、スヴェルドラップ氏のキャラクターを反映している。




文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司(自動車王国)

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