美しきクラシックカーが走る姿は、まるで動く美術館!ヴィラデステの「プレリュードツアー」とは

Jun NISHIKAWA, BMW Goupe Classic

コンクールを飛び出して走ろう!単なるギャザリングイベントに飽き足らなくなったコレクターたちは勇んで見知らぬ街を、道を(中にはよく見知った道だという参加者もいたが)走りたがっている。いわゆる“ツール・デレガンス”は、例えばかのペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは今やほとんど独立して重要なイベントになっている(もちろん審査にも影響する場合がある)。

長らく敷地内のミニパレード(=ジャッジと限られた招待客が見物する)しかなく、動かざるイベントだった「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ」。今年はコンクールの開催前に“プレリュードツアー”と題した出展車両による1デイのツーリングラリーを開催した。



スタート地点はヴィラデステのあるコモ湖畔の街チェルノッビオからおよそ100km離れたイゼーオ湖畔の街エルブスコ。フランチャコルタなどのワインで有名な地域の有名ホテル“ラルベレータ”にエントラントは前日入りし、美味しいワインと料理をたっぷり楽しんで、翌朝、まずはモンツァに向けて出発した。

ラルベレータのガレージには25台のツアー参加車両が並んでいた。主催者であるBMWクラシックからは328LMクーペや328ロードスター、507ロードスター、M1といった歴史的名車が参加。BMW以外にもランチアフロリダクーペピニンファリーナやシトロエンSMエスパス、ベントレー41/4リッタークーペ・ドゥビルなど走るところはおろか見ることさえ稀なモデルが揃っている。かのサイモン・キッドソンはアルファロメオSZ2に長身を折り畳むようにして乗り込んだ。「乗ってしまえば想像以上にスペースがある」とはサイモンの弁。

日本からも2台が参加した。黄緑のランボルギーニ・ミウラP400SVとゴールドのマセラティ3500GTクーペトゥーリングで、前者は以前にランボルギーニが主催したコンクールで優勝した個体、後者は「コンコルソ・デレガンツァ京都」の主催者として世界的に知られている木村英智氏の所有する個体である。





朝8時にホテルを出発。葡萄畑をすり抜けて湖沿いを西へと向かう。小さな街をいくつも抜け、山岳都市と湖の織りなす素晴らしい景色を楽しみながら、渡された携帯電話のナビゲーションを頼りに走るのだ。



ランチ前にモンツァサーキットへ到着した参加者たちには嬉しいアクティヴィティが用意されていた。スポンサーであるBMWから最新のMモデルによるサーキットタクシーとトラックドライビングだ。筆者も相伴に預かってM2で久しぶりのモンツァを走った。





その日はちょうどミュンヘンの“ジェントルマンドライバークラブ”が主催するサーキットイベントも開催されており、ヴィンテージから最新のレーシングカーまでパドックをみているだけでも楽しめる。そのうちの何台かはヴィラデステにも展示する車両のようだ。ポルシェ934や904、BMW M1グループ5などマニア垂涎のドイツ車や、数台のビンテージアストンマーティンなどもさりげなく置かれている。





ランチののち、ヴィラデステ参加車両によるコース撮影とパレード走行が行われた。ホームストレッチにずらりと並ぶ名車たち。参加者たちも息を呑んだに違いない。車好きにとっては最高の景色というものだろう。



午後、モンツァから北へ、コモ湖を目指して走る。段々と交通量が増え、チェルノッビオに至る頃には今度は道幅も急激に狭くなった。ヴィラデステの周辺は、山も迫っていて、他の湖に比べても一段と動くイベントがしづらい環境ではあるのだ。今回はそれを押してのツアー開催で、多少の渋滞があったにも関わらず、参加者は大いに満足していた。



夕刻。ヴィラデステに到着すると、参加車両はそのままインスペクションを受け、ホテルのガレーヂへと導かれていた。



明日からいよいよコンクールが始まるというわけだ。



文:西川 淳 写真:西川 淳、BMW Goupe Classic
Words: Jun NISHIKAWA Photography: Jun NISHIKAWA, BMW Goupe Classic

西川 淳

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