ボルボ XC 60 5年目の通信簿|2人はなぜボルボに乗り続けるのか。

Takaaki MIURA

ボルボは昔も今も自動車の安全性におけるパイオニアとして業界をリードしてきた。近年は安全性のみならず先進的なパワートレインやデザインにおいても注目されており、国内外のセレブリティが自らの愛車の1台に加えるなど静かな人気を集めている。ボルボのSUVモデルであるXC60 D4(ディーゼル・エンジンモデル)を日常のパートナーとしている2人の自動車評論家、国沢光宏氏と佐藤久実氏に、昨年秋に開業した富士スピードウェイホテルのガーデンヴィラの一室で、その魅力についてお話をうかがった。

自動車評論家の佐藤久実氏と国沢光宏氏。いずれもVolvo XC60D4(ディーゼルエンジン)を所有。佐藤氏は3年で4万キロ、国沢氏は4年強で5万キロを走っているという。



─ 国沢さんと佐藤さんは自動車評論家として毎年、何十台もの新車に乗り、評価をされてらっしゃいます。そのお2人がともにボルボの XC60を所有されているわけですが、その理由をお聞かせいただけますか。

国沢 一言でいうなら、大きさ、使い勝手ともに"ちょうど良い"ということに尽きるね。XC90だとちょっと大きい、かと言ってXC40だともうひと回り余裕が欲しくなる。

佐藤 私もXC40が出たとき、あのカジュアルさに魅力を感じて一瞬くらっと来た(笑)。でも実際乗ってみると車格の差があって、ちょっと物足りなく感じたんです。私は出張が多いから、レーシングギアの入った長いスーツケースなんかをぽんぽんっと載せられるという意味ではXC60はホントにちょうどいいんです。

国沢 ボディが大きいって思うかもしれないけど、見切りがいいから乗ってみるとそうでもない。その点は自分でも意外だったけど、東京都内でもこのボディサイズを持て余したことはないんだよね。たいていのタワーパーキングにも入れられるしね。

佐藤 私も同じです。扱いにくいと感じたことはないですね。

威風堂々としたデザインは実際のサイズ以上に迫力がある。全幅は約1900mmあるが、サイドミラー幅がほぼ全幅と同じなので扱いやすいという。

国沢 僕は車を5台持っているんだけど、この間、5ナンバーサイズの国産のミニバンを買ったの。車幅はXC60より当然小さいんだけど、ボディからドアミラーがドカッと出ちゃっている。車って走っているときはミラーtoミラーが車幅だから、ミラーが出っ張ってると気を遣う。車庫入れの時なんか特にそう。その点、XC60はミラーがフェンダーの幅と同じくらいに収まっているから、実に取り回しがいい。

佐藤 そう言われてみるとそうですね。そういう取り回しの良さに加えて、XC60ってなんかホッとするんですよ。さっき出張が多いって言いましたけど、私たちの仕事って軽井沢の新車試乗会へ日帰りで行くとか、普通の人はあんまりやらないことを普通にやるじゃないですか。試乗してる時間より、目的地までの往復の時間の方が長いこともあります。サーキットを走る仕事も多くて、そこで体力も精神力も集中力も使うから、仕事の往復では極力、神経を使いたくない。だから自分の車は疲れないことがすごく大事で、仕事が終わって、お疲れさまってXC60に乗るとホッとするんです。癒されます。

国沢 疲れないということで言うとXC60のクルージング性能は素晴らしいね。往復600kmを走ったときでもレーンキープアシストとクルーズコントロールを使うと全く疲れない。XC60の ADAS性能は5年前のものとは思えないほどよくできてる。ライントレースも正確で、今の他社の最新モデルと比べても遜色のない性能だと思うよ。長距離や渋滞も楽だから、僕はしょっちゅう使っています。

佐藤 私は自宅がインターのすぐそばで、高速道路を使うことがほとんどということもあって、渋滞以外はADASはあんまり使わないんです。でも5年前って、加減速の制御もまだまだ雑で、いきなり加速したり、かと思ったら急減速したりとか、そういう車も多々ありましたけど、ボルボは本当に制御が自然ですね。

国沢 うん。それに漠然とした言い方だけど、あのボディサイズも含めて安心感があるよね。やっぱり衝突安全性は圧倒的に強いと思う。

佐藤 走りの性能云々以前にそういう安心感があることは大きいですよね。

─ お二方とも長く乗ってらっしゃるのに、内装もキレイなままですが、シートや装備などについてはいかがですか。

佐藤 私が装備で気に入っているのはステアリングヒーターかな。最近は少しずつ増えてきましたけど、5年前に標準装備として付いている車はほぼなかったんです。

国沢 そうそう。寒いときはオートで自然に作動してくれるから、最近はそれに慣れちゃって、ステアリングヒーターが付いていない車に乗ると10分くらいうわ.さむ.って震えます(笑)

佐藤 分かります。寒いとき、ステアリングヒーターの付いてない車に乗りたくないですものね。エアコンは効き始めるまで時間が掛かりますけれど、ステアリングヒーターとシートヒーターがあれば、すぐあったまる。それにシートマッサージもあるから、もう何時間でも乗っていられます。

国沢 僕は車のシートに関して、食べ物と同じで、ものすごく良いとか、絶対これでなければダメということはないと思ってるの。レーシングカーのバケットシートとかは別としてね。でも悪いものはある。そういう意味ではボルボのシートは気にならない。だからいいんじゃないかな。

佐藤 私、腰痛持ちなので悪いシートはすぐわかります。

国沢 僕もそう。悪いシートは車から降りたとき、腰が痛くてウウウとなって、まっすぐ立てないよね(笑)

佐藤 私も同じです(笑) 

国沢 僕も久実ちゃんも白いレザーシートなんだけど、いわゆる富裕層が乗ってる豪華な車に乗るときにジーンズなんか履いてくるなって、よく言うじゃない?でも僕はそういうのは好きじゃなくて、XC60は遠慮なくジーンズでも乗っているの。なぜなら車は道具だから。

パーフォレーテッド・ファインナッパレザー・フロントシートには、リラクゼーション機能(マッサージ)とシートベンチレーションが備わる。

佐藤 以前英国のスポーツカーに乗ってたときは白のレザーシートが思いきり藍色に染まりましたけど、XC60は真っ白じゃなくて少しグレー掛かっていて、色移りしにくい気がします。そもそも汚れが付きにくくしてあるんじゃないかな。

国沢 そうだね。XC60は白なのに汚れにくい。

佐藤 そうですよね。私は車に関して明るめの内装、好きなんですよ。

国沢 北欧は冬が長いからインテリアが暗いと気持ちがどよーんとするじゃない。だから北欧は家のインテリアも明るいけど、XC60の内装もすごくボルボらしい。

佐藤 全体のデザインにも合ってるし、明るい方が居心地もいい。スカンジナビアンデザインらしいなって思いますよね。

ハイテクとモダンが共存する、温かみを感じるインテリア。中央に備わるインフォテイメントは Googleを搭載。スマートフォン同様にお気に入りのアプリをインストール可能で、機能を拡張できる。流木をモチーフにしたウッドパネルや Orreforsのクリスタルを用いたシフトノブなど、随所にスウェディッシュデザインのこだわりが感じられる。

国沢 僕の車なんて本当に明るいよ。乗った瞬間に華やかな気持ちになる。人を乗せても、黒いインテリアだと普通だけど、白だとみんな乗った瞬間に「あれ?」ってなる。

佐藤 特別感がありますよね。せっかくボルボに乗るんだったら明るい色をお勧めしたい。

国沢 今、4年ちょっとで5万キロ乗っているけど全然飽きないね。消耗部品はそろそろだけど、ボディとかエンジンとかは全く問題ない。僕は次の車検も通すつもりで、あれにヒッチメンバーを付けてトレーラーとかを引っ張ろうと思っています。

佐藤 楽しそうですね。私は3年で4万キロです。仕事柄、これまでは基本、最初の車検で乗り換えることをルーティンにしてたんですけど、XC60は次の選択肢がなかったんです。デザイン、雰囲気、性能と総合的に見てこれだけバランスのいい車ってなかなかなくて、乗り換えの踏ん切りが付かなかった。

国沢 絶妙なバランスの上に成り立っているよね。

佐藤 中身が分からなくてブランドだけでプレミアムカーを買う人も多い中、ボルボはちゃんと車の魅力を分かって選んでいる人が多い気がします。オラオラ感も派手さもないけど、でも決して他のプレミアムブランドに引けを取らないところがいい。

国沢 XC60を見かけると、こいつ分かってるなって思うよね。

Ultimate には600W、14スピーカーのharman/kardon® サウンドシステムが標準装備。1410W、15スピーカーのBowers&Wilkins のサウンドシステムもオプションで選べる。 



対談終了後、短い時間ではあるが、お2人に新型の「ボルボXC60リチャージアルティメットT6 AWD プラグイン・ハイブリッド」を試乗していただいた。新型ではEV走行距離が大きく伸張し、モーターの加勢によって力強い走りと優れた燃費性能を両立したという。お2人の感想を聞いてみた。

佐藤 うーん、悔しいけどやっぱりいいなあ。

国沢 自分の家に充電環境がなくてもEV体験ができるし、充電環境があるならさらに魅力的だよね。

佐藤 私のマンションには充電環境はないんですけど、でもやっぱり電気の走りって滑らかでいいじゃないですか。

国沢 うん、D4とは違ってターボラグがないから、ドライバビリティはすごくいい。

佐藤 普段は気にしてないんですけど、このPHEVに乗った直後に自分の車に乗り換えると振動が…(笑)

国沢 それは仕方ない(笑)。都内の渋滞なんかは絶対 PHEVの方がいいよ。僕は今、近所はEV車で、少し遠出をするときはXC60でという使い方をしているけど、このモデルなら近所もXC60で行けるよね。

佐藤 EV走行距離が 81kmあるから、日常生活は電気自動車として使えちゃいますね。それと……なんかコーナーの曲がり方、良くないですか?

国沢 さすが、鋭い。バッテリーを積んでるから重心が低くて、前後の重心バランスがいいんだよ。だからSUVなのに普通のセダンと同じような曲がり方をする。

佐藤 やっぱり。気持ちいいなと思いました。それに乗り心地も良くて、軽さはいろんな意味で正義だけど、重さは乗り心地にとってはときにいい部分もありますよね。

国沢 そうだね。充電を気にせず使える電気自動車として考えれば、航続距離、車格、性能と装備なんかを考慮しても、999万円という価格も高くはないよね。

佐藤 そうですね。



左:佐藤久実
自動車評論家。薬学系大学在学中にレースデビュー。耐久レースをメインに活動し、ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースなどで入賞を果たす。レーシングドライバー、ジャーナリスト、女性という3つの視点から評論活動を行っている。またレースで培ったスキルをベースに、TOYOTA GAZOO Racing Driving Experienceなどでドライビング・インストラクターとしても活動。World Car Awards、日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

右:国沢光宏
東京中野生まれ。ベストカー編集部員を経てフリーに。得意分野は新車の評価の他、自動車企業の分析、新技術の紹介など。自動車雑誌への寄稿をメインに、インターネットメディア、ラジオやTVのコメンテーターも務める。大型免許、けん引免許、1級小型船舶免許所有。2005年アジアパシフィックラリー選手権シリーズに参戦。ラリージャパン(WRC)の参戦経験も持つ。趣味は車とバイク、ボート、スキー、ダイビング。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

富士モータースポーツミュージアムを鑑賞しながら。二人ともモータースポーツを楽しむからこそ、普段は快適かつ安全な車に乗りたいとのこと。

文:若林葉子 写真:三浦孝明 
Words:Yoko WAKABAYASHI Photography:Takaaki MIURA
取材協力:富士スピードウェイホテル Tel: 0550-20-1234 富士モータースポーツミュージアム Tel: 0550-78-2480

文:若林葉子

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