使うのがもったいない !? ノスタルジー溢れるフランス「N7」の風景と車が切手になった

Tomonari SAKURAI

アメリカのルート66は大陸を横断する国道で、現在は廃線となっても映画や音楽の題材になったりしている。同様にフランスにもそういったノスタルジックな浪漫のある道路がある。それがN7(Route nationale 7:国道7号線)。パリからリヨンを経由してモナコの国境に接するマントンまで続く996kmのフランス縦断する国道だ。現在は途中が高速道路となったため分断され、一本の国道ではなくなってしまった。それでも、この道は「海に繋がる青い道(Route bleue)」と呼ばれたり、バカンスに行くために多く使われたことから「バカンス道路(Route des vacances)」とも呼ばれていた。

第二次大戦が終わり、復興が進むと同時にやって来たモータリゼーションで人々は車を手に入れ、バカンスはマイカーで出かける時代となる。その時に使われたのがこのN7なのだ。フランスのヴィンテージカー好きにとって、このN7はシンボル的存在となっている。

そしてそれに取り憑かれた男がいる。“Monsieur Nationale 7(ムッシュ・ナショナル・セット)”と呼ばれるイラストレーターであり脚本家、漫画家でもあるティエリー・デュボア(Thierry Dubois)がその人だ。N7に取り憑かれたように、N7の看板などN7にまつわるものも収集し、年に数回N7を旅し、N7をルートとするヴィンテージカーのイベントを主催するまでになった。

2010年の『Une aventure de Jacques Gipar(ジャック・ジパルの冒険)』―これはバンデシネ(フランスコミック)―では脚本に徹し、ジャン=リュック・デルヴォーが画を担当。車と国道に関わる本当に会った事件を元にストーリーを描いたもので、ヴィンテージカーが登場する。そして2017年には『Chroniques de la Nationale 7』を発表。こちらでは画も本人が担当し、当時のN7の風景をユーモラスに描いている作品だ。

人々の心にあるノスタルジーを思い起こさせるこのN7は、“Monsieur Nationale 7”のイラストで記念切手となって発売されている。2つのシートに分けられ、パリ-リヨンとリヨン-マントンになっている。シートはN7のマイルストーンの形をしており、3つ折りで中にルートが描かれ、8つの切手が配置されてイラストで紹介される体裁だ。ちなみに、切手はシールのようになっている。ヴィンテージカーのイメージとイラストがマッチしており、N7を走ってみたくなるシートなのだ。

マイルストーン型の切手シート。N7のちょうど中間点リヨンを境に2つに分かれている。

二つ折りのシートを広げるとイラストでその国道が描かれており、N7の通過する主要な街の名前が記載されている。

描かれている車はフランス人にとって懐かしい庶民的な車がほとんど。

もうひとつ紙モノをご紹介。絵本の『パパの車』シリーズだ。1960~70年代に2CV、ルノー4、FIAT 500、DSなどをテーマにした絵本が出版された。子ども向けにその車の特徴を描いたものであるが、シトロエンの2CV、DS、AMI6の3種は2003年に各2000部限定で復刻されている。

『パパの車』シリーズからパパのAMI 6。復刻版である。

子ども向けの絵本ながらその車の詳細も描かれている。子どもに読み聞かせる親もターゲットなのかもしれない。

写真や映像ではなく、たまにはイラストや絵本でフランス車を楽しんでみてはいかがだろうか?

もうひとつ。昨年発売された記念切手の2CV。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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