相変わらずの日本車人気!フランスの旧車バイクショー「Salon Moto Légend」の会場から

フランスのオイルメーカーのYACCOの缶をモチーフにしたモデル。125ccのクラスに出場したモデルで、エンジンにAMC(Ateliers de mécanique du centre)125ccのモノを使用しているフランス車なのだ(Tomonari SAKURAI)

11月の3週目といえばボジョレーヌーボー解禁と僕の誕生日(笑)、そしてSalon Moto Légend。「レジェンド・モーターサイクル・ショー」とでもいうべきイベントで、毎年この時期に開催される。ここしばらくはコロナ禍だったため、久しぶりの開催となった。

ヴァンセンヌ旧車クラブのお膝元、ヴァンセンヌの森の中にある花の公園(Parc floral de Paris)のコンヴェンションセンターにバイクが集まる。バイク本体もそうだがパーツやウェアーなどのアクセサリーの販売もあり言うなればバイクのレトロモービルといった感じ。普通なら入場するのも大変なほどの大行列になっているけれど、僕が行ったのは日曜日の午前中。それも雨。おかげでスムーズに入場することができた。それでも中は熱気に包まれており、熱いイベントであることは間違いない。

レトロスタイルの小さなバイクが目をひくブース。ボンネビルと大きく書かれていた。スピードに魅せられた男の作ったマシンがこれなのだ。これはそのひとつの電動バイク。

ボンネビルに挑む電動車のヘッドライトがなぜか逆向き。これは間違えたのではない。1940年代。戦時下のフランスではレースは禁止だった。しかし、車やバイク好きを止めることはできなかった。内緒で企画された草レースに参加したのはレーサーではなく一般のバイク。レース場までそのバイクで向かい、レースが始まる時に少しでも空気抵抗を考慮してヘッドライトを後ろに向けた。実際は空気抵抗の効果なんていうよりもそのスタイルでレーサーの気分を味わっていたのだろう。その心意気を引き継いだオマージュでそうしていると。

フランスではヨシムラのクラブや、スズキのGTシリーズの50周年を祝うクラブなど、相変わらず日本車が大人気。僕がお世話になっているBMWの専門店はなぜかトップガンのNinjaが。ちなみに、フランスでは日本のような話題にならなかったマーヴェリック。でもバイク好きにはそこに登場するバイクは気になるようだ。これも日本と違ってNinjaや刀をほとんど見ないのもフランスのバイクイベントの特徴かもしれない。

ヨシムラの車両を集めたGSX-Rのクラブのブースから。当時限定で販売されたGSX-R750R。

展示のコーナーで目をひいたのは一時期は庶民の足であり、若者達の間でも流行ったモビレット。日本でいう原チャリだ。カスタムされているものもあり、ある意味フランスのバイク文化のひとつといえるだろう。

日本のスクーターのようにフランスの足となっていたモビレット。ヘルメット着用の義務などで一気に衰退してしまった。それでもまず若者が最初に手に入れるバイクとして来場者の記憶の中に刻まれた懐かしのバイク達なのだ。

メインの展示スペースではヤマハの歴代のレーサーが展示された。今年は惜しくも敗れたが昨年はフランス人として初めての世界チャンピオンに輝いたファビオ・クアルタラロの駆ったヤマハXZR-M1を頂点に展示されていた。ただ、ここに来る来場者は現代よりもちょっと古いバイクが好きな輩だ。クアルタラロよりもクリスチャン・サロンのマシンに話の花を咲かせていた。

フランス人初の世界チャンピオンとなったファビオ・クアルタラロのマシンの展示。

しかし来場者にはクリスチャン・サロンの方が馴染み深い感じ。

フランス・ヤマハのブースはXT500を並べている。SRでないのがまたフランスなのだ。

フランス・ヤマハのブース。今回はXT500を並べた。

このイベントは11月の展示の他に、毎年5月にはマニクールサーキットでフランス最大級のバイクのイベント走行会を「Legend Moto」の名で開催している。主催者側からは何度も撮影に来てくれと言われているが、なかなかタイミングが合わないでいる。この11月の展示イベントに来るたびに今度の5月は出かけてみよう!と思う。そう、今回も同様に「5月にはマニクールへ行こう!」と決心してこの場をあとにしたのだった。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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