3年ぶりのF1日本グランプリで過ごした特別な時間|アストンマーティン・パドッククラブ観戦記

Octane Japan

2022年 10月7日~9日、F1日本グランプリが鈴鹿サーキット(三重県)」で行われた。今回の日本GPはコロナの影響で3年ぶりの開催となった以外にも母国開催の意味合いは大きく、大いに盛り上がった。世界中のドライバーたちが憧れる国際サーキット「鈴鹿サーキット」は今年、開設60周年を迎え、今回はホンダがタイトルスポンサーとなり『FORMULA 1 HONDA JAPANESE GRAND PRIX 2022』として開催。また昨年からF1マシンを駆る日本人ドライバーの角田裕毅(チーム:アルファタウリ)は昨年の日本GPが開催中止となってしまったため今回が初の凱旋試合。ホンダがチームパートナーであるオラクル・レッドブル・レーシングのファンも多く、レース結果は同チームのドライバーが1-2フィニッシュ、さらに同チームのドライバーであるマックス・フェルスタッペンがシリーズチャンピオンを決めるなど、日本のモータースポーツファンとしてはF1にあまり詳しくなくてもなんだか嬉しくなる話題の多い今回の開催となったに違いない。来場者数はコロナ前の鈴鹿開催よりも明らかに多く、コロナ対策によって席数の減らされた観戦チケットは完売だったと聞いている。

サーキットの関係者入り口付近では多くの“入り待ち/出待ち”のファンが詰めかけるなど、やはりF1は他のレースとは盛り上がり方も異なる。

そのなかには今シーズンで引退を表明した、日本人でも大人気のドライバーであるアストンマーティンのセバスチャン・ベッテル(ドイツ出身)の走行を目の前で見ようという多くのファンも駆けつけ、手製の横幕や多くの手旗の数でも確認することができた。

日本のベッテルファンからの寄せ書きを掲げる5hige #dankeSeb(@shige5vettel5)さん。この旗はその後、ベッテルのマシンに飾られ、ファンの思いはベッテルへと確実に届けられた。

アストンマーティンは2021年シーズンに60年余りの歳月を経てF1に復帰参戦を果たし、セバスチャン・ベッテルはランス・ストロールと共にアストンマーティンの伝統的なレーシンググリーンのマシンをドライブしているのだ。ちなみにアストンマーティンは2021年シーズンからセーフティカーやメディカルカーも提供し、F1という最高峰のレースを盛り上げると共にこのフィールドを同ブランドのスポーツネスの披露の場としているようだ。

実は今回、アストンマーティンが各国で行う、特別な観戦体験させていただいた。F1グランプリではかねてから各開催地で『Paddock Club』といういわゆるVIPクラブラウンジを開設しており、名だたるチームがそれぞれの趣向を盛り込みおもてなしをしながらF1観戦体験を楽しむ機会を設けているのだ。

「Are you ready for the Japanese Grand Prix?!」

招待されたゲストにはアストンマーティン・ホスピタリティ・チームから一週間前からメールが届き、ゲスト用ポータルサイトにはレースの情報やドライバーからのメッセージのなどワクワク感を盛り上げる情報がアップデートされていった。

待ちに待ったレースウイークエンド。鈴鹿サーキットのピットの上に設けられたホスピタリティラウンジで一日中過ごすことができる。鈴鹿はラウンジテラスが設けられているのも魅力のサーキット。テラスから見下ろすピットはグリーン=アストンマーティンのピットという配慮にも抜け目はない。そこからマシンの出入りやタイヤ交換などを眺めることができるのだ。私がこちらのゲストとしてうかがったのは予選日の土曜日。15時からの予選までお昼前からパドッククラブゲスト向けのコースツアーやピットレーンウォーク、さらにチームオリジナルプログラムのガレージツアーなどが用意されていた。



一歩、足を踏み入れれば別世界。勝手知ったる鈴鹿サーキットは国内レースの雰囲気とは別物だ。参考までにF1開催時には通常のスポンサー看板などもすべて撤去され、鈴鹿サーキットはF1グランプリの仕様へと姿を変える。F1サーカスとも呼ばれる世界を転戦するこのレースはショーアップも心得ているからその雰囲気を味わう価値があると思う。パドックでF1の公式時計として今年10年目となるROLEXの時計塔を発見し「あ、中継で見るヤツだ」とテンションが上がり、その横をドライバーや統一感も眩しい揃いのチームウエアを着た関係者が通る姿を見かけるだけでそこが特別な空間であることがうかがえるものだ。ピットウォークではそんなチームの様子をピットロードを歩き、眺めることができる。

さらにアストンマーティンのゲストであればその柵のなか、ピットのなかまで見学ができるのがやはり嬉しい、特別だ。



『AstonMartin Aramco Cognizant Formula One Team』のガレージではアストンマーティンのブランドそのものを体現しているような雰囲気が味わえた。ピット全体がアストンマーティングリーンで統一された空間に架装され、入り口を入っただけで別世界への通路に繋がっている感覚を抱くと言っても過言ではない。メカニックたちが使用するマシンと同じカラーのヘルメットがオブジェのように壁にかけられ、ガレージツアーではタイヤの保管、エンジニアたちのワークエリアなどを紹介していただいた。



そしてピットへと足を進めると、クラシックなソファーのようなしつらえのブラウンのピット“観覧用”シートが用意され、目の前で二台のマシンの作業が進められているのを間近に見ることができるのだった。さらにシートの前にはウッドパネルに配置された個々にモニターがあり、マシンの走行中はピットとドライバーが走行中に交信する無線も聞くことができるヘッドフォンまで用意されている。質感の高さもうかがえるクラシカルモダンな雰囲気の観覧席。



ちなみにモニターでは走行順位やタイム、コースを走るマシンの位置などを画面を切り換えて見ることが出来た。F1のピットは特に立ち入りエリアの制限が厳しいのだが、このシートがなければもう少し多くの人をこの場に案内できるであろうに…と考えると、ますます特別な体験をさせていただいているという実感が沸く。



ラウンジに戻り、シャンパンやワインなどと共に一皿ずつサーブされるお肉料理やお魚、パスタにチーズなどをいただきながら予選を待っていると、元F1ドライバーのフェリッペ・マッサ選手が遊びにきてくれた。コロナ禍ゆえチームのドライバーの来訪が叶わないのは仕方がないが、このようなサプライズによってラウンジが一層華やぐようだった。



15時。いよいよ予選(一時間)が始まると、室内モニターやテラス席で思い思いに観戦をした。フリー走行中も含めセバスチャン・ベッテルがホームストレートを通過すると観客たちが拍手で走行を応援している。拍手で沸くのは日本人ドライバーの角田とベッテルくらい、といってもウソではない。ストレート手前のシケインからウェーブのように拍手がわく様子に鳥肌が立った。



セバスチャン・ベッテルにとって最後となる鈴鹿は20台中(完走は18台)6位入賞。ランス・ストロールは12位という結果だった。22戦が開催される2022年シーズンレースは残すところ今週末のアメリカ、メキシコ、ブラジル、アブダビの4戦。まだまだF1サーカスは続く。

今回のアストンマーティン・パドッククラブで過ごす特別な観戦体験はオーナーだけが手にすることのできる体験だ。アストンマーティンの“レーシング”なブランド体験をレースやおもてなしに心を躍らせながら触れることで、所有する喜びや豊かさをますます深めることができるのではないだろうか。


文:飯田裕子

文:飯田裕子

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