もしかしたら安すぎる? アルヴィス・グラバーの復刻版|最初の2台は日本へ

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日本では明治産業が販売を担う


だからこそ最初の2台のグラバーはセンス良き英国好きの地、日本に販売されたのだろう。事実、東京の代理店からは5台のコンティニュエーションがオーダーされ、そのうち少なくとも2台がグラバーとなる予定だ(当該車両とシルバーのドロップヘッド)。この代理店は1950年代にアルヴィスの日本代理店を務めており、1933年から自動車部品を供給している親会社、明治産業の創業85周年を記念して、コンティニュエーションを注文したのである。実に素晴らしい。

グラバーをアルヴィス本社に無事帰還させたところで、コンティニュエ―ションがどのように組み立てられているのかを見る時間があった。近代的なショールームとオフィス棟には、すべての設計図と車両記録が保管され(後にアラン・ストートが、私自身の1927年型アルヴィス12/50の新車オーダーシートを取り出してくれた)、古風な赤レンガのワークショップと店舗が併設されている。後者では、生産2台目となるグラバーのシャシーが、ボディワークが塗装される間、スタンドの上に置かれている。

「このシャシーもですが、今、試乗したばかりの車の下にあるものは、1960年代のオリジナルの部品ですが、トレメックのトランスミッションを搭載するために中央のクロスメンバーが変更されています」とピーター・バーフォードが教えてくれた。午前中はチーフエンジニアとして試乗に同行してくれたピーター、午後はツアーガイドを務めてくれた。

「サスペンションはリア・スプリング以外、標準で合金ボディワークが通常のスチール ボディよりも 15~20% 軽量であることを考慮してリーフを省きました。ブレーキはすべてクーパークラフト製ディスクで、フロントに4ポット、リアに2ポットのキャリパーを組み合わせています。これはTD、TE、および TF車全てに提供されるオプションです」

このようなメカニカルな作業は、何十年にもわたって修理やレストアを続けてきたアルヴィスにとっては手慣れたもの。隣の部屋ではグラバーの緩やかなカーブをゼロから形作るという、本当のマジックが行われている。この部屋の責任者はスティーブ・トゥース。アビー・パネルズでの見習いからキャリアをスタートさせ、ジャガーXJ220のボディを作った経験の持ち主でもある。伝統的なホイーリング・マシン(上下に配置された2つの調整可能なローラの間に入れた薄板をオペレータが手動で形成)を使い、アルミ板からパネルを成形し、ボディシェイプの断面を格子状に組んだ「木製バック」と呼ばれる木型で精度を確認する。







“コーチビルディング”の世界では至極、普通な話ではあるが現代のテクノロジーもしっかり活用している。というのも、この木製バック、アラン・ストートが所有するオリジナルのグラバーを3Dスキャンして製作された。また、グラバーにおいて最も複雑なフロントノーズ部分は、3Dプリントされた“金型”を利用している。3Dプリント金型は大量生産には耐えられないが、コンティニュエ―ションのような少量生産には理想的だ。

グラバーは新車であり、多くの都市で導入されている超低排出ゾーン(ULEZ)通行料支払い対象である、というのが当局の見解だ。やむを得ない。このページの上部の写真には、アルヴィスがドナーカーを保管している倉庫の内部を垣間見ることができ興味をそそられる。コンティニュエ―ションではなくグラバーボディを被せたレストア車両として生まれ変わらせ、オリジナルのアイデンティティを保つことはできないだろうか?どうやら可能なようだ。

とは言っても、どうしてもこの“新車”で街中を走りたいのであれば、ULEZ通行料の支払いを受け入れざるを得まい。人は時としてアートのためには、代償を支払わされるものだ。アルヴィス・グラバー・スーパークーペは純然たるアートであるのだし。



グラバー コンティニュエーション
サイズ:全長4,788mm×全幅1,700mm×全高1380mm
ホイールベース: 2,832mm
エンジン:2,993cc、直列 6気筒 OHV
最高出力: 172bhp/5000rpm 変速機:5段 MT
サスペンション(前)):ウィッシュボーンサスペンション (後)):リジットアクスル
ブレーキ:油圧式四輪ディスクブレーキ


編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:TakashiKOGA(carkingdom)
Words:MarkDixon Photography:Reverendpixel


日本での発売元:ALVIS日本総代理店 明治産業株式会社
https://www.thealviscarcompany.jp

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国)

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