ベントレーコンチネンタルGTCで行く1300キロの旅|堪能!グランドツーリング

Ryota SATO

東京・山形の往復ドライブをベントレー コンチネンタルGTCで楽しむ。グランドツーリングの醍醐味は、どこに最も感じることが出来るのだろうか。



現代におけるベントレーブランドの盛隆は著しいものがあるが、そこにおいてコンチネンタルGTシリーズの貢献は実に大きいといえる。そのパフォーマンスを体現するしっかりとした躯体。初めてその車を観るひとを瞬時に魅了するデザインは見事としか言いようがない。

コンチネンタルGTCの圧倒的なバランスの良さ


2002年パリサロンで初代が披露されて以来、現在の3代目に至るまでコンチネンタルGTは正当な進化を遂げてきた。ベントレーのデザインチームには世界中から集まった100人以上のエキスパートが在籍するが、彼らはエンジニアや製造エキスパート、クラフツマンと協働することで革新的なデザインを世に送り出してきた。ベントレーはロンドンから北西170マイルほどに位置するクルー(Crewe)に本社工場をもち、そこでは最新の設計と製造技術への投資が集約されているのだ。ベントレーが冒険的スピリッツに則った独自のデザインに挑戦し続けられるのはそのためである。

ベントレーのデザインアプローチは、その「パワーライン」に集約されていると言っても過言ではない。パワーラインとはフロント・ホイールアーチからリアに向かってボディサイドを一直線に伸びるベントレー独自のプレスラインのことで、このデザインこそ長きにわたって「ベントレーらしさ」を識別させてきたオリジナルモチーフと言えるもの。そのパワーラインをしっかりと我が物にしてきたコンチネンタルGTシリーズは、世代を超えて美しさを放ち続けているのだ。

さて今回、このコンチネンタルGTCを駆って東北山形の金山まで足を伸ばす機会を得た。片道約500km。少し寄り道をして往復1300kmにおよぶグランドツーリングは、このコンチネンタルGTCの実力を試すには絶好の機会と言える。

往路で立ち寄った磐梯吾妻スカイライン。浄土平から抜けるこの付近は火山ガスの発生区間となっており、窓を開けず、停車することなく速やかに通過することを促す看板が目立つ。コンチネンタルGTCはワインディング走行も得意とする。

GTCシリーズには4.0リッター V8ターボを搭載するコンチネンタルGTC(3078万円)、コンチネンタルGTCアズール(3689万円)、コンチネンタルGTC S(3476万円)、コンチネンタルGTCマリナー(3931万円)と、最高出力659PSを発生するW12をもつコンチネンタルGTCスピード(3835万円)という計5つのグレードがラインナップされている。このロングツーリングを一緒に過ごすことになったのは、コンバーチブルモデルのベンチマークとなるコンチネンタルGTCである。4.0リッターV8ツインターボガソリンエンジンは550馬力を発揮。770Nmもの最大トルクにより、0-100km/h加速は約4.1秒、最高速度は318km/hという圧倒的なパフォーマンスを誇る。駆動方式はもちろんAWDであり、ロングドライブを味わうにはほぼすべての条件が整っている。

ちなみにこのコンチネンタルGTのオープンシリーズ、以前はコンチネンタルGTコンバーチブルとも呼ばれていたが、いまはすべて"GTC"で統一されている。オープンカーの呼称としてベースモデルがある車はカブリオレやコンバーチブルと呼ばれ、実用性を併せ持つモデルが多い。逆に専用のボディが与えられたオープンカーはロードスターやスパイダー、バルケッタと呼ばれるのだ。

クーペモデルのコンチネンタルGTとGTCのスペックを比較すると、全高はGT 1405mmに対し、GTCは1400mmとほぼ同じ。トランク容量はGT 358リッターで、GTC 235リッターと、かなりコンバーチブルも頑張っている。重量はGT2165kg、GTC 2335kg。コンバーチブルが170㎏重いが、高速巡行に入れば体感的な差は少なくなるし、むしろ重量増は乗り心地の良さを生むことが多い。燃料タンクは共に90.であり、重量差による燃費の違いも非常に少ない。

コンバーチブルGTCのボディカラーは7色から選択できるのだが、オプションやマリナーペイントを選べば、その選択肢は80色以上に広がる。またルーフトップはソリッドカラーやコンテンポラリーなツイードなど、7種類のファブリックから自由に選ぶことが可能。またインテリアでは、ベルーガブラックやクリムゾンレッドなどレザー5色が用意される。それに合わせてインナールーフカラーも5色からのチョイスが可能だ。

さらに「カラースペシフィケーション」を利用すれば、設定されているすべてのカラースプリットからお好きな色をチョイスできるし、フェイシアパネルやセンターコンソール、ドアパネルにも数多くの選択肢が用意される。つまりは選び放題もアリなのだ。

英国らしさは質素ではない


クーペデザインの完成度の高さがあってこそのコンバーチブルである。特にコンチネンタルGTシリーズの出来の良さを考えれば、その差はあくまでも屋根が空くだけ、である。確かにそれは事実ではあるのだが、このGTCのカギを預かったときの胸の高鳴りは尋常ではなかった。

はじめて訪れた山形の銀山温泉。大正浪漫の郷愁を感じさせるノスタルジックな街並みが魅力である。こういった風景に溶け込むことができるのもエスタブリッシュな英国車らしいベントレーの魅力である。

マリナーオプションの眩く白いボディカラー(アークティカ/103万6890円)に、鮮やかな赤のルーフトップ(クラレット/12万1530円)の組み合わせはあまりにも斬新で目立つ。それをマリナードライビングスペックであるブラックペイント仕上げのホイール(219万1380円)が引き締めるものだから、GTというよりスーパーカー以上のオーラを発揮していた。オープントップの車を所有するならば、出来る限りルーフを閉めるべきではない。かねてからそれを持論としているものの、(自意識過剰かもしれないが)街中における信号待ちのわずかな間だけでも、このカラーリングの注目度は尋常ではなかった。



早朝に東京を出発し、早々に都心を抜けて東北道を利用しながら山形を目指す。高速主体で走るとはいえ約500kmという短くはない距離である。他の車ならば運転による疲労を考慮して、ペース配分や休憩のタイムスケジュールを先に計画するものだが、コンチネンタルGTCで走り出してすぐに、そういった気構えが不要だということに気付く。

ベントレーは各システムの設定変更が可能アン4種類の走行モードを搭載している。長距離クルーズに適した「コンフォート」モードや、レスポンスに優れる「スポーツ」モードも試すが、ほぼどんな道でも「B(BENTLEY)」モードを選べば最適なバランスを味わえる。今回は選択自在な「カスタム」モードを選ぶ必要を感じなかった。

550馬力は必要にして十分以上。疲れを覚えずに二日間で1300kmを走り切ってしまった。運転する楽しみだけでなく助手席の快適性も知って欲しいとは一緒に旅をしてくれたカメラマンの言葉。

さすがにリアシートは広過ぎることはなく、「大人4人が快適に乗車できる十分なスペース」というわけにはいかない。だが小柄な方や子供ならばこのリアシートは十分に実用的であるし、ある程度のトランク容量があるので長時間の移動も苦にならないはずだ。

「フロントシートコンフォートパッケージ」のオプションが装着されており、ネックウオーマーやマッサージ機能が付く。「ダイヤモンド・イン・ダイヤモンド」と呼ばれるダブルステッチのシート表皮は「マリナードライビングスペック」に含まれるオプション。これもベントレーらしいデザインの一つだ。

静粛性は見事。高速道路を巡行しているとファブリック製ホロの4層構造の恩恵を感じざるをえない。速度を上げて行っても風切り音やタイヤからのロードノイズが高まっていくこともなく、快適さはハードトップのクーペと、そう変わらないといった印象だ。

エンジンも良い。W12のトルクフルな走りは、車好きならばぜひ楽しめるうちに覚えておいてほしいと願うものの、4リッター V8直噴ツインターボエンジンは、全回転域で滑らかさを味わうことができる。何と比較するかという問題はあるものの、重量の割に回頭性に優れ、ワインディングにおいても軽快なハンドリングで走り抜けることができるのだ。



あふれるパワーの感覚は間違いなく5リッター以上なのだが、過給器が装着されていることを意識するタイミングは皆無。8段DCTとの組み合わせが思いのほかスムーズであることも含めて、圧倒的な乗りやすさにつながっているのだ。AWD機構であるが、あくまでもFRをベースにした機構だけにナチュラルさが際立つ。

往路での寄り道も含めて2日間の総行程は1300kmにもなってしまった。山形をそれほど早くない午後に出発したにも関わらず、東京に到着したのは週末の夕食時に間に合うようなタイミングであった。アイドリングストップや低負荷時に8気筒シリンダーのうち4気筒を停止させる休止システムの効果により、トータルでの燃費はカタログスペック以上を記録した。オープンにしても風の巻き込みが少なく、この快適性は特筆であった。

グランドツーリングはスポーティな自動車において永遠のテーマである。結局何の不満も見つけられないまま、コンチネンタルGTCのツーリングは終了した。願わくばこのデザインに負けないルックスとさりげない気品を身に着ける余裕が欲しい、そう思うだけであった。

「蔵のまち」と呼ばれる福島県喜多方市にある喜多方市美術館の前を走り抜ける。このアングルからはベントレーのオリジナルモチーフである「パワーライン」の力強さが良く伝わってくる。


文:堀江史朗(オクタン日本版編集部) Words:Shiro HORIE(Octane Japan)
写真:佐藤亮太  Photography:Ryota SATO


ベントレー・コンチネンタルGTC
ボディサイズ:全長4850×全幅1965×全高1400mm
ホイールベース:2850mm 車重:2335kg 駆動方式:AWD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT 最高出力:550PS(404kW)/6000rpm
最大トルク:770Nm/2000-4500rpm
タイヤ:(前)275/35ZR22 104Y/(後)315/30ZR22 107Y
燃費:12.5L/100km(約8.0km/L、WLTPモード)
価格:3078万円/テスト車両3297万1380円(オプション込み)

オクタン日本版編集部

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