バカンス真っ最中のパリの車事情|空っぽの街にも車好きは集まるのか?

Tomonari SAKURAI

8月のパリはバカンス真っ最中。みんなバカンスに出かけてパリは空っぽだ。以前お伝えした毎週日曜に車好きが集まるようになったナポレオンのお墓のあるアンバリッド廃兵院はどうなってるのか?気になって行ってみることにした。日本だと休みといえば、あちこちでイベントなどが開催されるが、フランスはバカンスは皆がバカンスを取る。イベントなども皆休みになってしまう。だから8月は車のレースやイベントはほとんどない。そんな時期に車好きは集まってるのか?ちょっと出かけてみたのだ。メトロに乗った瞬間に誰もいないだろうな、と感じた。メトロも駅から人の気配がない。メトロもパリも貸し切り状態!

駅を降りてアンバリッドに近づいても旧車の気配は感じられない。というより、車が走ってない。これはダメだなと思っていたらバイクの豪快な空ぶかしが聞こえてくた。こんな時にでも集まる連中はいるのだな、とちょっとドキドキしてきた。

空ぶかしが元気だったがバイクはトライアンフが1台のみ。その後ろにはアルピーヌ。



前回はランドアバウトを中心に旧車や趣味の車がびっしりだったが、その角にあるカフェの前に数台停まっているだけ。それでも、その一角は車好きの臭いのする特別な空間となっていた。そこで何枚かシャッターを切ると、また一台がやって来た。パリ横断でもおなじみのMoss Monacoだ。車好きの観光客を装って写真を撮っていたけど「君の車はどれ?パリ横断でも、モンレリサーキットでもよく見かけるけど」と声をかけられる。どうやら面が割れているようだ。悪いことはできない。

MOSS MONACOの登場だ。

せっかくなので少し歩いて趣味の車を探してみようと歩き出す。人気のない通りに駐車しているプジョー304を見かけた。このあたりだって普段なら駐車スペースを探すのに苦労する場所なのに、空きだらけ。ついでに8月は駐車料金も無料になる。すべてではないが、こういった観光客がいないような通りは無料だ。取り締まったり、駐車スペースを監視したり警察官もバカンス中だからだ。

普段はびっしりの路上駐車も空きだらけ。そこに一台プジョー304が。

普段は渋滞で動かないサンジェルマン大通りもまるで歩行者天国になったようだ。観光客のいるセーヌ川沿いやシャンゼリゼ大通りなどはさすがに人がいる。観光客向けの商売は真っ盛り。

普段は渋滞の絶えないお昼前のサンジェルマン大通りがまるで歩行者天国のようだ。

観光客向けといえば、コンコルド広場に行くと2CVがいる。フランスの代表的な車2CVでパリ見物というわけだ。最近ではサイドカーのウラルなんかも同様に観光客目当て。ちなみに最近人気なのはタイの3輪タクシー、トゥクトゥクだ。こちらは電動カーに改造してある。

観光向けの2CV。観光客はこれに乗らなくても写真に撮って思い出の1つになる。

コンコルド広場。ロシアのサイドカーウラル。このサイドカーでパリを観光する。その前の3輪タクシーは電動車。

その横にDSを発見。さっきのカフェでもDSを撮ったのでもういいかな?と思ったけど何か雰囲気が違う。DSの色も、その前にいた黒人の男性も、何ともスタイリッシュ。聞くとムービーを撮影中とか。カメラを見ると8mmフィルム。いったいどんな作品になるのだろう。

8mmムービーカメラを持って撮影の準備中。

広場からマドレーヌ寺院に繋がるロワイヤル通りに入ると石畳に蹄の音が。馬に乗った警察かな?と振り返ると馬車である。御者も良い雰囲気だ。車が登場する前はこの馬車がパリを往来していた。そんな昔のパリを想像しながら見ているとこの馬車、なんと4輪ディスクブレーキを装備しているのだ。

白黒写真にたら昔のパリの風景のよう。でも場所をよく見ると4輪ともディスクブレーキを装備。

この空っぽなパリは結構好きだ。アジェの写真を見ているようで。ここのところ30度を超える日が続いたが、この日の午後から雨が降って今週は涼しくなる予報。いよいよバカンス後半。風が吹くと街路樹から枯れ葉も舞い散るようになって、夏の終わりが近づいているのも感じるちょっともの悲しいパリなのだった。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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