メルセデスSL、R107シリーズの豊富なエンジンバリエーション

Mercedes-Benz

ラグジュアリーコンバーチブルの代表格といえるメルセデスSL。なかでもロングセラーだったR107シリーズには、非常に多くのエンジンバリエーションがあった。その豊富な仕様をあらためて整理してみよう。



R107シリーズの最初期モデル350SLは、ボッシュDジェトロニック燃料噴射システムを備えた、200bhpのM116.982型3499ccV8エンジンを搭載して登場した。1976年まで製造され、その後、195bhpのK-ジェトロニックを備えたM116.984に置き換えられて1980年3月まで生産された。米国市場では1971年6月から、3.5リッターエンジンの性能を台無しにした排ガス制御を備える350SL4.5(後に450SLと呼ばれた)が発売された。

M117.982型V8で、4520ccの排気量とD-ジェトロニックにより195bhpを発生した(カリフォルニアでは触媒コンバーターと排気ガス再循環システムによりさらに180bhpにまでパワーダウンする)。一方、ヨーロッパ仕様は225bhpへとパワーアップ。さらに同じエンジンが1976年から1980年にかけてK-ジェトロニックを装備したM117.985へと進化、ヨーロッパ仕様は217bhp、アメリカ仕様は190bhpを発揮した。

ヨーロッパ市場もまた燃料価格の高騰に苦しみつつあった。そこでメルセデスは1974年からD-ジェトロニックを備えたM110.982型の2746cc直列6気筒ツインカム185bhpエンジンを市場へ投入する。1977年から1981年にかけてはK-ジェトロニックを備えたM110.986型177bhpエンジンとし、1981年から1985年までは最大で185bhpを発揮するM110.990型を生産した。

1980年5月になるとK-ジェトロニックをすべてに備えた新シリーズエンジンを搭載する。発表されたばかりのW126Sクラスから流用されたものだった。M116.960型となった3818ccV8エンジンはヨーロッパ仕様で218bhp、米国仕様で160bhpを発揮、1980年5月から1981年9月まで使用された。さらに排気量を僅かに引き上げたM116.962型3839ccに置き換わり、ヨーロッパ仕様で204bhp、米国仕様は160bhpになって1985年まで生産された。

1981年9月、今やシリーズのなかでもアイコニックな存在となった500SLが、K-ジェトロニックを備え231bhpを発揮するM117.962型4973ccの軽量V8エンジンを積み、ヨーロッパ市場のみで発売された。1985年9月にはM117.964型へと進化、KE-ジェトロニックを備えて245bhp(触媒コンバーター付きは223bhp)を発揮した。

シリーズ最大排気量のエンジンを搭載したモデルは1985年11月にまずは米国市場へ投入された560SLだった。KE-ジェトロニックを備えた5547ccのM117.967型V8で、欧州仕様の500SLと同じ245bhp(触媒コンバーター付きは223bhp)を誇っていた。同時に、2962ccKE-ジェトロニック付き188bhp(触媒付きで180bhp)の、M103.982型直6SOHCを新たに搭載した300SLも登場し、ヨーロッパでのモデルレンジがこれで完成した。超レアな420SLには4196ccのM116.964型V8が搭載されており、KE-ジェトロニックを組み合わせることで218bhp(触媒付きは203bhp)を発揮した。


編集翻訳:西川 淳 Transcreation:Jun NISHIKAWA
Words:Massimo Delbò

編集翻訳:西川淳 Transcreation:Jun NISHIKAWA

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