4度のF1王者ベッテルが1920年代スタイルで100年前のアストンマーティンをドライブ

Aston Martin

アストンマーティンのグランプリ初出走100周年を記念して、F1ドライバーのセバスチャン・ベッテルが100年前のグランプリカーをドライブした。

7月21日(木)、週末にF1フランスGPが開催されるポールリカール・サーキットで、100年前のアストンマーティンがはつらつとした走りを見せた。ステアリングを握ったのは、4度のF1チャンピオンでアストンマーティンF1に所属するセバスチャン・ベッテルだ。

ベッテルがドライブしたのは、「グリーンピー」(緑の豆)の愛称もある1922年アストンマーティンTT1。TT1は、100年前にストラスブールのロードサーキットで開催されたフランスGPに出走し、これがアストンマーティンの国際レースデビューとなった。



ベッテルは、現役F1ドライバーの中でも特にモータースポーツの歴史に詳しく、ヒストリックカーやヴィンテージバイクを所有して楽しんでいることでも知られる。ナイジェル・マンセルがタイトルを取った1992年ウィリアムズFW14Bも所有しており、7月初めのイギリスGPでは、決勝前にそれでシルバーストンを走り、V10サウンドを響かせて大観衆を沸かせた。



今回は、1920年代を思わせる粋なスーツに身を包み、ハンチングとゴーグルで装備を固めて、TT1に乗り込んだ。TT1には、当時のレギュレーションに従って後方にずらした助手席があり、そこにメカニックが同乗して、走行中にハンドポンプで燃料タンクに圧力をかけた。この日は、元F1ドライバーのジョニー・ハーバートがベッテルの隣に座った。



「この車がフランスGPのスターティングラインについてからちょうど100年後にドライブできたなんて、信じられないほど光栄だ」とベッテルは話す。

「グリーンピーは、アストンマーティンのヘリテージの中でも、すごく特別な位置を占める。ステアリングを握ると、その100年の歴史が指先から伝わってくるようだった」

「レーシングスピリットと勝利を目指す志こそ、アストンマーティンを定義するものだ。今週末は、それを素晴らしい形で祝福できた。グリーンピーを持ち込んで、モータースポーツのヘリテージと、現在のAMR22が誇る最先端のテクノロジーやパフォーマンスとを並べたんだ」

アストンマーティンの創業者であるライオネル・マーティンは、若きレーシングドライバー、ルイ・ズボロウスキー伯爵の依頼で、このマシンを造った。ズボロウスキー伯爵は1万ポンドを投じて、まったく新しいDOHCの16バルブ4気筒エンジンを開発させる。その年のマン島TT(ツーリスト・トロフィー)への出走を目指したが間に合わず、TT1とTT2の2台は、1922年7月15日のフランスGPでデビューを飾った。TT1のステアリングはズボロウスキー伯爵が握った。



TT1のエンジンは1486ccで、出力は55bhp/4200rpm、最高速は85mph(約135km/h)。ヴォワチュレットスタイルのボディを架装し、車重は750kgで、現代のF1マシンAMR22より45kg軽い。



アストンマーティンF1は、グランプリデビュー100周年を記念して、おなじみのウィングロゴではなく、1913年から使われていた最初のロゴをノーズに付けて、週末のフランスGPに挑む。アストンマーティンは、イギリスを代表するグラフィックデザイナーのピーター・サヴィルの協力を得てロゴをアップデートし、今週それを発表したばかりだ。この新しいロゴは、F1マシンのノーズ側面を飾る。



アストンマーティンのエグゼクティブ・チェアマンで、F1チームのオーナーであるローレンス・ストロールは、次のように話している。
「アストンマーティンのグランプリの歴史は、現在F1に参戦するどのメーカーより早い時期にまでさかのぼる。今週末、フランスGPでのデビューから100周年を迎え、それを祝えることを誇りに思う」


文:木下 恵 Words: Megumi KINOSHITA

オクタン日本版編集部

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