生粋のカーガイ、『ワイルド・スピード』のポール・ウォーカーをも興奮させた911カレラRS

Mecum

8月18日から20日にかけてオークションハウス「Mecum」がアメリカ・カリフォルニア州モントレーにて、コレクターズカーのオークションを開催する。その出品リストを眺めていたら、目を引く出品車両があった。

1973年式ポルシェ911カレラRS、というだけでも要注目なのに、映画「ワイルド・スピード」シリーズの名俳優、故ポール・ウォーカー(正確には数名のビジネスパートナーと設立した法人「AEコレクション」)がかつて所有していた、というヒストリーまで持つ一台が出品されているのだ。



かつて「ワイルド・スピードMEGA MAX」の完成試写会で故人にインタビューしたことがあるが、ガレージに何があるかは教えてくれなかったし、作品中に登場した車で最も気に入った車も教えてくれなかった。おそらく映画のスポンサーの都合上、特定車両についてコメントできなかったのだろう。後に明らかになったのは、ポール・ウォーカーの華麗なる車コレクションだった。

後に分かったことではあるが当該車両、2011年に奇しくもモントレー(モントレー・カー・ウィークエンド開催期間中)で「Russo and Steel」が開催したオークションにてポール・ウォーカーが26万ドルで落札していた。



そもそもポール・ウォーカーは根っからの車好きで、主演映画では自らスタントをこなしたい人物でもあったそうだ。もっとも、ハリウッド映画では安全性を考慮して出演者による運転が禁じられており、ワイルド・スピードの運転はあくまでも“演技”に過ぎなかった、と言われている。

ワイルド・スピードMEGA MAX公開後、ポール・ウォーカーは「ザ・レイトナイト・ショー」というトーク番組に出演し、番組の司会であるジェイ・レノに興奮気味に911カレラRSを購入したエピソードを披露している。そもそもジェイ・レノがアメリカの車好きセレブリティの代表格であるのに、その彼からポール・ウォーカーは“カーガイ(Car Guy)”と呼ばれていた。

ポール・ウォーカーが興奮したのには理由があった。ポルシェにおいて「RS」という名称はRennsportまたはRace Sportの略で、常に最も特別な車両にのみ与えられてきた。911 RS 2.7はFIAグループ3グランドツーリングシリーズのホモロゲーションモデルであり、FIAグループ4競技用に60台の911 RS 2.7が特別に開発された。



911 RS 2.7の開発の中心となったのはポルシェのエンジニア、ノルベルト・ジンガーである。この名前に聞き覚えがある人は多いはずだ。ジンガーは全盛期の917の開発責任者であるだけでなく、彼の名前は今日も“シンガー”ビークルデザインという形で生き続けている。

911カレラRS 2.7はサーキット、ショールームの両方で勝利をもたらすことが証明された。当初、ポルシェはこの車のホモロゲーションモデルを500台のみ生産する予定だったが需要に応えるべく、当初予定の3倍以上となる1580台を生産することになった。

現在走行距離9万3774km、ライトイエローのこのカレラRSは、1973年3月に“ツーリング・パッケージ”として製造された。ニカシルシリンダーコーティングが施された最高出力210psの2.7リッター水平対向6気筒エンジンとボッシュ製機械式燃料噴射装置を搭載し、5速MTが組み合わされていた。



ドライブトレインとサスペンションはカリフォルニア州キャンベルの「ジェリー・ウッズ・エンタープライゼズ」が、インテリアはカリフォルニア州サンディエゴの「オートバーン・インテリアズ」がレストアを手掛けた。さすがハリウッドセレブなカーガイ、ポール・ウォーカーが所有していただけあって、レストアに費用を惜しまなかった雰囲気を感じ取ることができる。



空冷911の金字塔と呼んでもいい1973年式911カレラRSで、写真を見たところ状態はすこぶる良好な様子。そしてポール・ウォーカーが所有していた、という付加価値も加わって、どのような落札価格を付けるのか見ものだ。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

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