究極・最後のアヴェンタドール、LP 780-4 ウルティメ試乗インプレッション|圧倒的なV12エンジンを味わう

Octane UK

ランボルギーニが発表したアヴェンタドール LP 780-4 ウルティメは、クーペ350台、ロードスター250台が製造される予定だ。自然吸気V12エンジン搭載のフラッグシップモデルはこれで生産終了となり、有終の美を飾ることになる。アヴェンタドールのデビューは2011年にまで遡り、最終的には最大出力780ps/8500rpm、0-62mph(0-100km)加速はわずか2.8秒、そして最高速度は時速355キロにまで進化した。

LP 780-4 ウルティメの出力は過去のどのアヴェンタドールより大きく、SVJよりも10psパワーアップしている。つまり、ウルティメは最後のモデルというだけでなく、最もパワフルなアヴェンタドールでもある。ランボルギーニのフラッグシップモデルの開発は明らかに、同社へ大きな利益をもたらした。ウルティメは非常に快適な乗り心地で、圧倒的なV12エンジンは街中でも扱い易く、驚くことに車内からの視界も悪くない。

しかし、少々受け入れがたい点もある。インフォテインメントシステムはこの車の趣を損なっているし、ロボット制御型のISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)の7速ギアボックスは今も変わらず大きな難点といえるだろう。ライバル社のクイックなものと比較すると、大きな隔たりがある。



ボローニャ近郊の道路は混雑している上にウェットだったが、ゾッコに向かうと道の様子がずいぶん変わってきた。丘を蛇行するルートはスムーズかつワイドで、ジグザグの道やヘアピンカーブに加え、大きく長いカーブが長短様々な距離のストレートと繋がっているルートだ。

この道路に適したドライブモードは「スポーツ」だろう。「ストラーダ」(道路の意)モードでは少し優し過ぎる印象だ。「スポーツ」モードなら、動力の裏方となるトラクションとスタビリティシステムの働きで、アヴェンタドール・ウルティメのバランスを感じるのに十分だ。サスペンションもしなやかで落ち着いた感じで、不快感もなく順調なコントロールが保てる。一方でギアシフトは高速化され、選択時のスローな印象を感じることもない。ただ、シフトアップを容易にするため、やはり少々の調整は必要だ。

「コルサ」モードも実に魅惑的なのだが、ウルティメをとにかく獰猛過ぎるレベルにまで増幅させてしまうのも事実だ。もし「スポーツ」モードで納得できるなら、それが最良だと思う。実際、アヴェンタドール・ウルティメを最高に感じられるからだ。



ハンドルを回せば、ほんの僅かなアンダーステアを感じた直後、ノーズがタックインする。それはナチュラルかつクイックで、とても鋭敏だ。大柄のランボルギーニを小さく感じさせ、こんな道路でも悪くないと思えてくる。トラクションはとにかく「物凄い」のひとことだ。ほとんどの場合、駆動力は後輪の巨大なタイヤ、 355/25 ZR21サイズのピレリPゼロコルサに伝えられる。しかし、フロントアクスルにもその力は少々必要だ。ドライバーはそれにはほぼ気づかないだろうが、アヴェンタドールのバランスはそうして適切に調整され、活かされるのだ。

6000回転以下でも、ほとばしるパフォーマンスは体感できるし、ショートシフトをすれば驚くほどのパワーを感じることができる。そうしているうちに、巨大な6.5リッターのV12エンジンに、さらなる力が秘められていることに気づく。それは、近いうちに歴史に残るであろう、輝かしく芳醇なメカのシンフォニーにも支えられているのである。

聞くところによると、来るべきアヴェンタドールの後継車にもV12が搭載されるらしい。世界情勢に合った形で、そのエンジンはプラグインハイブリッドになると発表されているが、この伝統的なスーパーカーブランドが戦わずして引き下がることはないだろう。最後にこんな最高のモデルを出すのがランボルギーニなのだから。


文:Kyle Fortune まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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