バブル時代のカスタムカーの象徴「ケーニッヒ」が生んだ512BB!

Collecting Cars

1980年代当時、フェラーリをモディファイする勇気のある人やチューナーはほとんどいなかった。そんな中で、見事にマラネロのモデルにさらなるワイルドさを加えることに成功したチューナーがケーニッヒである。

ケーニッヒは、自身もレーシングカードライバーとして活躍していたウィリー・ケーニッヒが設立したドイツのチューニングハウスだ。365GT4BBを購入した際、その性能に不満を感じたケーニッヒは、フェラーリを再び "真のスポーツカー “にすることを目的に1977年に同社を設立した。日本では、バブル期に徐々に人気を得て台数が増え始め、一種のバブルの象徴の車となった。1000馬力を誇ったテスタロッサケーニッヒコンペティションエボリューションは、雑誌で頻繁に取り上げられたり、プラモデルになったりもしているため、ご存知の方も少なくないだろう。

先日、イギリスのオークションサイト「collecting cars」にて、1980年式のフェラーリ512BBケーニッヒスペシャルが出品された。



このケーニッヒスペシャルは、4.9L水平対向12気筒エンジンを搭載した512BBがベースとなっており、5速MTを介して後輪を駆動している。走行距離は57,629kmだ。

元のオーナーは、1983年にケーニッヒのアップグレードを施したと伝えられている。





アップグレードにはフレアホイールアーチ、ワイドホイール、フロント&リアスポイラー、一体型サイドミラー、高性能エキゾーストシステム、2ディスククラッチ、ケーニッヒシャシー改良、エンジンチューニング、ブレーキ&ギアボックス冷却オーバーホール、カーフォン装着を含んでいる。内装を見てみると、パールホワイトに赤いレザーで縁取られたインテリアに、コントラストが美しい「デイトナ」シート、黒いダッシュボードで仕上げられている。さらに、Momoステアリングホイール、電動ウィンドウ、エアコン、パイオニア製ラジオ/カセットプレーヤー、自動車用電話などが装備されており、快適性と実用性がかなり向上している。

インテリアは、レッドレザートリムシートに若干のシワと軽い摩耗、ドライバーズシートボルスターに擦れ、若干の軽い変色が見られるが、良好な状態であると言っていいだろう。



また、ゴールドフェイスとポリッシュ仕上げの15インチアロイホイールには、ピレリPゼロアッシメトリコタイヤが装着されている。



この車には、オリジナルの取扱説明書とサービスブック、メンテナンスの請求書、ケーニッヒのアップグレードに関する資料が付属しており、次のオーナーに不安は残らないだろう。ボディワークを見ても衝撃的なダメージはなく、パールホワイトの塗装は全体的に非常に良い状態だ。フロントエンドに飛び石の跡があるが、逆に言うとそれくらいしか指摘するところはない。



55,000km走行時にギアボックスの部分的なオーバーホールを行われており、さらに定期的に部品の交換や修理も行われているため、信頼できる車両だ。

ケーニッヒのオリジナルカーは非常に珍しいが、この512BBは特に状態も良く、一般道を走るにせよ、コレクションに加えるにせよ、どこに行っても人目を引くことは間違いない。ぜひ手に入れたい!と思った方もいるだろう。しかし残念ながらこの512BBは166,666ユーロ(約2375万円)で既に落札されている。ゲンバラなどの他のバブルの匂いが残るチューニングカーと共にガレージに並べてみたいものだ…と、夢は膨らむ。


Collecting Cars
https://collectingcars.com/


オクタン日本版編集部

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