ポルシェボクスターは「出来過ぎ」の車でつまらない、なんて誰が言った!?

Mark Dixon

先日、『Octane』英国版スタッフであるグレン・ワディントンのBMW320iのレポートに、彼のもう一台の愛車ポルシェボクスターも登場したことを覚えているだろうか。今回は、グレンがボクスターを購入したときの経緯を紹介しよう。



ポルシェボクスターは「有能」すぎて「クレイジーじゃない」。そんな評価が一部にはあるようだ。しかし、有能で何が悪い、と私は思う。SNSで「クレイジー」という“誉め言葉”をもらえなくてもいいじゃないか。

ボクスターが初めて英国に上陸した1997年当時、私たちはマツダMX-5(ロードスター)には慣れていたが、ロータスエリーゼにはまだ慣れていないといったタイミングだった。ボクスターは、前者の使い勝手のよさと後者の育ちのよさを理想的にブレンドした車だと私は思っている。そして、201bhpの6気筒エンジンは、その両方を凌駕している。

言うまでもなく、(特に数年前に944を売ってから)私は長い間この車に憧れていた。2006年に初めて2代目ボクスターS 3.4を運転したとき、その思いはさらに強くなった。いつも「次の車はボクスターにすると思うよ。まあケイマンの可能性もあるけど」と言い続けてきた。そしてついにその時が来た。

でも、どれがいいんだろう?あのS3.4はずっと私の心の中に存在し続けていた。当時、1989年式のBMW320iコンバーチブルを売って、購入資金を調達しようという案が浮上した。特にケイマンにした場合は、そうせざるを得なかった。

『UK版Octane 221号』ではボクスター25周年記念特集を組んだ。撮影の主役は初期の2.5だったのだが、なんとそのボクスターは4,000ポンド以下で購入したものだという。それを知って私は思わず「4,000ポンド! すごいな!」と声を出してしまった。この値段ならBMWを残したままボクスターを買うこともできる。安価なフレンチホットハッチや走行距離の多いMk5ゴルフGTIなど、足車としての相棒候補は一瞬にして消え去り、ボクスターを本格的に探し始めることにした。

条件に合ったボクスターに出会うまで6カ月かかった。5,000ポンド前後の底値の個体や、10,000ポンドに近い高価な個体は現実的ではなかった。そして、その中間に位置する、使い込まれているが手入れの行き届いている車を見つけるのはなかなか難しかった。

そんなとき、突然、1999年式のこの車が現れたのだ。

サットン・コールドフィールドで、オーナーのロブ・ナッシュが個人的に販売していた個体である。走行距離は9万マイル強で、MoT(法定検査)記録も、毎年更新されるサービスブックも、そして作業にまつわる請求書の束も付属していた。ペイントやルーフも完全にオリジナルであることが判明し、スーパーマーケットに乗っていくのすら憚られるほど丁寧に扱われていた形跡があった。



このボクスターは23歳。2000年から2020年までずっとワンオーナーで、ロブによると必ず車庫に入れていたそうだ。塗装やルーフ、ヘッドライトの状態もそれを裏付けている。

でも、車庫をどうしようか?以前、944を売らざるを得なくなったのは、ガレージの一部をホームオフィスにしたためだ。しかしその数カ月後、私は地元の貸しガレージを借りて、冬の間は屋外用のソファなど庭の家具を保管している。ここにボクスターを収めることにしようという結論に至った。

そして1週間後、ボクスターは私のものになった。

雨の中を300マイルほど走ってみたところ、この車がロングドライブにおいても十分な防水性と快適性、洗練性を備えていることがすぐに証明された。B級ワインディングロードで屋根を開け、あの輝かしいフラット6の「音楽」を聴きながら走るのは、もっともっと楽しい。1997年当時は、「速さが足りない」という声もあった。しかし、その後に出た後継モデルでは、ボクスターはさらに大きなパワーを簡単にコントロールできることが証明された。



スーパーマーケットにも行って、フロントとリアの両方のトランクを試してみた。ばっちりだ。そう、ボクスターはとても「有能」な車なのだ。




文:Glen Waddington まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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