日本発のアメリカンカスタムカー「ロッド・リゲス」がオークションに登場!

Barrett-Jackson

日本のカーカルチャーがアメリカのカーカルチャーに大きな影響を与え、トレンドを生み出していることは誰も否定しないだろう。ポルシェチューナーのRAUH-Welt BEGRIFFの評判や、リバティーウォークキットの圧倒的な人気、さらにはドリフトも日本が発祥だ。シャコタン、鬼キャン、タケヤリマフラー、そしてアメリカで密かに流行っていることはあまり知られていないが、ユニークなトレンドのひとつである「族車」が登場したのも日本である。

しかし、アメリカのカーカルチャーのトレンドが、日本のカーカルチャーの中心になることはなかなかない。だが、ひとりの日本人が製作したカスタムカーが、海を渡りアメリカでも高い評価を得ている。



下平淳一氏。日本のローライダーシーン創始者の一人であり、現在も日本におけるトレンドを牽引している人物だ。

彼はアメリカの自動車雑誌を読み、『チーチ&チョン』や『アメリカン・グラフィティ』などの映画を見て育った。ある時ロサンゼルスを訪れた下平氏は、そこで見たとある車に触発され、名古屋にパラダイス・ロードというショップをオープンした。そして2002年、横浜で開催されたホットロッドカスタムショーで、下平氏はのちに「ロッド・リゲス」という名で世界的に知られるようになる、1930年製フォード・モデルAチューダーセダンを発表したのである。



ホットロッド、カスタム、ローライダーのスタイリングを融合させた 「ロッド・リゲス」 は、日本のロッド&カスタムスタイルを定義したといっても過言ではないだろう。また「ロッド・リゲス」 は2000年代初頭の日本のカスタムカーシーンを盛り上げる上でも重要な役割を果たした。

この車は、ベスト・ストリート・ロッド賞やベスト・ボディ・ワーク賞など、多数の賞を受賞した。そしてショーが終わった後、下平氏はさらにローダウン、フェンダーの追加、ニューペイントなどのカスタムを施した。

2003年のヨコハマホットロッドカスタムショーには、第2弾の「ロッド・リゲス」が登場。その年のホットロッドカスタムショーでベストオブショー、ジョージ・バリス賞、ストリートロジャース賞、ラインドクター賞の4冠を達成している。



2005年、カリフォルニア州パソロブレスで開催された、グランドナショナルロードスターショーと、クルージンナショナルズに出場するため、下平氏はこの車をアメリカに持ち込んだ。

下平氏はこのカスタムの原型を作るにあたり、彼の憧れであるカスタムカーのアイコン、エド・ビッグダディ・ロスやジョージ・バリスから多くのスタイリングのヒントを得たという。

スチールフレームにリア6インチ、フロント4インチのZ’d加工を施し、さらにフレームをボックス化することで強度を高めた。スチール製のボディに4インチのウェッジチョップを施し、さらに低い位置にチャンネルを設けて車の製作を行った。ローダウンしたスタンスと、1949年製オールズモビルロケット303ci V8エンジン、4速ハイドラマチックトランスミッションに合わせて、ファイヤーウォールとエンジンカウルも大きく作り直された。



さらに1959年型キャデラックのフロントバンパーをベースに、丸パイプと板金でノーズを作り、4灯ヘッドライトが取り付けられた。

下平氏は2度目のカスタムの際、サイドステップを付けずにフェンダーを出したいと考えた。そこで、このようなワイルドな造形のフェンダーを製作したのだという。フロントフェンダーのマウントは、鉄筋をクモの巣状に加工し、クロームメッキを施して取り付けている。

リアは1958年型シボレーのパーキングランプベゼルを反転させ、テールライトとして機能するようなポッド型の彫刻が施されている。

足まわりは、フロントにTCIエンジニアリングのドロップアクスルキットとGMディスクブレーキ、リアにシボレー10ボルトのリアエンドとチューブショック、TCIエンジニアリングのスプリングがセットされている。

null

インテリアは、ダッシュボードやメーターパネルなどはノーマルのままだが、シートは下平氏が一から作り直し、60年代のティファール風クロスを貼り付けたバケットシートになっている。また、1960年代前半のフォードのステアリングをカットして使用している。



バージョン2では、カラーリングがフォグゴールドからテキーラゴールドに変更され、ピンストライプもM&K Custom Signsの小林誠氏によるものに。ホワイトウォールのワイドタイヤとクロームメッキのスチールタイヤは、クラガーのスターワイヤーホイールに交換され、1960年代風のホワイトストライプタイヤが装着された。



ホットロッドをはじめとする数々の雑誌で取り上げられ、テレビ番組「マイ・ライズ・ルールズ」や映画「リコリス・ピザ」にも登場した “ロドリゲス"。この車は6月30日から7月2日までコンベンションセンター西ホールで開催される2022年バレットジャクソン・ラスベガスオークションにて、販売されることとなった。この車が獲得したトロフィーや賞品のコレクションも、車両の付属品となる。

日本が誇るアメリカンカスタムカーは、果たして日本にカムバックするのか、アメリカの大地で再び輝くのか、はたまた全く違う国で新たな人々の目に触れるのか。日本のアメリカンカスタムカーが今後どのような影響を世界に与えるのか楽しみだ。

Barrett-Jackson
https://www.barrett-jackson.com/






オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事