「もしBMWがZ8クーペを作っていたら?」を形にした、ある兄弟の傑作

Smit Vehicle Engineering

幼いころからのBMWへの憧れと、「もしBMWがZ8クーペを作っていたら」という兄弟2人の思いが、スミット・ビークル・エンジニアリング オレサ・クーペを生み出した。兄のウィレム・スミットはテスラとシンガーで働いた経験があり、弟のカエスは航空宇宙産業に従事したという経歴を持っている。

「私たちは、いくつかのフレーム図面を描くことから始めて、寸分の狂いもなく実現することが可能かどうか考えました」

時間が経つにつれて話は本格的になっていった。2人は会社を辞め、スミット・ビークル・エンジニアリングが設立され、この「オレサ・クーペ」が誕生したのだ。E86 Z4 MクーペのホイールベースなどのディメンションがZ8に近いことが判明し、ウィレムのE86 Z4 Mクーペを開発のベースにすることにした。E86はZ8よりもはるかに剛性が高く、入手しやすかったということもある。その結果、約45万ドルという価格に見合うだけの価値を持つ車となった。ボディはイギリスのスペシャリストによるオールコンポジット。その形状は、主に兄弟が自ら考案したものである。



ディテールは、デジタル・サーフェシング・モデラーの協力によって仕上げられ、その身元は明らかにされていない。スミット兄弟はエンジニアとしての素養があり、オレサはCFDテストによって空力特性を実験した上で設計されている。ポップアップ式リアスポイラーは、時速321km/hでリアアクスルの揚力を159kg低減する。このリフティング機構のために専用の試験装置が作られ、負荷サイクル試験を手伝っていたウィレムのガールフレンドは1万回の昇降運動をする羽目になったそうだ。

ウィレムはこのクーペを「プロトタイプ」と表現するかもしれないが、OEM車を超えるレベルに仕上がっている。オレサはBMWの4.4リッター自然吸気S65B44型V8をベースにスミットが独自に開発したエンジンを搭載している。内部構造の見直しにより、出力はベースよりも向上しており、最高出力は450bhpに、レッドラインは8500rpmに引き上げられた。

このように、エンジンをはじめに何から何まで、数えきれないほどの変更が施されているのだ。しかし、シート、ダッシュボード、ドアカードはほぼノーマルのまま。しかし、顧客の要望に応じてトリムを変更したり、オーディオをアップグレードすることも可能である。



調整可能なKW製サスペンションで足回りを仕上げられたオレサは、GTとスポーツカーの両方の要素を持ち合わせており、一見平凡でありながらも真のコントロールとバランス、そして敏捷性を備えている。さらに言えばクラシックカーのような没入感と魅力がありながら、現代的な洗練と落ち着きをも併せ持っている。V8エンジンの低回転域の力強さが、オレサの印象的な二面性に大きく貢献しているのだ。

6段マニュアルは下のギアでも十分快適に乗ることはできるが、さらにギアを上げれば、V8は猛烈な勢いで回転し、シャシーの能力に裏打ちされた、よりハードエッジな音を響かせ、ドライブを心から楽しむことができるようになるだろう。

スミット兄弟は、「こんな車をBMWに作ってもらいたかった」と表現しているが、私はBMWがこのような素晴らしい車を作れたかどうかはわからない。というのも、オレサは見た目も、そして肝心のフィーリングも、実に特別な一台に仕上がっているからだ。



文:Kyle Fortune まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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