BMWきっての名車2002のレース仕様、その名も「ゴールドメンバー」

(C) The Market by Bonhams

自動車メーカーが最も格好いい車を生産することを考えたときに、エキゾチックなもの、ハイパワーなもの、スポーツ性の高いものにまず惹かれるのは当然のことだろう。

もしBMWで最もクールな車を購入しようと思うなら、数多くのモデルから選ぶことができる。現代的な車選びであれば、筋肉質なBMW 1Mを候補に挙げるかもしれない。一方、モダン・クラシックの世界に目を向けると、大人っぽさとアグレッシブさを兼ね備えたモデル、E30 M3 Sport Evoに勝るものはないのではないだろうか?70年代であれば3.0CSLのロードゴーイングモデルやバットモービル、1956年まで遡れば、507も候補に上がるだろう。

しかし、BMWのデザインの中で最も考え抜かれた、最も好ましいオールラウンドなデザインを求めるのであれば、2002以外にはない。低いベルトライン、高いグラスハウス、シンプルなキドニーグリルバッジ、豊富なブライトワーク、エレガントな円形のテールライトなど、控えめなデザインディテールは、人々を魅了する究極の存在だ。



さらに、この車が優れているのはビジュアルだけではない。メカニカルパッケージも充実している。シャシー、4ポットエンジン、そして驚くほどハードな走りをするそのキャラクター。どれもが人々を魅了する。

1966年に75bhpの1600が登場して以来、エンジンのサイズとパワーが大きくなるにつれて、賛美の声は高まっていった。最終的には1990ccエンジンにクーゲルフィッシャー社製の機械式燃料噴射装置を搭載し、最高出力130bhp、最高速度120mphという驚異的な性能を実現したのだ。



当時BMWのM部門はまだ設立されていなかったが、チューニングのスペシャリストであるアルピナは、ヨーロッパや北米の様々なプライベーター向けにフルレース仕様の2002を数多く生産した。

今回ボナムス社のオンラインオークション、THE MARKETに出品された「ゴールド・メンバー」を紹介しよう。

「800kgのボディに200馬力でレーシングカーのような走りをする、フルーティーな車です」と、売り手のニック・ラシュトンは言う。彼は2019年1月に、ビスター・ヘリテージを拠点とするスペシャリスト、ペンダインからこの車を購入した。



サイモン・ディフィーと彼のエンジニア、ボー・ヘアーは当初、ディフィーと彼の息子がレースに参加するために、当時のアルピナのレーシングカーへのオマージュとして、欧州グループ1の「オールスチール、オールガラス」仕様の車を開発した。

このレースカー仕様の2002は、最高水準の仕上がりとなっている。ディフィーと共にいくつかのレースシリーズに参戦した後、第72回グッドウッド・メンバーズ・ミーティングでヨッヘン・マスがステアリングを握り、このマシンのハイライトを飾った。現在も、車体のサイドには彼の名前が誇らしげに記されている。



「このままの状態で購入したんです」とニックは言う。「私が所有している間は、何も手を加えていません。レースには出たことがないので、競争力についてはコメントできませんが、グッドウッドMM2014のビデオやブランズハッチでのヨーロッパグループ1仕様マスターズ優勝のレースレポートがインターネット上にたくさん残っています」

数年にわたり“フルーティー”な2002を楽しんできたニックは、このたび別れを決意した。そこでこの完成度の高いレーシングカーは、新たな住処を探すことになったのだ。



この「ゴールドメンバー」は5万ポンドから7万ポンドで落札されると予想されており、次のオーナーは多くのレーシングオプションを得るだけでなく、非常に快活なドライビングを体験することができるだろう。



(C) The Market by Bonhams

オクタン日本版編集部

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