イギリスらしさ満点!モーガンの原点も学べる「三輪三昧」の博物館

ALAMY

ケント州のガーデン・オブ・イングランドの歴史的な脇道をモーガンのスリーホイラーでドライブする。実にイギリスらしい体験だ。もし試してみるなら、道路にあいた穴には特に注意してほしい。後輪は真ん中にあるから、前輪が通ることができても後輪がハマってしまう恐れがある。

ケント州のロルベンデンは、州内でもっとも魅力的な村のひとつだ。我々のようなクラシック愛好家にとっては堪らない、アンティークショップのファルスタ・アンティークスがあるからだ。外の看板には「車の博物館」とも書いてあり、隣接した建物内には10台以上のモーガン・スリーホイラーが展示されている。さらに、カラフルで歴史的な工芸品が所狭しと展示され、自動車の素晴らしい歴史が一箇所に詰め込まれている。ここは50年前から続く、C.M.ブース氏のモーガン博物館だ。優れた博物館の例に漏れず、すべての車を走行可能な状態で保存し、かつ必要に応じて走らせることで動態維持を図っている。

H. F. S.(ヘンリー・フレデリック・スタンレー) モーガンが最初の車を造ったのは、1909年のことだった。その目的は、ある意味では「自分のための究極の小型車」だった。レバー式の操舵システムを備えたこの三輪車には、プジョー製のV型ツインエンジンが搭載されていた。しかし、それは序章に過ぎなかった。たった数年後に彼は早くも、2シーターでハンドル付きのモーガンの販売を始めることになる。

C.M.ブース氏のコレクションでは、1909年のプロトタイプの再現により、モーガンの起源を見ることができる。このプロトタイプの再現は、クリス・ブース氏、モーガン社のピーター・モーガン氏、そしてモーガン・スリーホイラー・カー・クラブのメンバーの協力により実現したものだ。

1909年のモーガン・プロトタイプ(Photo: Barry Wiseman)

もう1台、魅力的な展示車両がある。1913年の四輪モーガンだ。第一次世界大戦によって窮地に立たされたモーガンが、三輪の哲学から脱却を図った象徴といえるだろう。1930年代、ある作業員が工場内でスクラップの中から、半分に切り落とされたシャシーを見つけた。それに興味を持った彼は、それらの部品を手に入れて1983年まで保管していたという。そしてその後、適合するパーツとフレームを所有していたブース氏に提供したのだった。『ボーリュー・オートジャンブル』等のイベントで、さらなるパーツが根気よく集められ、6年が経った頃にこの四輪バージョンが完成した。

この2台は、ロルベンデンの当博物館ではずば抜けて特筆すべき車である。他にも1922年から1935年までの車両展示もある。すべて詳細な説明付きで、多種多様なエンジンのスペックも漏れなく記されている。もちろん、これらの車がレースで際立って好成績を収めたことや、ブルックランズ(サーキット)等で頻繁に大手メーカーを負かしていたことなども記載されている。

実のところ、C.M.ブース氏のコレクションは、モーガンに限ったものではない。他にも、フォード・モデルA、1904年 ハンバースリーホイラー、1911年 プレミア モーターサイクル、1936年 バンプトン キャラバンなど、歴史的なコレクションが多数展示されている。しかも、ライテクラフト社のスクータカーまでもが完璧なコンディションで保存されているとは、なんとも素晴らしい。

この博物館の入口にあるお店、ファルスタ・アンティークスでは、手頃な価格の大量のモデルカーなど、自動車グッズがたくさん用意されている。クリス・ブース氏本人が在館していることもあり、運が良ければ出会うチャンスもある。

この博物館で満足できないほどのモーガンマニアの貴兄には、ここから200マイル程南西に位置するモルヴァンまで足を伸ばして頂き、モーガンのファクトリーとザ・モーガン・エクスペリエンス・センターを訪れていただくのもおすすめだ。新旧モーガンはもちろん、関連する絵画や芸術品でいっぱいだ。素敵なギフトショップとカフェもある。アクティビティやツアー内容については、公式サイトを確認されたい。

モーガン・モーター・ミュージアム
住所:Falsta Antiques, 63 High Street, Rolvenden,
Kent TN17 4LP
営業時間:月〜土曜 10〜17時
遠方からお越しの場合は、事前に電話を
+44 (0)1580 241234
入館料:大人4ユーロ、子供(4〜14歳)1ユーロ

モーガン・エクスペリエンス・センター
住所:Spring Lane, Malvern, Worcs WR14 2LS
営業時間:月〜木曜 8時半〜17時、金曜 8時半〜14時
各種ツアーやドライブエクスペリエンス等については、公式サイトをご参照
www.morgan-motor.com

Words: Barry Wiseman まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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