あなたならどれを選ぶ?シリーズ別にジャガーEタイプを徹底比較する!

ジャガーEタイプ シリーズ1(1961-67。これこそオリジナルのEタイプ。最も収集価値が高いといっても過言ではない。


1971-75 シリーズ3


EタイプはV12を得て、思慮深い人が選ぶGTに変貌した。

ジャガーには同情する。1961年に世界最高のスポーツカーを発表して以来、それに惚れ込んだファンの怒りを買わずに改良を施すのは至難の業だった。1971年にウォルター・ハッサン設計のV12を搭載したシリーズ3が現れると、さらにソフトな方向に変えたジャガーの見識を疑う者が多かった。

V12は進むべき方向ではなかったというのが当時の見方だった。タービンのようなパワーユニットに対するデニス・ジェンキンソンの評価が有名だ。「V12エンジンには、6気筒に対する大きなアドバンテージが特に見当たらない。スムーズで柔軟性があることくらいだ」

しかしシリーズ3の特徴はエンジンだけではない。外観の変更点は多く、その一部はV12を搭載するためだった。フロントのエアインテークはさらに拡大され、目を引くグリルと、下にもエアインテークが加わった。太いタイヤを収めるためにホイールアーチにはフレアが付き、クロームバンパーにはゴム製オーバーライダーが付いた。見た目は悪いが、実用性はあった。

技術面では、燃料を大量に消費するV12に合わせて大型の燃料タンクが不可欠だった。さらに、フロントトレッドの拡大、アンチダイブ式サスペンションの採用、フロントサブフレームの強化も、重いパワーユニットへの対応だ。こうした変更でシリーズ3は先代モデルより魅力が落ちたと考えるなら、それは大きな間違いである。

V12モデルの魅力は、シリーズ1、2の魅力とはまったく異なるのだ。より快適でドライブしやすく、パワーステアリングによって、Eタイプ初心者でも最初からなじみやすい。ドライビングポジションも改善している。これは、レザー巻きのステアリングが以前より小径になったことが非常に大きい。両脚を広げて、リムの細い大径のステアリングを避ける必要がなくなった。

ロードスターも居住性が大幅に向上した。シリーズ3では2+2のプラットフォームを使っているからだ。このように6気筒モデルと大きな違いがあったことを考えれば、シリーズ3には別の車名を与えるべきだったのかもしれない。そうすれば比較されずに済んだことだろう。価値が比較的低迷してきたのはそのせいだ。

それを大いに利用しよう。シリーズ3は、現代のモデルから乗り換える者にとって、最もフレンドリーなEタイプである。しかも、あくまでもスポーツカーで、なかなかに優秀なGTにもなる。あの堂々たるスムーズでフレキシブルなV12エンジンのおかげで、全Eタイプの中でクルーズを最も得意とするのだ。問題は、世界のほかの人々も魅力に気づき始めていることだ…。

1971年ジャガーEタイプ・シリーズ3
エンジン:5343cc、V型12気筒、OHC、ストロンバーグ製CDキャブレター×4基
最高出力:272bhp/5850rpm 最大トルク:42kgm/3600rpm
変速機:4段MT/3段AT、後輪駆動
ステアリング:ラック&ピニオン、パワーアシスト付き
サスペンション(前):ダブルウィッシュボーン、トーションバー、テレスコピック・ダンパー、アンチロールバー
サスペンション(後):固定長ドライブシャフト、ロワートランスバースリンク、ラジアスアーム、
コイルスプリングとテレスコピック・ダンパー2組、アンチロールバー
ブレーキ:ディスク 車重:1498kg 最高速度:238km/h 0-100km/h:7.2秒


編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下恵
Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) Translation:Megumi KINOSHITA

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下恵

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