見かけたら絶対2度見!現代の技術を活かして蘇った伝説のマシンが公道へ

bizzarini

世界中で選ばれし才能ある自動車エンジニアとデザイナーによって再びチームが組まれ始動している新生ビッザリーニブランドが、ビッザリーニ 5300GT コルサ リバイバルのプロトタイプを完成させた。この車はドライバーでもありエンジニアでもあったジオット・ビッザリーニが自身の名を初めて冠した車、5300GTを現代に復活させたものである。そして今回、そのプロトタイプが最終耐久テストをおこなうため公道走行を果たしたのだ。

イギリスにあるビッザリーニの専用工場で製造される5300GT コルサ リバイバルは、オリジナルの5300GTを最も忠実に再現したモデルとなっている。定評あるV8エンジンを搭載する5300GTは、軽く、速く、信頼性の高いモデルであった。1965年のル・マン24時間レースでの活躍で知られる5300GTの中で、最も伝説的なのはシャシー0222であろう。この年の夏、フランスのレーシングドライバー、レジス・フレシネとジャン・ド・モルトマールは、ル・マンで5リッター超クラスで優勝、総合9位を獲得した。シャシー0222は平均時速169kmでレースを走り切っただけでなく、レース後すぐにジオット・ビッザリーニ自身が運転して北イタリアに帰ったといわれている。



ジオット・ビッザリーニは、サーキット走行用に根本的に改良するため、特注の独立懸架式リアサスペンションを装着し、フロントマウントのエンジンを可能な限りシャシーの後方に移動させた。この画期的な重量配分は、現代のフロントヘビーな車に対して、大きなアドバンテージとなることが証明された。リバイバルのテストでは、各コーナーに全重量の25%がかかっていることが確認されており、1965年に設計された車が2022年になっても完璧なバランスを保っているという、ジオット・ビッザリーニの先見の明が示されている。

オリジナルの5300GT

彼の最も貴重な才能のひとつは、エンジニアリングの限界に挑戦する能力であったといえよう。ランボルギーニのデビューモデルである350GTに初めて搭載された、有名なランボルギーニV12エンジンを製作したことでも有名である。このエンジンは、2010年までランボルギーニ社で使用されるほど、魅力的なデザインだった。フェラーリ250GTOの開発でも重要な役割を果たし、フェラーリ250ベースの伝説的な「ブレッドバン」の高度なエアロダイナミクスの開発にも携わっている。

そして、オリジナルの5300GTには当時最強の軽量素材であったグラスファイバーが多用されている。「もし、カーボンファイバーが使用可能であったなら、ジオット・ビッザリーニは、ほぼ間違いなく自分のレーシングカーにカーボンファイバーを採用していたと思います」と、ビッザリーニ社COOのリチャード・クインランは語っている。「その結果、5300GT コルサ リバイバルは、ヒストリック・レースのレギュレーションに準拠する必要のないお客様のために、フルカーボンファイバー製ボディシェルを標準仕様として提供することにしました」

5300GT コルサ リバイバルを製作するにあたっては、オリジナルの設計図をもとにもともとのサプライヤーから材料を調達し、かつて5300GTのプロジェクトに携わっていた専門家の意見を取り入れながら、現代の安全規制を考慮していくつかの重要な改良が加えられている。例えば、オリジナルの燃料タンクはシルの奥深くやドライバーの背後に配置されていたが、高度な3Dスキャン技術を使って、オリジナルの設計者にはなかった公差と精度で、シャシーの空隙を埋める複雑な形のタンクを作り出したのである。燃料容量は95リッターで、複数ラウンドのレースに必要な範囲に抑えられている。



さらに5300GT コルサリバイバルは、塗装においても“本物”へのこだわりが込められている。「ロッソコルサ」と呼ばれる色には、長く複雑な歴史があり、オリジナルと称される色調のものが数多く存在する。そこでビッザリーニのチームは、外観を当時のままにするために、光にさらされたことのないオリジナルパネルからペイントカラーサンプルを探し出した。この色合いをリバイバル用にカラーマッチングしたのが、「ロッソコルサ・ビッザリーニ222」である。

24台生産されるリバイナルシリーズは、スチールフレームに軽量なシングルピースコンポジットボディを乗せ、1台ずつ手作業で製造される予定だという。車内では、2つのシートが6点式ロールバーと安全燃料電池で保護され、FIAアペンディックスKヒストリックレースのレギュレーションに適合している。テスト走行では、オリジナルモデルよりも微妙に剛性感が増していることが確認されている。ジオットのコルサ仕様の独立リアサスペンションと全周ディスクブレーキに、ウェーバー45DCOEキャブレターを備えた当時仕様の5,300立方センチのV8エンジンが組み合わされ、400hp超のパワーを発生する。5300GTリバイバルコルサは、わずか1250kgという優れたパワーウエイトレシオを実現しているという点も大きなポイントだ。



開発用プロトタイプの完成後、合計24台のカスタマーカーが製造される。あくまでもコレクションではなく、運転することを前提に設計されており、それぞれの要望に合わせたモディファイが可能である。「この車はもちろんレース用に設計されていますが、この壮大な車を公道で走らせたいというお客様の要望にも応えることができます」とリチャード・クインランは述べている。

ビッザリーニCMOのサイモン・バスビーは、「私たちはビッザリーニブランドに対して野心的な長期ビジョンを持っており、5300GT コルサ リバイバルはビッザリーニの歴史的遺産を紹介、あるいは思い起こさせる役割を担っています」と述べている。 「私たちは、耐久テストにおいてジオット・ビッザリーニのオリジナルデザインと同じアドレナリンに満ちたドライビングエクスペリエンスを提供するこの車の性能に感動しました。現在、私たちは世界中のお客様のために車を作るプロセスを完了させながら、現代のスーパーカーのための最初のエンジニアリングとデザインの提案に磨きをかけています。最新のテクノロジーを駆使し、創業者の理念、情熱、価値観に基づいて作られたこの車は、まさに新世代のためのビッザリーニとなるでしょう」

5300GT コルサ リバイバルを購入した最初の顧客は、2022年5月に納車予定とのこと。走っている姿を見かけたら、誰しもが2度見どころか3度見はするだろう。世界中にデリバリーされる24台がどのように使われるのかを見るのも楽しみである。

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事