試乗したら「ほんの数分で気分はノリノリ」|『雷神』の名をもつアルファロメオGTV

DOUBLE RED

1971年アルファロメオGTV 2000 byオシェとは、さてどんな車なのだろうか。実は名前の中にヒントが隠されている。「オシェ」とはアフリカの雷神を意味する。これはWorkshop Seventy7のオーナーであり、アフリカ出身のデビッド・レイン氏が名付けたものだ。

彼はエンジニアでもなければ、車のセールスマンでもない。元経営コンサルタントである彼の愛車は1970年製の911のボディに993エンジンとリアサスペンションを搭載し、レトロなカラーにRSダックテールで仕上げられたもので、現在はWorkshop Seventy7の敷地内に置かれている。彼は車好きが高じてある時ポルシェ911のオーダーメイドを依頼したのだ。しかし、作業が途中まで進んだところで、この仕事を請け負った会社が倒産してしまった。そこでレインは、隣のビルにあるワークショップを借り、彼のポルシェを修理してくれていた人たちを雇うことにした。これが後に「Workshop Seventy7」となる。彼らは元のショップから、工具を積んだ台車と911をそのまま隣に運び仕事を継続し、無事に車両を完成することができた。その噂が広まり、Workshop Seventy7にはさらに依頼が舞い込んだ。新しい建物と素晴らしいレストモッドの製作により、Workshop Seventy7の評判は高まっていった。

取材時に進行していたプロジェクトは、オシェ911、ランドローバー、トヨタ・スープラのターボチャージャー搭載車。 BMW 3.0 CSLはまだ入庫したばかりだ。そしてこのアルファロメオは、スープラを注文した若い企業家からのオーダー。もう完成間近だ。



「この車は911にインスパイアされたものです」とレイン氏は言う。「高速道路での使用やサーキット走行も想定していますが、パワフルでピーキーすぎる車にするのではなく、トルクと扱いやすさを重視しました。また、スタンスとして非常に重要なのは、軽量であること。まさしくalleggerita(イタリア語で軽量化の意味)です」

そのため、多くのフィッティングに穴が開けられ、インテリアは911 RS風のシートやドアストラップ、アルカンターラのダッシュカバーなど、ミニマムなものにされている。105クーペのキャビンのように、控えめで繊細、そして親しみやすい空間だ。ブレーキはアップグレードされ、エンジンコンポーネントは地元のスペシャリストであるナイトエンジンサービスが手がけ、Workshop Seventy7で組み立てと準備が行われた。ガツンとくるウェーバー製のキャブレターももちろん改造され、その中にはホットカムも含まれている。180bhpを目指していたが、すでにテスト済みで、140bhpをはるかに超える出力が得られている。



「ボディは南アフリカから運ばれてきたものです。すでにレストアとペイントが施され、あとは組み立てを待つばかりです。もう少し手を加える必要があるかもしれませんが、オーナーにこの車を実際に使っていただいた上で、必要な修正を加えたいと思っています」とレイン氏は話す。

シルバーストンからさほど離れていないノーサンプトンシャーの一角で、曲がりくねった小径を楽しむ時が来た。アルファは深い唸り声とともに目覚め、回転数が上がるにつれて、より雄叫びに近い音を発する。トルクは豊富だが、トップエンドの推進力を犠牲にしているわけではない。見た目と同様に速く感じられ、回転も敏捷だ。シフトチェンジも正確で、ステアリングは鋭く、フィーリングが良く、緩みもない。コーナリングも軽快にこなし、ロールもなく、ほんの数分で気分はノリノリだ。気がつくと笑い声が聞こえてくるような楽しい車だった。



ちなみに、でこぼこ道でのエグゾーストの引っかかりや、ブレーキの断続的な反応など、いくつかの不具合も見られたが、シェイクダウンテストを重ねた結果、解決されているとのことだ。


文:Glen Waddington 写真:DOUBLE RED まとめ:オクタン日本版編集部

文:Glen Waddington 写真:DOUBLE RED まとめ:オクタン日本版編集部

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