再び価格が上昇中 !? メルセデス・ベンツ300SLのオークション相場を考察する

Octane UK

1954年2月にニューヨークの国際モータースポーツショーで発表されたメルセデス・ベンツ300SL“ガルウィング”は、ル・マンで勝利したコンペティションクーペ、W194をベースに開発された。軽量なスペースフレーム式シャシーに、市販車として世界で初めて燃料噴射式エンジンを搭載した。1957年にロードスターに置き換わるまでに1400台が製造され、そのうち29台が総アルミニウム製だった。

アルミニウムモデルを除く300SLは、数年の間、60万~85万ドルで取引されていたが、2011年にRMサザビーズでオークション最高記録の137万5000ドルで落札され、上昇傾向を示唆した。翌年にはバレット・ジャクソンで、走行距離わずか4149マイルの“タイムワープコンディション”の1台に220万ドルの値が付き、2013年には元クラーク・ゲーブル所有の1台が203万5000ドルで落札された。

こうした例外を除いても、2013年にはトップクラスの車両の落札額が上昇。その最高値は、極めて人気の高いラッジ製の純正ホイールを装着するマッチングナンバーの1台で、同年8月にグッディング&カンパニーで170万5000ドルを記録した。さらに2014年初めには、バレット・ジャクソンのスコッツデール・オークションで、レストアされたばかりのガルウィングが209万ドルで新記録を更新。現在までの最高値は、その7カ月後にRMサザビーズに登場したラッジ製ホイールでオリジナルカラーの1台(写真)に付いた253万ドルである。

これ以降、オークションでの落札額は弱まっていく。顕著なのがシャシーナンバー5500594で、2015年にアリゾナで開催されたRMサザビーズのオークションでは148万5000ドルで落札されたが、2020年の同じイベントに出品されたときは127万ドルに留まった。

メルセデス・ベンツ300 SL(アルミボディモデルは除く)
同等モデルのオークションでの最高値を線で結んだ。


ドイツのスペシャリスト、キーンレ・アウトモビルテヒニクのマルク・キーンレは、高値が付く条件をこう説明する。「レストアされているなら、その品質を証明するものが必要です。どこで、いつ、誰が作業したのかです。また、オリジナルのラッジ製ホイールは、かなり希少で特別なパーツなので、車の価値を上げます」

「スペアパーツの供給は十分あり、整備環境も問題ありません。ヨーロッパの大半の国とアメリカには、整備ができるスペシャリストがいます。徹底的なフルレストアには、現在も今後も、最低50万ユーロはかかるでしょう」

「ここ12カ月は需要の高い状態が続いており、価格も再び上がり始めています」


参考:Glenmarchは、クラシックカーとコレクターカーのオークション市場に関する最大のオンラインリソースで、無料でアクセスできる。
www.glenmarch.com


Words: Rod Laws 編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

オクタン日本版編集部

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