アストンマーティン、ジャガーからデロリアンまで!名だたるメーカーを渡り歩いたエンジニアの波乱万丈な人生とは

Mark Dixon


デロリアンに参加


そうしたとき、北アイルランドのスポーツカー・プロジェクトで人材を募集していたデロリアン社から、ロースビーに声がかかり、1978年末、彼はデロリアン・モーター・カンパニー(DMC)に入社。プロダクト・エンジニアリングのディレクターとなった。しかし、その前途は多難であった。



「ビル・コリンズ(元ポンティアックのチーフエンジニア)が、プラスチック製シャシーを使ったかなり過激な車を設計していたので、私はその車を生産するためにデロリアンに行くのだと思っていたんです。しかし、入社してみると、コーリン・チャプマンに騙されたことがわかりました。彼らは事実上、ステンレスのボディを持つロータスを造ろうとしていたのです」

「私がやったと思われることを聞くと、いいアイディアのようですが、実際、私はこの車にほとんど影響を与えませんでした。私は生産ライン、エンジニアリング部門、テストコースなどのレイアウトに携わりました。しかし、この車は中途半端なものでした。ちゃんと設計されていなかったし、130bhpというパワーは情けないし、サスペンションはリフトアップするとリアがネガティブキャンバーになり、ロールオーバーステアになるのです。しかし、彼らがやりたかったのは、この車を生産に移すことだけでした。アメリカに渡った最初の400台は、分解して造り直さなければなりませんでした」

「私は新規プロジェクトのディレクターとして昇進しましたが、もう何が起こっているのかわかりませんでした。名前は出しませんが、もう二度と話すことのない人もひとりや、ふたりいます。しかし、アンと私は、アイルランドでたくさんのよい友人をつくることができました」

フリーランスとなる


1982年、DMCの業績が明らかに悪化していたため、マイクはアンと一緒に「聖木曜日」と呼んでいた日に退職し、自分の会社「ミッドランド・デザイン・パートナーシップ」を立ち上げた。その後20年間、彼は自動車からコーヒーメーカーまで、あらゆるものの設計を手がけた。

クライアントのひとつであるFFデベロップメンツ社では、フォードやジャガーのために11種類の四輪駆動システムをデザインし、ジャガーがこの企画を中止するまで、4WDのXJSは2種類のプロトタイプが造られるまでに至った。

そして1989年から1998年まで、彼はコンサルタントとしてアストンマーティンに戻り、最初はヴィラージュ、後にブルネイのスルタン国王のための特別なボディのV8シリーズを担当した。「このようにアストンマーティンとは強い絆で結ばれているため、現代のV8ヴァンテージがBMW 135とガレージを共有していても不思議ではありません。結局アストンが大好きなんです」と彼はいう。



F2マシンやエンジン、フラット4レーシングバイクのエンジン、ジャガーXJCのコンバーチブル、ミドエンジンのスポーツカーなど、長年に渡り様々な「課外活動」を楽しんでいる。さらに、自家用操縦士免許を取得し、クラシック音楽を愛し、頻繁にスキーを楽しむ時間も確保した。「でも、2015年にアンが膝の靭帯を断裂したため、私たちはそのような日々を終えることにしたんです」

夫妻には2人の息子がいる。数学者のジョンは、印刷業界で働いている。サイモンは工学とデザインを学び、その後、自動車産業でキャリアを積んでいる。現在は、ヒョンデのデザイン部門を統括している。

父親の古いブラバムF3マシンをロースビーに戻したのもサイモンだった。 「67年くらいに売ったのですが、世界中を回ってイギリスに帰ってきたんです。オーナーは手放したくなかったようですが、結局、譲歩してくれて、今は家族のもとに戻っています。さらにサイモンも最近デロリアンを手に入れ、ロースビー家の物語に新たな1ページを刻みました」

では、アルヴィスのスタルワート6×6軍用車はどこに収まるのだろうか?どうやら彼らにはさらに大きなガレージが必要なようだ。


Words: Peter Tomalin
編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)
原文翻訳:オクタン日本版編集部 Translation: Octane Japan

編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)

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