お城の広間にクラシック・フェラーリが !? |フランスの古城に名車が揃う

Tomonari SAKURAI

フランスは実質ワクチンの義務化を推し進めていて、レストランやカフェ、イベント、博物館などに入場する際にはワクチンパスポートの提示が必要だった。最近では外でのマスク着用はなくなったものの、室内はマスク着用義務が続いていた。それが3月14日からついに解除された。これで煩わしいマスクや、ワクチンパスポートの提示が必要なくなったのだ。そこで!さっそくコンピエンヌ城を訪れた。そういえば昨年このお城を訪れたときも外出禁止令が解除された初日だったと思う。その昨年のコンセプトカーの展示が好評で、現在は『VITESSE(スピード)』という展示が行われている。

14世紀に建てられた宮殿がベースとなりナポレオンによって改装されて今の姿になったコンピエンヌ城。

すっかりワクチンパスポートを見せることに慣れてしまっていると、何のチェックもなく入場できることにちょっと違和感を覚える。普段の生活に戻っただけなのに…

まず最初に展示されていたのはローマ時代の戦車(馬車)だ。その横に“ローマ時代の平均速度”として35km/hのプレートが立てられている。このお城は馬車を19世紀からコレクションしている“オートクラブの元祖”のような所でもある。ここでは、「スピード」とはエンジン付きの乗り物だけではないのだ。

アポロンの階段を背に展示されているローマ時代の戦車(馬車)のレプリカ。

ホールへ抜けると、「スピード」という言葉から想起される車両が展示されている。ロータスMK33R9を先頭にマセラティ250F、タルボ-ラーゴT26Cそしてメルセデス・ベンツW154がつづく。

ロータスMK33R9を先頭にホールを彩るレーサー。

窓際にはオートバイが展示されている。それもなかなか見かけないフランス車のレーサーだ。ベベルギアを持つDS MALTERRE 175cc AMC。Vツインエンジンのエスコフィエ1000。エスコフィエの創設者の一人マルセル・ケラーは後にファセル・ヴェガの創設者の一人となる。

1950年代のフロント周りをカバーするカウリング付きのGNOME & RHONE 175cc。

そしてこのホールの最後を飾るのはやはりブガッティType35C。バックにはジェオハムのイラストが掲げられている。

見慣れたブガッティも巨大なジェオハムのイラスト、いや絵画を前にすると美しさを増す。

2階に上がってみよう。馬車や馬に曳かれるソリや自転車、そしてごく初期のバイクが展示されている。絵画にイラストなどを観て心が落ち着いたあとに遭遇するのは、シャンデリアの下に飾られたフェラーリ166MMバルケッタ。これが何ともこの部屋に似合うのだ。

このフェラーリのために仕立てられた部屋かと思うほどにしっくりくる。

最後の大広間にはなんとソルトレイクで記録を打ち立てたVENTURI VBB-3。2016年に3.5トン以上クラスで549km/hを記録した電気自動車だ。ただしこれは実物ではなく実物大モデル。

大広間に鎮座するスピード記録車。

お城とレーシングカーがこれほどに似合うとは想像も付かなかった。お城のお庭でのイベントは数多くあるがレーシングカーをお城に展示してしまうのはここコンピエンヌ城ならではだろう。さて、今週は2年ぶりのレトロモービルが開催される。お城で気分を盛り上げて次はレトロモービルの会場に出向いてみよう!


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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