レクサスLFAは真の名車になりうるか!新車価格3850万円のオークション価格は !?

(C) 2022 Courtesy of RM Sotheby's

レクサスLFAは、豊田章男社長がフェラーリやランボルギーニなど世界の強豪に対抗できるスーパーカーをつくりたいという強い意志によって研究を重ねられてきた。数年にわたる開発期間を経てレクサスLFA2009年の東京モーターショーで発表されたが、従来日本の自動車メーカーが得意とする「量販車ベースのスポーツカー」とは異なる、驚くべきパフォーマンスを秘めた車が生み出されたことは一目瞭然だった。



LFAのエンジンは、ヤマハと共同開発による560馬力4.8リッターV型10気筒エンジンで、トヨタレーシングのF1用V型10気筒パワートレインと同じ工場で製造されている。ブロックはアルミニウム、マグネシウム、チタン合金のブレンドで、同等のV型8気筒より小さく、さらに普通のV型6気筒より軽く作られた。ピストンは鍛造アルミニウム製、コンロッドとバルブはチタン製である。このV10エンジンは、アイドリング状態から9,000rpmまでコンマ6秒で到達することができ、480Nmの強大なトルクの90%は3,700rpmから発揮される。



LFAのメーター・クラスタはすべてデジタル化されているが、これは単にデザインではなく、アナログのタコメーターではエンジン回転の素早い変化に追いつけないからである。組み合わされるトランスミッションは、6段オートメーテッド・シーケンシャル・マニュアル・トランスミッション。LFAが奏でるV10独特のエキゾーストノートは回転域によってまったく異なる印象を与えてくれる。ちなみにこのレポートの原文筆者は「現代のスーパーカーの中で比類がなく、まさに天使の咆哮であり、このサウンドを聞くためだけにコンサートを開く価値がある」と表現するほどだ。





LFAは先鋭的なスタイリングとパワフルなV型10気筒エンジンにより、LFAは今までの和製スーパーカーをはるかに超えた領域に到達したことは事実であった。この完成度の高さは「自動車への畏敬の念」と表しても良いほどである。カーボンファイバー、アルミニウム、マグネシウム、チタン合金をふんだんに使用し、車体重量1480kg。しかも重量配分48:52という完璧なバランスを実現したことも大きな功績である。500台が2010年末から2012年にかけて生産されたが、標準仕様のLFAが436台、固定式リアウイングやスポイラーなどの空力パーツとマグネシウム鍛造ホイール装着したニュルブルクリンク・パッケージは64台が世に送り出された。



今回RMサザビーズに出品されたこの見事なLFAは、436台の「スタンダード」モデルのうちシリアルナンバー211であり、ホワイトベストホワイトの塗装をまとったわずか44台の左ハンドルモデルのうちの1台である。2011年11月に工場を出たこのモデルは中東市場向けに出荷されたようだ。インテリアも完全なオーダーメイドであり、ブルーのカーペットとレザーシート、ダッシュボード。カーボンファイバーとレザーで作られたステアリングホイール。そしてアルミニウムのトリムとグロスカーボンファイバーが随所にあしらわれている。このカラーリングはブルーのブレーキキャリパーやダークメタリックの20インチホイールと非常によく調和している。



このLFAの最初の登録は2013年6月27日にカタールにおいて。その後2021年7月20日にスイスで次のオーナーに引き継がれた。2021年9月6日には1,060スイスフラン(約13万円)を掛けて4本の新しいミシュラン・パイロットスポーツ4Sが装着された。その2日後の9月8日には、ドイツ・ケルンのトヨタ ガズーレーシングで整備が行われ、そのときの請求書には1,517.28ユーロ(約20万円)と記載されている。このレクサスLFAはわずか6,109キロしか走行しておらず、スペアの純正アロイホイールと消火器が付属している。

昨年2021年のモントレーRMサザビーズのオークションで、同等の走行距離のLFAが81万9000ドル(約9000万円)で落札された。また同じオークションで走行わずか926マイルのLFAニュルブルクリンクパッケージは160万ドル(約1億7500万円)というハンマープライスを記録した。今回の車両は650,000スイスフラン(約8300万円)の価格表記(要問合せ)となっている。

確かにLFAのもつ圧倒的なパフォーマンス、驚異的なドライブトレイン性能、エキゾチックな構造、シャープなスタイリングそして官能的なサウンドは大きな魅力であるが、それ以上に現代の日本車がすでに世界のトップコレクターのフォーカスに入ってきたことこそが素晴らしい。永久の価値をもつ真のクラシックカーにLFAがなっていくことを期待したい。


©2022 Courtesy of RM Sotheby's

オクタン日本版編集部

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