知る人ぞ知る⁉ 車好きが続々と集まるパリの自然発生的イベント

Tomonari SAKURAI

そういえば昔、20年以上も前の話だが、ヴァンセンヌ城の前に毎週金曜の夜バイクが集まるというのがあった。パリ横断などと違って主催者がいるわけでもなく、バイク好きが集まっていつの間にか定着した集いだ。多いときに1000台を超える大規模なものだった。ところが騒音などで周辺住人から苦情が寄せられ、ここに集まることができなくなり、いつしか消滅してしまった。

これと同じように、主催者がいるわけでもないが自然と車好きがパリのアンヴァリッドに集合するようになったという情報を得た。毎週日曜日の朝だという。アンヴァリッドはパリの中心地でナポレオンの墓があることで観光客も多いところだ。パリ横断でもここに止まって撮影を楽しんだりするスポットである。



この日はメトロに乗ってアンヴァリッドに到着。パリ横断で車が集まっている場所に行ってみたが、そういった車は見かけない。今日は集まらないのかな?と思っていると、その通りをナローポルシェからアヴァンタドールなどがひっきりなしに通り抜けていく。彼らが向かう方向に行ってみることにした。そうか。ピンときた。このアンヴァリッドの裏には広場があって特設テントを作って2月にはコンセプトカーのフェスティヴァル・オートモービル・インターナショナルなどが開かれているのだ。きっとそこだ。予想は当たった。そこは車好きが集まるステージとなっていたのだ!

通りの駐車スペースは展示場となっているのだ。

車好きが申し合わせたわけでもなくここに集まってくる。それはすでに車好きには知られており、その車達を見ようとカメラをぶら下げた(僕もそうだけど)車好きのギャラリーも集まってきている。ただの通りすがりではなく、明らかにここを目指してやって来た連中だ。どうやらRassemblement Place Vauban(ヴォーバン広場の集会)と呼ばれているらしい。

路上の車を撮影しているとパナールCDが駆け抜けていく。

オーナーは近くのカフェで仲間と朝食をとったり、ギャラリーとなって他の車を見に出かけていることが多い。

車を周辺に駐車してカフェで仲間と楽しいおしゃべり。あるいはその周りをギャラリーにサービスするようにぐるぐる走り回る車も。ボンネットを開けてカスタム自慢が聞こえてきたり。何よりパリの中心地で写真を撮るにも風景が良い。そして快晴の空。まだ空気は冷たいけど楽しい。

プジョー201のバックのカフェ。ここに集まった車のオーナー達で埋まっている。

エッフェル塔にも近い。誰かがエンジンを吹かせば皆が振り返る。

主催者がいるわけでもなく、車好きが集まる。プジョーの201やルノー16など地味なフランス車から日本車は各世代のGT-R、SX200。そしてランボルギーニアヴェンタドールまで。多種多様なのでギャラリーを飽きさせないのだ。ぶらっとして気がついたのは、ランチア・フルビアHFを多く見かけたこと。

ルノー16TX。この辺りが綺麗にしておかれているとタイムスリップした感じがする。

日本車も多い。その一台ニッサン200SX。

今回目に付いたランチアフルビアHF。結構な台数が参加していた。

パリでは平日は走行できる車が規制されているが、土日はその規制が解除されていることもあって走りやすい。一応パトカーが1台、集会の中に停めて様子をうかがっているようだ。トラブルなく車好きがいつまでも集える場として、いつまでも続いてくれたらと願う。この同じ青空の下、東の方では戦争が始まっているのだと思うとちょっと複雑な気持ちになる。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

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