ディーノを「日常の足」にできる!? 1200万円以上かけたレストアの成果はいかに

Octane UK

この記事は【放置されたディーノを購入してレストア!誰もが気になるその費用は、果たしていかほど?】の続きです。

数多くのへこみや修理の痕が見つかったが深刻なものはなかった。

水が残っていたためにヘッドは廃棄され、エンジンは完全にリビルトされた。

フェラーリとは呼ばれなかったディーノ


フェラーリの名前を冠するには相応しくないと当初考えられたディーノだが、その運命は後に変わった。より手頃なスポーツカーとして、若くして亡くなったエンツォの息子の名前を冠した(そして本物のV12を積んだフェラーリと区別するために)モデルは、206Sプロトタイプとして1966年のトリノショーでベールを脱いだ。新しいフォーミュラ2用の2リッターエンジンをベースにしたユニットを積むことになっていたが、ショーカーにはエンジンは積まれていなかった。翌年からディーノ・ベルリネッタGTとして生産に移された車はピニンファリーナ・デザインで、主にスカリエッティ製造の軽合金製ボディをまとい、トリプル・ウェバー4カムV6エンジンは180bhpを生み出して、バランスに優れたシャシーに十分な活力を与えていた。

リビルトエンジンはいまだランニングイン中、3基のキャブレターの吸気を改善するために若干のモディファイが加えられた。

アルミボディの206Sが157台だけ生産された後、スチールボディの246(排気量が拡大された鋳鉄ブロックのV6は195bhpを発生)に切り替わった。プレスによるスチールパネルもマラネロでは初めてのことだった。ある意味、"格下扱いされた"ディーノは1974年まで生産されたが、トータルではこれまでにない生産台数(GTSを含めておよそ4000台)を記録し、フェラーリの運命と技術的な方針を一変させたのである。ディーノは革新的ではなかったものの、技術的に洗練されていた。シャシーはスチール鋼管製で、4輪ディスクブレーキやラック・ピニオン式ステアリングを採用、何よりも軽量(1080kg)であり、猛々しさより敏捷であることが重要だということを証明していた。しかも150mph近い最高速を備えていたのである。

今日でも、ディーノが依然として魅力的なスタイルであることは疑いない。大人気のスペック(デイトナシートとワイドな7.5インチのカンパニョーロ・ホイールに合うホイールアーチ)を備えていなくても、美しくプロポーションと、可愛らしさと剽悍さが適切にブレンドされたスタイルは他に例がない。現在の標準から見てもコンパクトであり、さらに簡潔で繊細な装飾、たとえばドアノブなどは手の込んだ見事なできばえだ。室内も同様である。大きなフロントウインドウはドライバーに向かって傾斜しており、ル・マンに出場するスポーツプロトタイプのようだ。低く寝そべったドライビングポジションは、ステアリングホイールの下部に脚が触れそうではあるが、私のように短足胴長の人間でも問題ない。左右のフェンダーが盛り上がっている眺めは見飽きることがなく、P4のコクピットに座っている感じもする。

シートはいわゆるデイトナタイプで、ダッシュボードにはマウスヘアと呼ばれる起毛素材が貼られている。

シートは赤いインサート付きのいわゆるデイトナシートで、インテリアは黒に統一されている。すべてが豪華だがやり過ぎな感じはなく、トリムの精度も申し分ない。目の前には270km/hまでの速度計と油温計、油圧計、水温、燃料、電圧の各ダイヤルが並び、レヴカウンターは10000rpmまで刻まれているが、オレンジのレヴラインが7300rpmに引かれ、7750~7850rpmはレッドゾーンになっている。もっとも、新しく組み上げられたエンジンのために4000~4500rpmにも暫定的なラインが引かれていた。

ペダル類は右側にオフセットしており、スロットルペダルは細長いオルガン式ペダルだが、他の二つは高い位置に接近して吊り下げられている。リアクォーターウィンドーとリアデッキが平らなおかげで、バットレスと小さなウィンドーにもかかわらず、視界は良好だ。フェンダーにもドアにもミラーは備わらないが、不都合は感じられない。ヘッドレストがちょっと邪魔だが、頭をそちらに向ければ済むことである。

オクタン日本版編集部

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