キュートなピックアップは「奥様のガーデニング用」|幸せなVWキャディの物語

© The Market by Bonhams

フォルクスワーゲンの「キャディ」と聞いて思い浮かべるのは、現行型のミニバンタイプだろうか、それともこの写真のようなピックアップだろうか。商用およびレジャー市場向けに設計されたゴルフIベースの初代「キャディ」は1979年に登場し、1995年までの間生産された。北米では「ラビット・ピックアップ」の名称で販売され、1982年から「キャディ」としてヨーロッパで販売されたモデルである。



今回紹介するキャディは1991年にイギリスで登録されて以来、同一オーナーの手元にあるワンオーナー車だ。奥様のガーデニングや小規模な園芸業での輸送用に購入したものだという。そのため、長距離を走る機会もなく、31年間の所有歴における走行距離はわずか33,036マイルである。地元のスペシャリストショップによる定期的なメンテナンスも施されているところにも、この車に対するオーナー夫妻の愛情を感じることができる。

全体的にほぼ標準仕様を保っている。購入後に追加されたカスタマイズといえば、トノカバーのボタンやフックに装着するカスタム・カットのカバー程度だ。園芸用に使用するにあたって防水カバーを装着するための工夫なのであろう。



もちろん、年齢相応の劣化も見られる。塗装には光沢がほとんど残っておらず、日焼けにより色あせた部分もある。ホイールアーチなどにも塗装が浮いたり腐食している箇所も見受けられる。しかし、これは何十年にもわたって仕事をしてきたこのキャディの「働き者の証」で、愛すべき魅力の一部ともいえる。



その証拠にキャビンの状態は良好で、この働き者のキャディがオーナーにいかに大切にされていたかを見ることができる。たとえば、ファブリックシートは運転席側に多少の摩耗が見られるものの、ダッシュボード周辺はわずかな日焼けが見えるだけで、良コンディションを保っている。



ガーデニング用にこんなキュートなピックアップをプレゼントされた奥様、そして31年間ワンオーナーで大切にメンテナンスされ続けたフォルクスワーゲン・キャディ。どちらもオーナーの愛情をたっぷり受けた、この上ない幸せ者であることは間違いない。

© The Market by Bonhams

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事