イギリスを訪れたら是非立ち寄りたい|家族で楽しめるロンドン科学博物館

Barry Wiseman

ロンドン科学博物館は、様々な重要コレクションの収蔵施設として1857年に設立された。その後もコレクションは増加し続けたため、1928年には現在の建物に統合して保管されるようになる。ナポレオンの歯ブラシからローマ時代の義足まで、およそ35万点が保管されている。そのコレクションは世界初のジェットエンジンであるステファンソンのロケットや、アポロ10号の司令室の復元まで、広範囲に及ぶ。

メインホールの展示には息を呑むほどだ。例えば、1935年のロッキード・エレクトラが、素晴らしき車たちの上を飛んでいる。ロンドンで製造された1897年のバーシー社のタクシーもあるが、これは電気自動車のパイオニアで、馬のいない馬車のようにも見える。最高速度は9mph(約15km/h)だが、当時としては十分な速さだったであろう。その頃のロンドンには充電場所が1箇所しかなかったことから、バーシー社のタクシーとしての未来は明るいとは言えなかった。



1895年のパナール・エ・ルヴァッソールは、イギリスに初めて輸入された車とされている。この車は、初回のエマンシペイション・ラン(London to Brighton Veteran Car Run)に参加もしているもので、自動車史において大変貴重なコレクションだ。

その他にも、歴史的に重要とされる車たちが縦に重ねられている展示が目を引く。まず一番下には日野・コンテッサがある。これは、ミケロッティによる最初のインターナショナルなデザインである。その上には、サーブ93、フィアット600、フォルクスワーゲン・ビートル、シトロエン2CV、モリス・マイナーが重ねられ、まさに注目に値する展示となっている。しかも、オイル漏れは1滴もなさそうだ。

その近くには、ローバー・ジェット1が展示されている。1950年代は、日々最新技術が登場するようなエキサイティングな時代であった。ローバー75をオープンにした、ガスタービン駆動のジェット1。これは世界初のガスタービン車となった。多くのエンスージアストの方々には、多くの白黒写真でおなじみだろう。写真の中では、白衣で眼鏡をかけて心配そうな科学者たちに囲まれている車といえばおわかりだろうか。この革新的な車は1952年にヤブベーケ(ベルギー)の高速道路で152.691mph(約240 km/h)を叩き出し、センセーショナルな記録を残した。ローバーP4が、”おばさま御用達”のローバーとされるなら、このジェット1はさながら、“ステロイド常用のヤバい甥っ子”といったところだろうか。



またその近くには、あのT型フォード、ミニの断面、メッサーシュミットのいわゆるキャビンスクーター、BMWイセッタ、蒸気機関車など、たくさんの興味深い展示がされている。最上階には、航空機のギャラリーもある。オールコックとブラウンによって1919年に大西洋を横断したビッカース・ビミーや、他にも重要な航空機、航空エンジンなどの展示がある。

訪問にあたっては数時間かかると思った方がいい。カフェや、「シェイク・バー」の他、ピクニックエリアもある。素敵なギフトショップと、IMAXシアターも要チェックだ。インタラクティブな展示もあり、家族全員で楽しむのに十分な博物館だ。

スウィンドン近郊のロートン区には、1979年からこの博物館が所有する元英国空軍基地に、さらに17万点の展示物が保管されている。そこには、歴史的に重要な車、航空機、航空エンジンに加え、多数の技術的発明品などが含まれる。他の拠点にも別に30万点が保管されている。ここに数百万ポンドをかけて高さ300メートルのビルを建設し、収蔵物を展示する計画もある。開館は2023年予定とのことで、さらなる情報を待たれたい。

科学博物館
住所:Exhibition Road, South Kensington, London SW7 2DD
開館時間:10〜16時
詳細は公式サイト参照
入場料:無料
※寄付歓迎
公式サイト: www.sciencemuseum.org.uk

Words and pictures: Barry Wiseman まとめ:オクタン日本版編集部

オクタン日本版編集部

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