2011年から、フェラーリとウブロはパートナーシップを結んでいる。希少性や革新的な技術、情熱など、多くの共通する価値観を持つ両社は、哲学と情熱を共有することで、更なる高みを目指す。

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フェラーリとウブロの共通項

ハイパフォーマンスカーと高級機械式時計は、友好関係が結ばれている。どちらも複雑なメカニズムの集合体であり、ラグジュアリーな世界観を持ち、しかも実用を越えたステイタスがあるからだ。

フェラーリがパートナーシップを結ぶのは、スイスの高級腕時計ブランド「ウブロ」。創業は1980 年であり、老舗の多い時計業界ではかなり"新興勢力"なのだが、その若い感性を生かした独創的な時計作りを得意としてきた。そして2004 年に時計業界の大物ジャン-クロード・ビバーが経営に参画すると、"アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)"というコンセプトをひっさげ、2005 年に傑作「ビッグ・バン」を発表。大成功を収めることになる。ビバー氏は兼ねてから、フェラーリが持つクオリティやデザイン、そして"神話"に敬意を抱いていた。そしてその思いは、2011 年にパートナーシップ締結という形で実現したのだった。

差し替え画像.jpgフェラーリのワンメイクレースとして知られるフェラーリ・チャレンジは、世界中で開催される。これは北米のロードアメリカでの様子。

パートナーシップの目的と理由とは

これまでにもフェラーリと組んだ時計ブランドはあったが、ウブロの目的は明確だった。ロゴ入りの時計を作るのではなく、「フェラーリのすべての活動をサポートする」のだ。フェラーリが参加するワールドツアーなどのレース活動はもちろん、ユーザーイベントも積極的にサポートするのは、ウブロとフェラーリには"情熱"という共有する価値観があるからだ。

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フェラーリ創業70周年となる2017年は、初めてフェラーリ・デザインセンターによって時計「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ」がデザインされた。軽くて強靭なカーボンと樹脂の一種であるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を層状に重ね耐久性に優れた特殊素材を、ケースに採用。ケースサイドに配置されたフェラーリレッドのアルミ製プッシャーで、クロノグラフを操作する。押しやすいように計算された形状だ。

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搭載するムーブメントは、自社で製造するCal.HUB6311。左右対称型のブリッジを配置しており、ビジュアル面も強化した。凝ったメカニズムだが、連続パワーリザーブ時間は約115時間と実用面もハイレベル。サファイアクリスタルガラスには、70周年記念ロゴが配置されている。手巻き、PEEK カーボンケース、ケース径45㎜。1449万円。世界限定70本。

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プロジェクトを指揮したフェラーリのフラヴィオ・マンツォーニは「とにかく楽しい経験だった」と語る。それはこのパートナーシップが、魂から共鳴しているからに他ならない。

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ウブロ×フェラーリの歴代モデル

2011 年の11 月にパートナーシップを締結すると、翌年には満を持してフェラーリコレクションがリリースされる。ファーストモデルである「ビッグ・バン フェラーリ マジックゴールド」の最大の特徴はケースにあった。"マジックゴールド"と命名されたケース素材は、多孔構造のセラミックにゴールドを流しこみ、高圧をかけることで一体化させた"高硬度の18Kゴールドケース"であり、傷がつきにくい構造になっている。ウブロが独自開発をしたこの素材を、初めて商品化したのが「ビッグ・バン フェラーリ」だった。機能性とラグジュアリーを両立させた姿は、フェラーリとのパートナーシップにふさわしい時計といえるだろう。

その後もフェラーリコレクションは順調にファミリーを増やしていくが、その中心となるのは、旗艦モデルの「ビッグ・バン」。そしてウブロの自社製ムーブメント「ウニコ」を搭載している。この「ウニコ」というムーブメントは、クロノグラフの操作機構を文字盤側に移動させており、プッシュボタンを押すたびに6時位置にあるコラムホイールというパーツが回転する様子が見えるようになっている。こういった趣向は、エンジンの造形美を魅せる設計にしているフェラーリとも共通する哲学だ。

ちなみにストラップの素材には、フェラーリの内装素材に使われるスケドーニ社のレザーも使われており、簡単に着脱できるワンクリックアタッチメントシステムは、シートベルト金具をイメージした。

どのモデルもフェラーリのロゴマークはさりげなく配置する程度に抑えているのは、"フェラーリの哲学"を取り入れることを重視しているから。ウブロはフェラーリを、心から愛しているのだ。

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① 2012:ビッグ・バン フェラーリ マジックゴールド
ウブロとスイス連邦工科大学が共同開発したタフな貴金属「マジックゴールド」を、初めて市販品に投入。力強いのに美しく、そしてラグジュアリーであるという様々な要素を合わせ持つ。
世界限定500本。自動巻き、18Kマジックゴールドケース、ケース径45㎜。販売終了

②2013:ビッグ・バン フェラーリ カーボン レッドマジック
軽くて頑強なカーボン素材をケースに採用。その模様はレースの終了を意味する「チェッカーフラッグ」に似ている。サファイアクリスタル製の風貌は、化学成分を加えて直接染色している。
世界限定1000本。自動巻き、カーボンケース、ケース径45㎜。311万円。

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2014:ビッグ・バン フェラーリ セラミック カーボン
ベゼルは頑強なカーボン、ケースは硬度の高いブラックセラミックで仕上げたタフウォッチ。針やインデックスには、フェラーリのオフィシャルカラーであるイエローを効果的に使った。
世界限定1000本。自動巻き、セラミックケース、ケース径45㎜。289万円。

④ 2015:ビッグ・バン フェラーリ チタニウム カーボン
インパクト満点のベゼルは、カーボンファイバーとチタンの混構造であり、切削すると不思議な縞模様が現れる。さらにケース素材にもチタンを使用。迫力あるケースだが、軽くて着用感は良好。
世界限定1000本。自動巻き、Tiケース、ケース径45㎜。278万円。

⑤ 2016:ビッグ・バン フェラーリ ジャッポーネ 50
2016年はフェラーリが日本上陸してから50年目という節目。これを記念して、ビッグ・バン フェラーリの日本限定モデルが誕生。国旗カラーをイメージした、紅白の美しい時計に仕上がっている。
日本限定50本。自動巻き、Ti ケース、ケース径45㎜。272万円。

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2017:ビッグ・バン フェラーリ
これまでのパートナーシップモデルは、既存モデルのデザインをべースとしてきたが、2017年モデルは新デザインを開発。ややボリューム感を増したケースフォルムと人間工学に基づいたベゼルを持ち、ケースサイドの赤いラインは、名車ラ フェラーリの後部の溝をイメージしている。さらに3時位置の60分積算計は、フェラーリのメーター風にアレンジした。ケースバリエーションは3種類。

左:ビッグ・バン フェラーリ キングゴールド/世界限定500本。自動巻き、18Kキングゴールドケース、ケース径45㎜。445万円。
中:ビッグ・バン フェラーリ カーボン/世界限定500本。自動巻き、カーボンケース、ケース径45㎜。300万円。
右:ビッグ・バン フェラーリ チタニウム/世界限定1000本。自動巻き、Tiケース、ケース径45㎜。278万円。

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2017:MP- 05 ラ・フェラーリ 50デイズ パワーリザーブ サファイア
フェラーリエンジンの構造を参考にした特殊なムーブメントは、50日間も連続駆動する驚異のパワーを生み出す11個の香箱に加えて、トゥールビヨンも垂直配置する。ケースには硬くて美しいサファイアクリスタルを使用し、メカニズムを存分に鑑賞できる。驚異のエンジンの姿が全て明らかになった。
手巻き(巻き上げ用電動工具付き)、ケース縦59.7×横51.1㎜。5570万円。世界限定10本。

文:篠田哲生  Words:Tetsuo SHINODA

LVMHウォッチ ジュエリージャパン ウブロ
TEL:03-3263-9566
URL:www.hublot.com

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