「まさに一生に一度の機会」世界的名作『レインマン』に登場した一台がオークションに

Bonhams

1988年に公開された映画『レインマン』は、ダスティン・ホフマン演じるレイモンドとトム・クルーズ演じるチャーリー兄弟をメインに展開されていくロードムービーである。アカデミー賞作品賞も授賞しており、今もなお名作として知られている作品のひとつ。現在、金熊賞とアカデミー賞作品賞をダブル受賞している最初で唯一の作品である。ロードムービーといえば車は付きものであり、もちろんこの映画も例外ではない。『レインマン』において3人目の主役的役割を果たした車は1949年 ビュイック ロードマスターコンバーチブルだった。



ロードマスターは、1930年代からビュイックのフラッグシップモデルとして、パワー、スタイル、エレガンスの代名詞とされてきたモデルである。最もアメリカ車らしい、ともいえるスタイルで今もエンスージアストが多く存在する。当時のアメリカにおいて、ビュイックがトップ自動車メーカーという地位を築いたのはロードマスターの存在あってこそといっても過言ではない。曲線を描くボディには直列8気筒(ファイヤーボール8とも呼ばれる)エンジンを搭載し、見た目の美しさだけでなく十分な速さも持ち合わせた。1948年からロードマスターには乗用車初のダイナフローと呼ばれるオートマティックトランスミッション(2AT)を搭載した点も評価された。インテリアもレザー、ウッド、クロームが贅沢に使われ高級感溢れる空間に仕上げられている。途中でモデルチェンジはしているものの、ロードマスター自体の存在は偉大なものだった。

そんなロードマスターが登場する『レインマン』、物語の中でチャーリーは16才の時、父の愛車であったこのビュイックロードマスターを無断で使用した。盗難されたと思い父は警察に通報したが、自身が敬意を払って大切に乗っていた愛車は息子が遊びに使っていただけであったのだ。これが発端となりチャーリーと父は決別することになる。しかし、父は亡くなる前にチャーリーにビュイックを譲るという遺言を残し、正真正銘のチャーリーの相棒となったのである。父が亡くなったことをきっかけに、チャーリーはレイモンドを乗せてビュイックで旅に出る。最初はチャーリーの悪だくみであった旅も、最後には愛に溢れるものになるというストーリーだ。いつもビュイックが傍らにありながら、様々なヒューマンドラマが描かれている。



撮影には2台の1949年 ビュイックが使用された。そして映画の撮影が終わると、ダスティン・ホフマンが1台をプライベートカーとして手に入れた。1989年のビュイック・カークラブのイベントでレストアした後のビュイックが展示されたが、この後34年はホフマン所有のままほとんど公の場に姿を現すことがなかった。しかし今回、1月にアメリカで開催されるボナムスのオークションに出品されることになった。ホフマンは、「ビュイックは長い間、倉庫に保管されていた。次のオーナーにはしっかり運転し、楽しみ、大切にしてほしい」と話している。内機系はレストアが必要になるはずだが、倉庫で保管してあったというだけ外装内装は綺麗なコンディションを保っている。シートも張りがしっかりしており、ある意味ではいかに乗っていなかったかもよく分かる。





ボナムスオークション自動車部門責任者であるヤコブ・グライゼンは、次のように述べている。「このロードマスターは『レインマン』における3番目の登場人物です。まさに一生に一度の機会といえるでしょう。この特別な車を預かることができて光栄です。ビュイックファンやホフマン氏、映画のファンの方々にも気に入っていただけると確信しています」

推定落札価格は15万~20万ドル(約1710万円~2280万円)となっている。同モデルで比較すると高額な設定にはなっているものの、映画の主演車であること、名俳優が所有していたという点を踏まえると納得でもある。次のオーナーには、ホフマンの望み通りしっかりと乗らせてほしいものである。

オクタン日本版編集部

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