グローバルに活躍するには大量生産が必要という考えもあるだろうが、世界的なレザーグッズメーカーであるトッズでは、職人たちが代々受け継いできた技術を最も重視する。こうしたイタリアの誇るモノづくりの力で世界中の顧客の心をつかむ姿勢が、フェラーリとの深い絆を生んでいる。
2004年に建てられた、まるで美術館のようなトッズの新工場には、もちろん最新機械もあるが、大量生産するためのオートメーションマシンはない。その代わりに工場内には託児所やジムがあり、そこに子どもを預けて、時に自らの肉体を鍛えながら職人たちが働いている。彼らの多くは、祖父の代から靴づくりに携わってきた職人たちだ。一足につき最大で35のパーツを一つひとつ丁寧にカッティングしたり、木型に馴染ませるように木槌で叩いたり、一針ひとはり縫い合わせたり。彼らの手による100 以上もの工程を経ることで、ようやく一足のシューズが完成する。 トッズのシューズやバッグはすべてイタリアの誇る、伝統的な技術を受け継ぐ職人たちのハンドメイドによって仕上げられている。洗練された美しさと機能性、色あせないデザインに加えて、彼らにしか生み出させない品質が、世界中の顧客の心をつかんでいる。
トッズの名を最初に世界的に広めたゴンミーニは、それまでレーシングドライバーが履くラバーソールのシューズに過ぎなかった靴を、「スポーティな服装にもディナージャケットにも合わせることができる」と故ダイアナ妃に言わしめたほど、多くのセレブたちを虜にした。
100個以上のラバー・ペブル(ゴム突起)がはめ込まれた、この高級モカシンを生み出したのは、祖父がはじめた小さな靴工房を世界有数のレザーグッズメーカーに成長させた、トッズグループ会長兼CEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレだ。「手袋のように足にフィットするシューズ」というアイデアを、靴工房から町工場に成長させていた彼の父に打ち明け、1年がかりで完成させた。それが先述のようにダイアナ妃をはじめ、当時のフィアット会長ジャンニ・アニェッリや映画界のスターなど名だたる著名人に愛されることになり、気づけばゴンミーニのおかげでレーシングシューズはオンオフを選ばないと世界中に認知されるまでになった。
セレブ達にゴンミーニが注目されるきっかけとなったひとつに、、デッラ・ヴァッレと当時のフェラーリ会長であるルカ・モンテゼーモロとの出会いがあった。どちらも、真に贅沢な製品を作り出すイタリアの職人技を大切にすることで、世界に挑んでいることなど相通ずる点が多々あり、お互いのよき理解者でもあり、ファンでもあった。2001 年にフェラーリオーナーのためのシューズコレクション「TOD’S For Ferrari 」がスタートしたのも、それゆえ自然の成り行きだった。
今年で16年目を迎えた同コレクションは毎年最新モデルを発表している。フェラーリのシートをモチーフにした形状のインソールなど、フェラーリ好きなら思わずニヤリとしてしまう部分が必ずどこかにある。もちろん洗練されたデザインや機能性は他のトッズのシューズと同様で、ドライビングシューズのほかにもスニーカーなどバリエーションの幅を広げている。
トッズの工場には、ルカ・モンテゼーモロから贈られた、ラルフ・シューマッハが実際にドライブした1997年のF1マシンが飾られている。これもまたお互いの、モノづくりに対する哲学を尊重しあう両社の気持ちの表れだ。
ここで、最新の「TOD’S for Ferrari」シリーズ 2017年モデルの一部をご紹介しよう。フェラーリ車からインスピレーションを得た細かなデティールに注目しながらご覧いただきたい。
カーフスエード/カーフ
価格:6万6000円(税抜)
カーフ(ヌバックスエード)/カーフ
価格:7万4000円(税抜)
カーフスエード/カーフ
価格:6万6000円(税抜)
カーフ
価格:7万4000円(税抜)
文:籠島康弘 Words:Yasuhiro KAGOSHIMA 写真:トッズ・ジャパン Images:TOD’s JAPAN
トッズ・ジャパン
TEL:0120-102-578
URL:www.tods.com/ja-jp/
2024.04.11
モデナで作られるマセラティ純血エンジンを搭載した名車たち
初開催のフォーミュラE東京大会で衝撃的な優勝を遂げてからまだ1週間と経っていないのに、今度は独自開発したV6エンジンに的を絞ったサーキット試乗会を行なうというのだから、最近のマセラティはなんともアグレ ...
2024.04.08
海外にも多くのファンを持つ「元祖・COOL JAPAN」|モデルファク ...
ポルシェやフェラーリの名前は知っていても、モーガンやパガーニの名前を知らない“クルマ好き”はいる。模型の世界でも、タミヤや京商の名前は知っていても「モデルファクトリーヒロ」の名 ...
2024.04.12
連載:アナログ時代のクルマたち|Vol.24 ポルシェ356Aスピード ...
ポルシェの名が付くスポーツカーが誕生したのは第2次世界大戦後のことである。その基本構造が、同じポルシェ博士が開発をしたフォルクスワーゲン・ビートルと同じだったことから、“ビタミン剤を飲み過 ...
2024.03.29
ランボルギーニ、その60年はV12と共にあり|60 Years of ...
ランボルギーニの起源にまつわる物語はよく知られている。イタリアン・エキゾティックの世界で新参者のフェルッチョが注目を集めるためには、フェラーリに匹敵するエンジンを持たねばならなかった。そこで彼は世界最 ...
2024.03.26
フェラーリのあるライフスタイルのために|Nicole Competiz ...
2024年2月にオープンした「Nicole Competizione プレオウンドショールーム & サービスセンター」は、総床面積4191㎡という広い建物に20台前後の認定中古車とレーシングフ ...
2024.03.27
クロノグラフを発明した天才、『ルイ・モネ』の時計|Louis Moin ...
自動車の歴史はスピードというもっともわかりやすい性能を競う歴史であり、そのスピードを数値化する計測の歴史でもある。その計測において、クロノグラフという機構がもたらした功績は計り知れないが、意外やルイ・ ...
2024.03.20
DSをキャンバスに!? 子どもも喜ぶ「ヴァンセンヌ旧車会2024年3月 ...
パリの東の要、ヴァンセンヌ城。その前の広場で毎月開かれるヴァンセンヌ旧車会定例ミーティング。今月3月は第二週日曜日に集まった。本来は第一日曜日だが、先週はパリ セミ マラソンが開催されそのコースの一部 ...