自分好みなオーセンティックに!「オリジナル至上主義」から解放されて遊ぶ

Hideniro TANAKA

レストレーションといえばまずはオリジナルへ戻す。これが常識。でもホントは自分好みの仕様で乗りたくないですか? 次世代へと引き継ぐモデルであっても、せめて自分が所有している間くらい…



筆者はこれまで何台もの車を“復活”させてきた。本格的なレストレーションから内外装の修復まで、いろんなパターンがあったけれど、その程度に関わらず結末はほとんど同じだった。ベース車を見つけてレストア。完成までを楽しむ。欲しいという人が現れて手放す。これを繰り返す。車にとっては良いこと。でもなんだか腑に落ちない。仕上がった車を全て保管する財力などないから仕方ないけれど。モヤモヤ…

フィアットヌォーバ500(1970年式)がやってきて、面白い考えを思いついた。2~3年ごとに“作り直す”というアイデアだ。我が家のチンクはいろんな個体のパーツを寄せ集めスペシャリストが極上に仕上げた一台。生産時オリジナル性にはこだわっていない。わざわざLからFへとグレードダウンしたくらい。だから好きな内外装へ変えることに躊躇なし。

とはいえできるだけオーセンティックさを求め、時代感を外さないように遊びたい。極度なモディファイはクラシックカーを陳腐にするから。そして何より小さいチンクならボディ塗装や内装貼り替えもリーズナブルで、大衆車だから素材にこだわる必要もなくて良いことづくし。

早速、スタークラフトに相談することに。彼らもまた同じようなことを考えていたからだ。クラシックカーやスーパーカーの修理や車検から板金塗装、レストア、レーシングカーメンテまで幅広い分野で専門性を発揮する彼らは、守備範囲をさらに広げようと職人ネットワークを拡充し、新たな提案をおこなおうとしていた。

趣味性の高い車に関わることであれば、ユーザーの気持ちになって、そのすべてをカバーしたい。その中にテーラーメードプランがあった。つまり新車をオーダーするように、愛車をビスポークで仕立て直そうという提案だ。完全オリジナルも大事だけれど、内外装の仕様くらい自分の好みに仕上げても良いじゃないか。オリジナル状態へ戻せるようにさえ工夫しておけば、歴史的価値を損なうこともなく次世代に渡せるし…

というわけで、水色に赤いラインの入っていた筆者のチンクは60年代のクラシックなゴールドとブルーの2トーンとなり、幌や内装もそれにあわせてコーデした。スタークラフトと相談しながら仕様を決めていく作業は、やっぱり楽しい。内装パーツは伝統工芸を活用する京都のKiwakotoにお願いし唯一無二の仕様に。自分でいうのもなんだけれど、2~3年で仕立て直すのはもったいないくらいだ。また同じプロセスを踏めると思うと、アイデアが湧いてきて今から待ち遠しいけれど。

もう一台、縁あってやってきたケータハムスーパーセブンも、カーボンばりばりの汗臭いスパルタン仕様から“誰もが思わず座ってみたくなる”をコンセプトに内外装のみ仕立て直した。これからもう少し煮詰めるつもりだけれど、トライ&エラーが比較的気軽にできるのも小さい車の魅力。

皆さんもぜひ一台、スタークラフトで相談しながら“遊び続けて”みてはいかが?

FIAT500



ボディカラーに合わせて内装色もブルーとベージュの2トーンに。ステアリングセンターのエンブレムやセンターコンソール、シフトノブなどにさりげなく京都の伝統工芸で仕上げたアートなパーツをあしらってみた。




SUPER 7

スパルタンモデルの代名詞セブンを"誰もが思わず乗り込みたくなる"ような雰囲気に仕立て直してみた。戦前車のアイデアでボディパネルの一部をレザーに。内装もゴージャスな雰囲気を。課題は黒い幌をどうするか。





取材協力:スタークラフト
starcraft.co.jp

文:西川 淳 写真:タナカヒデヒロ Words:Jun NISHIKAWA Photography:Hidehiro TANAKA

文:西川 淳 写真:タナカヒデヒロ

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