さすがの風格!見るからに素晴らしく美しく、威厳漂う「最初のブロワー・ベントレー」

Tim Scott (C) 2021 Courtesy of RM Sotheby's

“ブロワー・ベントレー”という言葉を聞いただけで、アマースト・ヴィリヤーズ設計のルーツ式スーパーチャージャーをフロントにボルト付けした巨大なモンスターが思い浮かぶ。W. O.ベントレーは過給機を嫌っていたが、ティム・バーキンは、ドロシー・パジェットの支援を受けてブロワーを開発。1929年には会長のウルフ・バーナートを説得して、実験的レーシングカーのホモロゲーション取得のため、50台のロードカー製造に乗り出した。



スーパーチャージャーによって、4.5リッターエンジンの出力100bhpは175bhpに向上。競争力は飛躍的に高まり、“ベントレーボーイズ”は、ますます手強くなるヨーロッパのライバルに十分対抗できた。W. O.ベントレーが予測したとおり信頼性には影響が出たものの、スーパーチャージャー搭載のレーシングカーは恐るべき強さを発揮して、名声を高めていった。





ロンドンでRMサザビーズのオークションに登場したのは、単に50台製造のオリジナルというだけでなく、ファクトリーで完成した1台目の正式なロードカーである。シャシーナンバーはSM3903で、1929年のロンドン・モーターショーで展示され、ベントレーの公式デモンストレーション車両として1931年まで使われた。その後、ジャック・バークレーが経営するロンドンのディーラーを経て、個人の所有となった。

RMによれば、ヒストリーを証明する書類が極めてよく残っており、ベントレーの権威であるクレア・ヘイがそれを裏付けた包括的レポートも付属するという。

たしかに、見るからに素晴らしい状態だ。とはいえ、最近完成した復刻版のような非の打ちどころのない完璧さとは違う。過去のレストアや、近年の豊富なメンテナンスによって、長い歳月を美しく身に纏っている。



ベントレーを代表する重要なモデルの素晴らしい見本だけに、推定落札価格も380万~420万ポンドに上ったが、最終的に今回のオークションでは落札に至らなかった。


Tim Scott (C) 2021 Courtesy of RM Sotheby's

編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵

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