「デイトナ」の名を持つフェラーリが登場!|モンツァSP1/SP2に続き「Icona シリーズ」に限定モデルが加わった

Ferrari



パワートレイン


デイトナSP3にV12を搭載するための出発点として、フェラーリが選んだのは812 Competizioneのエンジンである。しかし、搭載位置はミッドリアに移し、吸排気レイアウトと流体力学上の効率性を最適化している。こうしてF140HCエンジンは最高出力840cvを発生すると共に、跳ね馬のV12ならではのパワーとサウンドを誇るものに昇華した。

812 Competizioneに搭載する先行エンジンF140HBと同じく、シリンダー・バンク角は65°、排気量は6.5リッターで、アップグレードも引き継いでいる。7段ギアボックスも、専用の戦略を開発したことで、いっそう素早くなり、操作感も向上した。9,500rpmという最高回転数と、そこまで素早く高まり続けるトルクカーブによって、乗員はパワーと加速をとことん味わうことができるのだ。


アーキテクチャー


シャシーはF1の技術を活用した完全なコンポジット製で、この技術がロードカーで使われたのは、ラ フェラーリ以来となる。シャシーと一体化したシートは重量削減とともに、レーシングカーに似たドライビングポジションを実現している。これによって、重量削減のほか、全高を1142mmに抑えることができ、ドラッグの低減にもつながっている。

デイトナSP3のステアリング・ホイールは、すでにSF90 Stradale、フェラーリ ローマ、SF90 Spider、296 GTBに導入されているものと同じヒューマン・マシン・インターフェースを採用し、フェラーリの「手はステアリング・ホイールに、目は路上に」の哲学を継承する。タッチコントロール式のため、ドライバーは手を動かさずにデイトナSP3の機能の80%を操作でき、16インチの曲面HDスクリーンにはドライビングに関するすべての情報が即座に表示される。



タイヤは専用のものがピレリと共同で開発された。新しいP Zero Corsaは、特にグリップが低い状況での車両の安定性を重点に、ドライとウェット両方のパフォーマンスが最適化されている。新Iconaモデルには、フェラーリSSCも最新バージョンの6.1が採用されているほか、コーナリング・パフォーマンスを引き上げるため、ミッドリアV12モデルで初めてFDE(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)を搭載。FDEは横方向のダイナミック・コントロールシステムで、限界域での走行時に、ブレーキキャリパーの制動力に作用して、車両のヨーアングルを制御する。FDEは、マネッティーノで「Race」か「CT-Off」モードを選択したときだけ作動するものだ。

エアロダイナミクス


最後に、エアロダイナミクスの研究と設計では、インスピレーションの元となったマシン同様、純粋にパッシブ式の空力ソリューションのみを活用して効率を最大化することに注力された。

ダウンフォースを得る上で最も重要な開発エリアとなったのはリア・スポイラーである。エンジニアは、フロントとリアのダウンフォースのバランスを取るため、エンジン・インテークの移動とテールライトの新デザインによって生まれたチャンスをフルに活用。この2つのソリューションによって、車幅いっぱいまでスポイラーを拡大できたのだ。横幅が広がっただけでなく、リップも後方に延長され、ドラッグを増やすことなくダウンフォースの増強につながっている。

また、アンダーボディから低圧の空気を抜き出すチムニーなど、前例のないソリューションによって、デイトナSP3は、可動式の空力デバイスを使用せずに、フェラーリ史上最も空力効率に優れたモデルとなった。こうした革新的技術を巧妙に取り入れたことで、0-100km/h加速は2.85秒、0-200km/h加速はわずか7.4秒を達成している。



Iconaシリーズにおいて、歴史の特定の時点をインスピレーションにするというアイデアは、コンセプトの中核を成している単に過去のスタイリング要素を再利用するだけには留まらないという。むしろ目標は、時代の真髄を抽出し、それを足掛かりに、未来のアイコンとなる独創的な新しいコンセプトを生み出すことなのだ。

オクタン日本版編集部

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