Immun’Âgeの歴史と、18年におよぶAston Martinとの関わり

Photography:Osato Research Institute

岐阜県にある大里研究所は、超高齢社会における予防医学による医療費削減を目指し、欧米の様々な大学や研究機関と共同でFPP(パパイヤ発酵食品:ブランド名Immun’Âge)の研究を行ってきた。その効果実証のひとつがアストンマーティン・レーシングのオフィシャル・パートナーとしての耐久レース参戦である。また、子供たちへのエイズ予防教育や、ワイン用のブドウ栽培を通じてシニア世代の生きがいの創出を目指すPROJECT ORI WINEなど、大里研究所の活動は「予防」を軸に大きく広がっている。



今年のブドウの収穫


富有柿の産地として有名な大里研究所のある岐阜県揖斐郡大野町。だが近年は農業従事者の高齢化により休耕地が増えてきた。町役場から休耕地となった柿畑の有効利用について相談を受けた大里研究所では、地域のリタイアした人たちが生きがいを持って働けるような場があれば認知症予防にもつながるのではないかと、ワイン用のブドウ栽培を提案。2012年に、ヨーロッパ風の垣根仕立てによるピノ・ノワールとシャルドネの栽培に挑戦し、化学的な肥料農薬を一切使わないBIOワイン作りを目指すPROJECT ORI WINEをスタートした。300坪から始まったブドウ畑は、現在柿畑と共存しながら約3000坪10区画にまで広がり、これから植付けを開始する土地や地域の憩いの場として整備したいと考えている果樹園やゲストハウス用の土地も併せると、約6000坪の広大なブドウ園を管理している。


 
梅雨入りが早かった今年は5月6月と雨が続いたものの、7月中旬から8月初旬は天気が良く、昨年よりブドウの実が熟すのが少し早かったようで、8月初旬には熟したブドウの美味しそうな香りに誘われてか、猿たちがつまみ食いをしにやってきて収穫時期が近いことを教えてくれた。お盆前からまた雨が続いたため無事に収穫ができるか危ぶまれたが、8月16日、雨の合間を縫ってブドウの収穫を行うことができた。


 
収穫当日はスタッフ総出で早朝5時より収穫を行った。比較的気温が低かったものの湿度は高く、朝露で濡れた足元の状態はよくなかったが、ベストなタイミングは今しかないと収穫作業を敢行。なんと今年は過去最多の収穫量を記録し、ピノ・ノワール191.9kg 、シャルドネ229.5kg の合計421.4kgを収穫することができた。毎年試行錯誤しながら経験を積み重ねた結果、ここ数年は安定して収穫ができるようになり、2019年からはついにワインが作れるようになってきた。ピノ・ノワールで作った赤ワインは「ROSE ORI」、シャルドネで作った白ワインは「Cloverleaf」と名付けられた。今年は待望のプロヴァンス風ロゼワインも作る計画。数ヶ月後に完成するワインが今からとても楽しみである。



アストンマーティン社との18年におよぶ深い繋がり


今やアストンマーティン・レーシングと言えばImmun’Âgeが連想されるほど、そのパートナーシップの関係性は強く深い。
 
FPP (パパイヤ発酵食品) は、30年前に大里研究所理事長である林幸泰氏の義父が、薬物アレルギーである娘(林の妻 淑子)のために開発したものであり、その後、大里研究所では学術研究を主体に進め多くの論文を発表してきた。一般的に発酵食品は、自然由来であるためロット毎の品質が安定しづらいのだが、FPPは、ISO 9001(品質)・14001(環境)・22000(食品安全)・FSSC22000(食品安全認証スキーム)の国際規格認証を受けた工場で製造することで品質の安定化に成功している。
 
2002年、大里研究所の学術顧問であるリュック・モンタニエ博士(HIV発見者で2008年ノーベル医学生理学賞受賞者)がパーキンソン病を患っていた当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世に謁見した際にFPPを薦めたことがメディアで大きく取り上げられた。このニュースをきっかけに、FPPのブランド名であるImmun’Âgeが広くEUで認知されることになった。それからは歴代のローマ教皇に献上され、バチカン薬局でも取り扱われるようになった。Immun’Âgeのマーケットの90%以上がEUであるのはこのためである。
 
大里研究所がアストンマーティン・レーシングのオフィシャルパートナーとなり、ルマン24時間耐久レースを始めとするWECシリーズ に参加するきっかけを作ったのは、林理事長の20年来の友人でありFPPの学術論文に興味を持った当時のアストンマーティンCEO 、Dr.Bezである。 Dr.Bezはポルシェ時代には車の開発のみならず、2週間に渡るパリ・ダカールラリーの競技中、いかにドライバーの健康を維持をできるかを研究しており、FPPの臨床研究にとても興味を持ったのだ。
 
Dr.Bez自身も長年FPPを愛用している。70歳の時にはニュルブルクリンク24時間レースにドライバーとして参加し、FPPの効果を証明してみせるとレース会場で林理事長に宣言。見事に完走したのだ。
 
大里研究所は、2007年には、ルマン24時間レースでは治験も行っている。アストンマーティンDBR9カーナンバー009の3名のドライバーのうち2名が、レースの一ヶ月前からFPPを摂取。レース中もスティント毎に摂取、レース前/レース中盤(12時間後)/レース後(24時間後)に尿検査を行い、グルノーブル大学にてDNAダメージ/酸化ストレスを測定した。FPPを摂取したデイビッド・ブラバム、ダレン・ターナーの二人と摂取しなかったドライバーを比較した結果、レース12時間までは有意差はなかったが、24時間後はDNAダメージ/酸化ストレスが約半分に軽減されていた。ブラバム選手からは、通常24時間レース後1週間は頭に針が刺さったようで眠れなくなり、レース翌日は運転を控えているのだが、FPP摂取後はよく眠れ、回復も早く、すぐ運転できたとの報告があった。
 
ちなみに、この年、カーナンバー009はセカンドカーであり、ファーストカーは007だったが、ルマン24時間レースは009が優勝。翌年、2008年ルマン24時間レースでも、007は元F1ドライバーを準備するなど多くの予算をかけたが、ドライバー全員がFPPを摂取した009が優勝した。以降、大里研究所とアストンマーティン・レーシングとの長いパートナーシップが続くこととなる。

結果が物語る


林理事長がこの治験を始めたヒントは、FPPの認知症研究にあった。過酷な耐久レースにおいて脳のエネルギーが枯渇し一時的に認知症のような状態になってしまうレーシングドライバーにもFPPは役に立つはずだと考えたのだ。FPPは「ATP産生促進剤 及び ミトコンドリア活性促進剤 並びに 免疫賦活剤」として日本国特許庁に特許登録されており、エネルギー代謝を高める発酵食品としてその機能性が認められている。

「レーシングドライバーはレース中、もちろん筋肉を使い運転していますが、一番使っている臓器は実は脳であると考えたのです。脳は、唯一糖をエネルギー源として使うため、レース中のドライバーは糖のエネルギーを使いすぎてガス欠のような状態になる。それが最もよくわかるレースが24時間耐久レース。もし脳にエネルギーとなる糖を効率よく供給できれば、ドライバーのパフォーマンスは維持でき、尚且つレース後の回復が早くなります。」と語る林理事長。
 
これまで、F1チームを含めアストンマーティンの競合メーカーからもオファーがあったが、18年間ものアストンマーティン社との関係を大切に思い、同社とのみパートナーシップを継続している。


 
2021年の戦績を伝えたい。7月末に開催された世界三大24 時間レースの一つスパ・フランコルシャン24時間耐久では、ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、アウディなどそうそうたるファクトリーチームが並んだが、アストンマーティンのワークスドライバーを擁するガレージ59は一台体制でのぞみ、車体正面にImmun ’Âgeを冠したアストンマーティンバンテージGT3が見事総合順位で表彰台を確保している。また9月に開催されたルマン24時間耐久レースでは、アストンマーティン・レーシングのファクトリーチームのサポートを受けWEC にフル参戦しているTFスポーツもLMGTE AMクラスで2位となった。限られたアセットで結果を出す。まさに小さいユニットの真骨頂を体現している。




文:オクタン日本版編集部 写真:大里研究所
Words:Octane Japan Photography:Osato Research Institute

オクタン日本版編集部

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